院長インタビュー

地域住民の健康と“膵臓がんの最後の砦”を守る名古屋セントラル病院

地域住民の健康と“膵臓がんの最後の砦”を守る名古屋セントラル病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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名古屋市中村区にある名古屋セントラル病院を率いる中尾先生は、膵臓(すいぞう)がん手術における新たな手法を開発した世界的権威として知られています。全国各地から患者さんが訪れるという同院の役割や今後について、院長の中尾 昭公(なかお あきまさ)先生に伺いました。

当院は1919(大正8)年に“名古屋鉄道治療所”として名古屋市西区西柳町に開設され、1989(平成1)年に名称を“JR東海総合病院”に改めました。そして2006(平成18)年、“名古屋セントラル病院”へと名称を変更し、現在の場所(名古屋市中村区太閤)へ新築・移転して現在に至ります。

高齢化率の高い名古屋市中村区において当院は救急医療の中核を担っており、年間の救急車受け入れ台数は高いレベルで推移しています。高齢化が進む地域住民の健康を支え、皆さまの信頼にお応えするためにも、24時間365日、迅速かつ丁寧な医療をご提供しています。それぞれに高い専門性を備えたスタッフが、常に患者さんをあたたかくお迎えいたします。

当院は日本肝胆膵外科学会の高度技能指導医・高度技能専門医によるチーム医療を実践しています。私は膵臓がん手術の新たな手法“門脈カテーテルバイパス法”“メセンテリックアプローチ”を開発し、NHK『プロフェッショナル 仕事の流儀』で膵臓がん治療のスペシャリストとして紹介されたこともありました。このため当院には今もなお全国各地から患者さんが訪れます。他病院で手術ができないと言われた患者さんが私を訪ねて来院されることも多く、これまでに約1,200名の患者さんにセカンドオピニオンを行いました。

膵臓がんは進行してしまってから見つかることが多いですが、切除が難しいとされる局所進行膵臓がんに対しても、手術可能と判断すれば積極的に手術を行っています。また、2023年12月には、世界で3施設目となる“手術支援ロボットhinotoriによる膵臓がん手術“を開始し、低侵襲(ていしんしゅう)な治療も実施しています。

当院の強みの1つに、“なるべく断らない救急医療”が挙げられます。24時間365日体制で救急搬送などの受け入れを行っています。

地域柄、救急搬送される患者さんはご高齢の方が多く、複数の病気を抱えている方も少なくありませんが、病状に合わせ適切な治療を心がけ、緊急性の高い状況にも迅速に対応できる体制を整えることで、地域の皆さまの暮らしをお守りしています。

脳神経外科では、全国的にも珍しいブレインスイート(脳神経外科手術システム)を導入しています。ブレインスイートとは、手術中にMRIの画像を確認しながら腫瘍(しゅよう)を切除できる、画像誘導手術に特化した手術室のことです。

このシステムを活用することによって手術の進行状況をリアルタイムに確認できるため、より安全性の高い手術につなげることができます。また、当院の脳神経外科医はそれぞれが緻密な手術計画と適切な判断力を持ち合わせており、患者さん一人ひとりに適した治療をご提供できることが強みです。皆さまに不安なく治療を受けていただくことができると思います。

肝・胆・膵領域のがん患者さんに私が直接対応する“セカンドオピニオン外来”を開設していることも特徴です。また、当院の血液内科では、特殊専門外来“ライソゾーム病外来”と治療施設“ライソゾーム病センター”を開設しています。ライソゾーム病は国の指定難病ですが、当院には専門的な知識を備えた医師が在籍しているため、全国各地から患者さんがお越しになっています。

当院は“安全で質が高く、快適でまごころのこもった患者本位の医療”を理念としています。この理念の実現のため、院長である私自ら多くの手術を手がけ、患者さん一人ひとりに丁寧な対応を心がけています。一方で院内感染予防にも力を入れて、患者さんの安全を第一に考えた医療をご提供したいと考えています。

また、難しいといわれる膵臓がんの手術に対応できる医師を育てることにも力を入れたいと思っています。これからも地域の皆さまに信頼される病院であり続けるため、患者さんの立場に立って考え、地域社会に貢献することを使命とし、協力、責任感、積極性にあふれた活力ある病院づくりを目指してまいります。

*医師や提供する医療の内容等についての情報は全て、2024年6月時点のものです。

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