院長インタビュー

透析患者さんが抱える問題を解決するべく、改革と進化を続ける小倉第一病院

透析患者さんが抱える問題を解決するべく、改革と進化を続ける小倉第一病院
メディカルノート編集部  [取材]

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福岡県北九州市小倉北区にある小倉第一病院は、1972年に透析クリニックとして誕生しました。現在も当時の思いを受け継ぎ、慢性腎臓病に対する透析治療や糖尿病の診療を中心に人々のニーズに応えています。そんな同院の役割や今後について、理事長・院長の中村秀敏(なかむら ひでとし)先生にお話を伺いました。

当院は1972年に透析クリニックとして誕生し、1985年に現在の小倉第一病院に改組しました。現在の小倉北区下到津へ新築移転したのは2021年11月です。開院当初から透析医療を中心に対応しており、現在では慢性腎臓病の発症初期から透析患者さんの人生の最終段階における医療*まで、慢性腎臓病のほぼ全てのステージにおいて必要な医療サービスを提供しています。さらには合併症にも対応できるよう2015年に形成外科医、2021年に外科医と皮膚科医、2024年に糖尿病内科医が常勤医に加わり、充実した診療体制で患者さんのニーズに応えています。

*人生の最終段階における医療:終末期医療(2015年3月に厚生労働省 検討会において終末期医療から名称変更)

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小倉第一病院で診療にあたる常勤医師(2024年7月現在)

当院の透析室は、患者さんができるだけストレスなく治療が受けられるよう配慮した造りになっています。2階の外来透析室は90床を備え、透析ベッドと透析チェアの配置を工夫し、窓から四季折々の景色が望める、明るく開放的な透析室にしました。また発熱や感染症状があった場合に備え、隔離透析ができる個室を3室設けています。

3階の透析室には入院透析室が24床あり、搬送する際の患者さんの負担を軽減させるため、ベッドのまま体重測定ができる体重計を設置しています。また、要介護透析室を6床設置し、認知症の方や介護が必要な方の透析を少人数で安全に実施できるよう配慮しました。

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小倉第一病院の内観(2階外来透析室)

透析医療の質を向上させるために、我々は新しい治療や機器を積極的に導入しています。最近の例では、2022年から透析医療の血管領域治療の1つ“シャントPTA”を当院で実施しています。シャントPTAは、先端にバルーンのついたカテーテル(細い管状の器具)をシャント(透析に使うための血管)内の狭窄(きょうさく)部に挿入し、バルーンを膨らませることによって血管を拡張する治療法です。透析を続けていると血管が細くなり、シャントの血流が悪くなることがあるため必要な治療です。そのような場合、これまでは対応可能な病院に紹介する必要がありましたが、シャントPTAを当院にも導入したことで継続して治療が可能になりました。これにより患者さんの利便性は格段に向上したと思います。

腹膜透析では、透析に必要なカテーテルを挿入する手術も当院で実施しています。また、通院しながら腹膜透析をするのが困難な方には、訪問診療も行っています。そのほか、血液透析患者さんに向けてはご自宅にてご自身で透析を行う在宅血液透析にも対応しています。在宅血液透析は患者さんの生活に合わせたスケジュールを組み、時間をかけて透析を行うことができ、その自由度の高さが大きなメリットです。透析を必要とする患者さんは全国で34万人ほどいるといわれていますが、その中で在宅血液透析を行っているのは700人ほどです。まだ全国的にも数の少ない在宅血液透析ですが、患者さんのご希望があれば当院で適宜対応させていただきます。

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腹膜透析のカテーテル手術風景

2009年にフットケアチームを発足し、形成外科や皮膚科とも連携して外来・入院の透析患者さんの足のケアに取り組んできました。その背景には、透析を続ける患者さんは合併症として足の病変を抱えるリスクが高いため、その合併症を未然に防ぎたいという思いがあります。長期にわたる透析や糖尿病によって動脈硬化が進行すると足の動脈が狭くなり、潰瘍(かいよう)ができたり、放置した場合は壊死(えし)を起こして切断が必要になったりすることがあります。このような事態を可能な限り避けるべく、透析患者さんにはフットケアを活用していただきたいと考えています。

腎臓病を中心とした病院ではありますが、2015年に形成外科医、2021年に皮膚科医、2024年に糖尿病専門医が常勤医師として入職しました。いずれもそれぞれの専門分野で独立した診療をしながらも当院のメインストリームである慢性腎臓病や透析の合併症診療に携わってくれています。また非常勤医師として、循環器内科医、高血圧専門医(日本高血圧学会認定)、消化器内科医、整形外科医、歯科医が勤務しています。それぞれの得意分野を生かしてピンポイントに患者さんの問題解決を図ってくれるため、私どもの医療に厚みを持たせてくれています。

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小倉第一病院の外観

2021年の新築移転に伴い、職員が交流できる広いオープンスペースを設置しました。この計画は、新築移転で職員の動線が変わることで、それまで毎日顔を合わせていたスタッフ同士が交流する機会が減少するのを懸念して進められました。透析を中心にした診療体制を整える当院は、1つの科で治療が完結するケースはほとんどありません。多くの職員が透析に関わることから、職員同士の意思疎通を活発に保つことで、提供する医療サービスの質の維持と向上を目指しました。移転して数年が経過しましたが、オープンスペースを多くのスタッフが利用しておりとても好評です。

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小倉第一病院の交流スペース

透析は、患者さんの生活に密接に関係する治療です。それゆえ、我々は患者さんの人生や生活に関わる身近な存在でもあるという重責とやりがいを感じながら日々の診療にあたってきました。今後も透析治療を中心としながら、それにとどまることなく、患者さんが抱える問題を隅々まで解決できる、地域の頼れる存在になれるよう前進してまいります。

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