院長インタビュー

地域と共に歩み続け80年、患者さんとの信頼関係をさらに深めていく日本鋼管病院

地域と共に歩み続け80年、患者さんとの信頼関係をさらに深めていく日本鋼管病院
小川 健二 先生

医療法人社団こうかん会 日本鋼管病院 病院長

小川 健二 先生

目次
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医療法人社団こうかん会 日本鋼管病院(以下、日本鋼管病院)は、鉄鋼会社の企業立病院として誕生してから100年以上の歴史を有し、神奈川県川崎市において長きにわたり地域の人々に寄り添い続ける病院です。病院が医療の現場としてだけでなく、地域社会の一員として、町内会合同防災訓練の実施など幅広く活動を行っています。

地域連携や特色ある診療体制について、院長の小川 健二(おがわ けんじ)先生にお話を伺いました。

日本鋼管病院 外観
日本鋼管病院 外観

当院は、1918年に日本鋼管事業主病院(企業病院)として誕生しました。その後、1937年に各診療科を完備して“日本鋼管病院”の名称で総合病院として創立に至ります。そこからおよそ80年余り、戦時中の凄惨な医療の現場も乗り越え、常に地域と共に歩んでまいりました(2019年11月時点)。

当院では、一般急性期医療に加え地域包括ケア病棟での亜急性期医療を提供しています。亜急性期医療とは、急性期の治療を終えたものの在宅、施設療養に移るには不安のある患者さんや、在宅、施設で療養していて病態が急変した患者さんに提供する治療、ケアのことです。当院では、在宅ケアを担う地域のかかりつけ医との連携を図りながら、地域密着型の急性期から亜急性期医療を展開しています。今後も、“地域社会への貢献”を行動基盤として、地域に開かれた医療活動を継続してまいります。

当院は神奈川県の救急告示病院に指定されており、一次、二次救急の患者さんの受け入れに対応しております。救急車での搬送だけでなく、直接来院される患者さんも受け入れ、24時間365日体制で診療に臨んでいます。

さらなる救急医療の充実に向けて2014年から“オーバーナイトベッド”を導入し、専任の看護師を配置しました。オーバーナイトベッドは、夜間入院専用の病床です。この病床の導入により、救急外来で夜間に入院先病棟の調整を行う必要がなくなり、より円滑な受け入れが可能になりました。さらに、入院から退院支援までを管理するベッドコントロールを担うチームや、救急科のバックアップ体制強化も行っています。

リハビリテーションの様子
リハビリテーションの様子

当院の整形外科では、日本整形外科学会が認める整形外科専門医12名を含む14名の医師が常勤(嘱託常勤医師も含む)し、整形外科疾患全般の診断、治療を行っています(2019年12月時点)。

脊椎外科の分野では、脊椎外科センターを構えて日本整形外科学会認定の脊椎内視鏡下手術・技術認定医の資格を有する2名の医師を中心に、内視鏡を用いた低侵襲な治療を行っています。対象となる疾患は、椎間板ヘルニアはもちろん、脊柱管狭窄症、椎骨圧迫骨折で、2018年の手術件数*は909件でした。

さらに、スポーツ整形外科センターでは、競技種目を問わず、スポーツ外傷を負った患者さんの診断、治療を実施しています。当院には、Jリーグのチームドクターを10年間務めた実績を持つ医師が在籍し(2019年12月時点)、そのノウハウを活用しながら競技復帰のための治療を提供しています。

また、シニアアスリートの変形性膝関節症の治療では、薬の投与などの保存療法に加え、半月板、靱帯、軟骨を対象とした低侵襲な関節鏡視下手術や高位脛骨骨切り術などの手術療法を行うなど、患者さんの症状に合わせた治療を行っています。重度の場合には人工関節置換術も実施しており、リハビリテーション科と密な連携をとり、術後の早期回復や復帰後のケアを充実させています。

*2018年の手術件数:2018年1月から2018年12月までの実績

こうかんクリニック 外観
こうかんクリニック 外観

当院の外来診療部門である“こうかんクリニック”との連携のもと、さまざまな専門外来を設置、運用しています。一般外来に加え、もの忘れ外来やめまい外来、補聴器外来、ペースメーカー外来などの専門外来を設置することで、患者さんのニーズによりフィットした治療を実施できることが強みです。

特徴的な取り組みとして、言葉をスムーズに発することができない“吃音”を治療する音声・吃音外来を実施しています。小児、成人を問わず、言語療法士による言語療法、訓練を提供し、社会生活を送るうえでの不安や、障害を減らしていくお手伝いをしています。 

チームによる呼吸器治療を実施
チームによる呼吸器治療を実施

当院の呼吸器内科には、COPDSASセンターとしてCOPD(慢性閉塞性肺疾患)やSAS(睡眠時無呼吸症候群)を治療する専門診療部門を設けています。同センターで行っている“COPDに特化したリハビリ入院”では、医師や看護師、呼吸療法士、さらに栄養士なども加わってチーム医療を実施します。患者さん一人ひとりに合わせた呼吸法の指導や筋力トレーニングなどをオーダーメイドで行っています。

SASについては、近隣病院からの精密検査の依頼にも対応しており、検査機器の整備、更新に努めながら、毎日検査を実施できる体制を整えています。

当院では、地域連携室を中心として在宅医療を行う在宅医やかかりつけの開業医と連携して、地域に根差した医療を展開しています。介護や福祉なども含めた包括的なチーム医療を地域全体で行う体制をイメージし、在宅時にはかかりつけ医や当院の訪問看護士が担当し、症状が悪化してしまった際は当院で治療するという、循環型医療を目指します。

コンサートとして“こうかん通りコンサート”も開催したりしています。さまざまな活動を通して、当院は病を癒すためだけの場所でなく、地域の人々が集い心安らぐことができる、地域に開かれた病院であり続けたいと考えています。

“すべては患者さんのために”という基本理念のもと、医療従事者と患者さん両方の立場を理解して行動することができる医療人を育成していきます。看護師については、クリニカルラダー、目標管理、現任教育を3つの柱とした当院独自のキャリア開発ラダーシステムを導入しています。ニーズや状況に応じた看護を実施し、医療チームの一員としての役割と責任を果たす人材を育てています。

小川先生からのメッセージ

 

小さな世界にとらわれることなく、20年後、30年後に自分が何をしているか、常に将来のことを視野に入れながら医療を提供してほしいと思います。今の自身のレベルを上げることを常に考えてください。先輩や世界で活躍する医師が、今何をしているのかを見渡しながら、医療への意識を高めていってほしいと願っています。

当院は、地域の人々が気軽に訪れることができる病院を目指しています。体に不調がなくてもふらりと立ち寄り、絵を見たり音楽を聴いたりして、ゆっくり過ごしていってください。今後も親しみやすい、心を許して受診することのできる病院づくりに取り組んでまいります。

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  • 医療法人社団こうかん会 日本鋼管病院 病院長

    小川 健二 先生

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