院長インタビュー

救急医療や先進医療で沖縄県南部の地域医療を守る南部徳洲会病院

救急医療や先進医療で沖縄県南部の地域医療を守る南部徳洲会病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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1979年に開院した医療法人徳洲会 南部徳洲会病院(以下、南部徳洲会病院)は、救急医療や急性期医療、先進医療などを中心に地域医療を支える沖縄県南部地域の中核的な病院です。2007年には新築移転を果たし、地域のニーズに応えながら成長を続けてきました。

県南部地域の医療を守るために日々尽力する同院の特徴や強み、取り組みなどについて院長である服部 真己(はっとり まさき)先生にお話を伺いました。

南部徳洲会病院は、徳洲会グループ初となる関西圏外の病院として1979年に設立されました。設立の翌年(1980年)に、沖縄県の民間病院として初となる救急病院の指定を受けて以来、救急医療は当院の大切な使命となっています。

2007年には現在の地に新築移転を果たし、ドクターヘリ受け入れのためのヘリポートも設置しました。新型コロナウイルス感染症の流行時には、コロナ診療や発熱患者さんの受け入れにも尽力しました。近年は救急医療だけでなく、がんなどに対する先進的な医療にも注力しており、最新の医療機器の導入なども積極的に行っています。

“生命だけは平等だ”という徳洲会グループの理念のもと、“いつでも、どこでも、誰でもが最善の医療を受けられる社会”を実現するために、今後もさらなる成長を目指します。

現在(2025年1月時点)沖縄県内では、当院より南に24時間365日体制で救急医療を提供している医療機関はありません。こうした状況も含め、この地域の救急医療を守ることは当院の大きな使命であると考えています。

先述のとおり、2007年に新築移転した際には屋上にヘリポートを設置し、離島などからのドクターヘリ搬送の患者さんも受け入れています。また、2009年からはドクターカーの運用も開始しており、救急隊からの要請に応じて事故や災害の現場に医師や看護師などを派遣し、迅速な救命活動を行える体制を整えています。

当院が所在する島尻郡八重瀬町や近接する南城市、糸満市などは宅地造成が盛んで人口が増加傾向にあり、少なくとも10年以上は医療ニーズも増加傾向が続く見込みの地域です。そうした地域事情もあって当院に来られる患者さんも年々増えており、救急件数は2007年の新築移転当初と比べて約2.7倍と大幅に増加しています(※2007年7~11月と2024年7~11月の比較)。

年々高まる救急医療ニーズに応え続けることは大変な面もありますが、それでも当院はこれからも“断らない救急”をモットーとして、可能な限り患者さんを受け入れられるよう努めてまいります。

当院は2012年に放射線治療科を設置し、放射線治療の充実に力を入れております。当科の設置とともに県内で初めて高精度の放射線治療装置“トモセラピー”を導入し、さらに2020年には、最新型の定位(ピンポイント)放射線治療装置“サイバーナイフM6”を導入しました。2023年にはトモセラピー機器を“radixact X9”に更新し、より安全・正確に短時間で広範囲かつ複雑な形状の照射が可能となりました。

当科には全国的に不足している放射線治療専門医(日本放射線腫瘍(しゅよう)学会認定)が3名在籍していることもあり、トモセラピーとサイバーナイフによる治療件数は全国的にみても多く、着実に実績を重ねています。

2024年には、核医学検査(RI検査)を行えるSPECT/CTも導入しました。SPECT/CTでのRI検査は、身体の内側からがん細胞を攻撃する放射線治療(核医学治療)を行うために必要な検査です。SPECT/CTの導入によって体の外側からだけでなく内側からの放射線治療もできるようになり、当院における放射線治療の可能性がさらに広がりました。

当院の泌尿器科では、前立腺がんや腎がん、膀胱がんをはじめとした泌尿器領域のがんの治療に特に力を入れています。中でも前立腺がんの治療については先進的な医療にも積極的に取り組んでおり、2022年より国産の手術支援ロボット“hinotori”を導入しました。これにより、前立腺がんに対する前立腺全摘術をより低侵襲(ていしんしゅう)(体への負担が少ない)に行えるようになりました。

さらに、東大阪市に所在する“そばじまクリニック”のご協力を得ながら、前立腺全摘出後の合併症の1つである尿漏れが服薬治療などでも治らない患者さんに対する、脂肪幹細胞(皮下脂肪由来の幹細胞)を用いた再生医療の臨床研究も行っております。

当院の整形外科は骨折外傷、関節疾患、手指の機能障害、脊椎疾患、四肢(しし)の腫瘍などに対する診療を行っています。2022年より人工関節に特化したロボット手術支援システム“Mako(メイコー)”を導入し、より安全かつ正確な人工膝関節置換術や人工股関節置換術(じんこうこかんせつちかんじゅつ)が可能となりました。また今後は、変形性関節症などに対する再生医療を行えるようにしていきたいと考えています。

当院は、地域の皆さんに日頃の感謝の気持ちを還元し、当院のことを地域の皆さんにもっと知っていただくためのイベントとして、“南徳健康フェスティバル”という病院祭を開催しています。ここ数年はコロナ禍で開催が見送られていましたが、2024年11月に5年ぶりの病院祭“第19回南徳健康フェスティバル”を無事開催できました。

第19回の病院祭では、職業体験や内視鏡カメラ体験、看護体験などをはじめとしたさまざまな体験コーナーや院内ツアー、医療講演など健康や医療に関する企画はもちろん、ビンゴゲームやお化け屋敷、キッチンカーの出店、バザーなど楽しい企画も盛りだくさんで実施しました。院内ツアーやお化け屋敷は今回はじめての試みでしたが、どちらも参加者の皆さんにはとても好評で、特にお化け屋敷は大盛況でした。

日頃お世話になっている地域の皆さんに少しでも楽しんでいただけるよう、趣向を凝らして“よりパワーアップした病院祭の実現”を目指しておりますので、今後の病院祭にもぜひご期待ください。

当院では2024年3月より、紹介受診重点医療機関認定を取得し、充実した手厚い診療を心がけております。それを通じて患者さんには、当院を受診して気づいていなかった病気も見つけてもらいよかったと思っていただける診療を目指していますので、困っている方、苦しんでいる方は、安心してお越しいただきたいです。

当院は1979年の開院以来、地域の皆さんに支えていただきながらここまで成長してきました。これからも“地域の患者さんのための医療”を提供し、一人でも多くの方に「南部徳洲会病院があってよかった」と言っていただけるよう、努力を続けていく所存です。

*医師や提供している医療についての内容、および本文中の数字は全て2025年1月時点のものです。

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