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国立国際医療研究センター病院における小児医療の特徴

国立国際医療研究センター病院における小児医療の特徴
七野 浩之 先生

国立研究開発法人国立国際医療研究センター病院 小児科 医員

七野 浩之 先生

目次
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近年の小児医療の進歩により、難病や慢性の病気のあるお子さんでも、自宅に戻り、学校へ通いながら成長できるようになってきました。その一方で、長期にわたる治療や経過観察、日常生活や通学にあたっての問題など、患者さんやその家族が直面する困難も多く、患者さんの成長を支えるための幅広い支援も求められるようになっています。そこで今回は、国立国際医療研究センター病院 小児科 医員(前・小児科診療科長・第一小児科医長・小児腫瘍(しゅよう)内科医長) 七野 浩之(しちの ひろゆき)先生に、同センターの小児科が担う役割や多職種による患者支援の取り組みなどについてお話を伺いました。

国立国際医療研究センター病院は、1868年に江戸城山下門内に設置された兵隊仮病院にそのルーツを発し*、これまで当科は感染症を中心とした一般の小児科として、地域の一次~三次までの小児医療の中心を担ってきました。近年は、感染症以外にも小児がんや未熟児・新生児治療などの難しい治療にも積極的に取り組み、関連する診療科やさまざまな医療スタッフとも連携しながら診療を進めています。

また、当院には国立高度専門医療研究センターとしての役割もあり、当科でもほかの医療機関では実施が難しい治療を行っています。たとえば脊髄性筋萎縮症(せきずいせいきんいしゅくしょう)という難病に対する“遺伝子治療” や、難治性の血液疾患や小児がんに対する造血細胞移植治療などもその1つで、これまでの高度医療の経験を生かし、難病や希少疾患に対する治療法の開発にも貢献してきました。

さらに、当院の使命の1つが国際医療協力であり、当科でもベトナム、カンボジア、インドネシア、モンゴルなどにおいて、現地の医療関係者や研究者と協力しながら、小児がん治療や新生児治療などに取り組んでいます。

*国立国際医療研究センター病院 令和4年(2022年)8月1日 理事長挨拶より

小児医療においては、病気の治療だけでなく、お子さんの心身両面での成長、社会生活における影響などを踏まえた多面的な支援が求められます。そこで当科では、日本小児科学会認定 小児科専門医だけでなく、公認心理師や保育士、Association of Child Life Professionals認定 チャイルド・ライフ・スペシャリスト、NPO法人日本ホスピタル・プレイ協会/静岡県立大学短期大学部認定 ホスピタル・プレイ・スペシャリストなど、小児の成長・発達に詳しい専門職が協力しながら、患者さんの療養を支えてきました。

また、お子さんが病気の治療を続けながら、通学などの日常生活を送るためには、医療機関だけでなく、学校や児童相談所、子供家庭支援センターなどとの連携も不可欠です。ここでは、院内のメディカルソーシャルワーカーも加わり、幼稚園や学校の先生、保健師などと共に、それぞれのお子さんに合ったサポートを検討しています。

リンパ管腫やクリッペル・トレノネー・ウェーバー症候群などの小児難治性血管・リンパ管疾患は、外見上の問題を含めて全身に多彩な症状を引き起こし、長期的な治療が必要となる病気です。そうした中で、総合病院である当院では、小児科のみならず、外科、整形外科、歯科・口腔外科、皮膚科、消化器内科などの関連各科と密な連携を取りながら、成長後の治療も見据えた治療を行ってきました。

しかしながら、難治性血管・リンパ管疾患の患者さんの中には、既存の治療では十分な効果が得られず、我慢の日々を強いられている方もおり、新たな治療の開発は急務となっています。そこで当院では、小児難治性血管・リンパ管疾患に対するシロリムスの有効性や安全性を検討する臨床試験を実施しており、手応えを得ています。すでに、リンパ管腫に対しては2021年から保険診療でシロリムスを使用できるようになりましたが、今後、その適用範囲は広がることが予想されます。さらに、シロリムス以外の薬物治療についても研究が進められており、今後は従来の手術などの治療法に加え、複数の薬剤を組み合わせた治療法が選択肢に加わることが期待されます。私たちは新しい治療法も積極的に取り入れながら、患者さんと一緒に治療を進めていきたいと考えています。

小児医療の進歩により、難治性血管・リンパ管疾患はもちろん、がん心疾患、神経疾患などの難病を患ったとしても、適切な治療を受けることで、患者さんが自宅に戻り、学校に通うこともできるようになりつつあります。その一方で、治療や経過観察のために長期にわたる通院が必要ですが、小児科では大人の病気に十分に対応することができないため、将来的には小児科から卒業し、成人を対象とした診療科へと移る必要があります。幸いなことに、総合病院である当院では、小児の段階から成人を対象とした診療科と連携しながら治療を行うことができ、小児から成人への治療の場の移行は比較的スムーズです。最近では、小児を専門とする国立成育医療研究センターと連携してチームをつくり、小児医療から成人医療へと移行する患者さんの受け入れも行っています。

近年の医療現場では、患者さんと医療者が治療のゴールや希望などを話し合い、共同で治療方針を決めていくことが重視されています。しかしながら、小児医療の場合は、お子さんが自分の気持ちや希望を主張することが難しいという課題があります。そのため、私たち小児科医や治療に関わる医療スタッフは、お子さんに寄り添いながら、その気持ちを代弁する関わりを大切にしてきました。

また、治療や日常生活において患者さんやご家族が抱える問題に対しては、看護師や心理師、メディカルソーシャルワーカーなど、さまざまなスキルを持つスタッフの力も借りながら、一緒に解決策を見出してきました。患者さんとご家族が希望を持って治療に臨むことができる小児診療を目指して、これからもさまざまな取り組みを進めていきたいと考えています。

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