院長インタビュー

先端医療と周産期ケアを中心に多様な医療ニーズに対応し、進化を続ける日本赤十字社医療センター

先端医療と周産期ケアを中心に多様な医療ニーズに対応し、進化を続ける日本赤十字社医療センター
中島 淳 先生

日本赤十字社医療センター 院長

中島 淳 先生

目次
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東京都渋谷区広尾という閑静な地に位置する日本赤十字社医療センターは、渋谷区とその周辺エリアを中心に高質な医療を提供しています。1886年に設立された同院は、約280名の医師・歯科医師を含む約1,700名近い職員 が、41の診療科目を通じて、幅広い医療ニーズに応えています。同院の特徴や目標などを、院長の中島(なかじま) (じゅん)先生にお伺いました。

日本赤十字社医療センターは東京都渋谷区広尾にあり、140万人超が居住する東京都区西南部エリアに医療サービスを提供しています。これからは我が国は人口減少が問題となりますが、この地域は今後20年間にわたり人口の大きな変動はありません。しかし他の地域と同様に高齢化が進んでおり、医療・介護を必要とする高齢者の数も増加しています。医療圏内には大学病院が少なく病床の数は全国平均よりも少ないため、総合的な診療を提供できる病院の重要性が高いと言えます。

1886年に東京・麹町で博愛社病院として設立された当センターは1891年に現在の広尾の地に移転し、1922年に開設された日本赤十字社産院と1972年に統合しました。この歴史的背景から、特に周産期医療に強みを持っていますが、一貫して赤十字の理念に基づいて質の高い医療を提供し続けています。

外観
日本赤十字社医療センターよりご提供

現在の当センターは、快適な療養環境を備えた約700の入院病床と41の診療科目を有し、約280名の医師・歯科医師を含む約1,700名の職員を擁しています。渋谷区、目黒区、港区、世田谷区からの来院者が多く、これらの地域からの患者さんが全体の85%を占めており、地域に密接に根ざした病院と言えるでしょう。

また当センターは日本赤十字社の使命である“いかなる状況下でも人間のいのちと健康・尊厳を守る”に従い、救急医療、災害医療にも力を入れています。救急医療においては“キャパシティの許す限り、どの患者さんも断らない”ことを目標に掲げ、地域社会への貢献を最優先に日々治療を行っています。
さらに当センターは東京都災害拠点病院に指定されており、災害時に医療の拠点となって多数の傷病者を受け入れることができる設備や体制を整えているほか、24時間365日出動準備をしている日赤救護班や災害医療派遣チームDMAT(Disaster Medical Assistance Team)を備えており、全国規模の災害が発生したときは率先して現地に赴き被災者へ医療を提供しています。

災害医療では、当センターは国際医療救援の重要な拠点の一つとして機能しています。国際救援活動の効率化を目的に設置された国際医療救援部は、災害や紛争時の緊急援助、長期的な支援などに対応できる人材の養成と体制確立を行っており、医師、看護師、薬剤師および事務職員などが専門性を活かして国際救援に貢献しています。

当センターの周産期医療は、東京都から“スーパー総合周産期センター”(対象産科救急患者の受け入れの要請があった場合は必ず受け入れて診療を行う施設)に指定されていることもあり、緊急を要する妊婦の受け入れやハイリスク出産への対応には多くの実績を持っています。赤ちゃんの健康を守るために小児科やNICUと連携し、多様な医療処置を行う体制を整えているほか、安全な無痛分娩を目指し、麻酔科医師と連携して、万全の体制を備えています。

加えて、個室の増設やウォーターサーバーの導入、産科フロアへのダイレクトアクセスが可能なエレベーターの設置など、入院患時の快適さ、ホスピタリティの向上に努めています。

当センターでは手術・化学療法・放射線治療というがん治療の3本柱をすべて提供しています。手術ではロボット“ダ・ヴィンチ”を使うなど先進的で低侵襲(体に負担が少ない)な手術を行っており、在院日数を従来よりも短くしています。また化学療法では従来よりも副作用を少なくし、外来での治療が主体となっています。放射線治療ではサイバーナイフやIMRT(強度変調放射線治療)といった新しい機器を導入し、放射線を当てるべき場所に当て、当てるべきではない場所には極力当てない“高精度放射線療法”を行っています。

また、血液内科では白血病悪性リンパ腫など血液系がんの治療に力を入れており、国内でもまだ数少ないCAR-T細胞療法を行うなどの新しい医療を提供しています。2016年に開設した骨髄腫アミロイドーシスセンターでは標準治療に加えて多くの治験を行い、難治性疾患に対応しています。

当センターは間質性肺炎センターを新設し、2024年4月に専門外来を開設する予定です。多くの間質性肺炎は難治性・進行性であるため、早期発見と早期治療が重要になります。また、長期の投薬治療や呼吸リハビリテーションなど診療科を超えた治療が必要になるため、当センターでは医師や看護師、管理栄養士、ソーシャルワーカーといったメンバーによるチーム医療で患者さんに最適な医療を提供します。

当センターは全国に91ある赤十字病院の中核的な存在として、新しい医療の導入や臨床研究・治験を積極的に行っているほか、同じ敷地内にある学校法人日本赤十字学園の日本赤十字看護大学・大学院では人道と博愛の赤十字の理念のもとに教育を受け、チーム医療・コーディネート能力に長け、かつ国内外の災害救護活動に関心を持ち、向上心にあふれる看護師を養成しています。

一方で、地域に根ざした病院であることも重視しています。近隣の医療施設との連携のもとに患者さん中心の医療を行うのは当然ですが、近隣にお住いの方々に対してはコロナ禍で中断していたオープンホスピタルを2023年10月に再開し、当センターへのアクセスを気軽にしていただくための様々なイベントを行いました。また、2024年2月からは、各診療科の専門医が様々な疾患の予防・診断・治療についてわかりやすく説明を行う市民公開講座を毎月開催するなど、健康意識を高めていただく方策を試みています。

当センターは地域の中核的な病院として、新生児から高齢者まで幅広い年齢層の患者さんに対応しています。私たちの診療機能はがん診療、小児・周産期医療をはじめ、救急医療や災害救護など多岐に亘り、一般的な病気から稀な病気まで幅広く診療しています。

総合病院として、治療だけでなく予防や健康づくりにも力を入れており、患者さん一人ひとりの意思を尊重し、ともに最適な医療を目指しています。安心と満足を届けることを心がけ、地域医療の発展に寄与することを目標に、これからも地域に密着した医療を提供し続けていきます。

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