院長インタビュー

沖縄本島中南部東海岸地域に根ざした医療の提供を使命とするハートライフ病院

沖縄本島中南部東海岸地域に根ざした医療の提供を使命とするハートライフ病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

目次
項目をクリックすると該当箇所へジャンプします。

沖縄県中頭郡中城村(なかがみぐんなかぐすくそん)に位置するハートライフ病院は、沖縄本島中南部東海岸地域に根差し、幅広い医療を提供する地域医療の中核的な病院です。

開院当初から、“困っている患者さんの視点に立ち、寄り添う心”を大切にしてきた同院の地域における役割や特長について、病院長の西原 実(にしはら みのる)先生に伺いました。

ハートライフ病院は1988年に、医療法人かりゆし会の病院として開院しました。開院後、少しずつ診療科や病床を増やしながら機能を強化し、現在はICU(集中治療室)やHCU(高度治療室)を含め308床を有する地域の中核的な病院となっています。

当院は、24時間救急指定病院、地域医療支援病院、災害拠点病院などの役割を担っており、内科、外科をはじめ、小児科や小児外科、産婦人科、心療内科、人工透析内科、整形外科、食道外科など31の診療科で幅広い医療を提供しています。さらに、予防医学センターや乳腺外科センター、ヘルニアセンター、スポーツ関節鏡センターなど12の専門センターを備えており、不整脈外来や股関節外来といった専門外来も開設しています。

また当院は、卒後臨床研修指定病院として指定を受けており、質の高い医療提供を目指した教育にも力を入れています。2023年には看護師特定行為研修センターも開設しており、看護師の技術向上にも取り組んでいます。

当院では、“わたしたちは、心と心を結ぶ信頼される医療を目指します”という理念を掲げており、開院当初から困っている患者さんに寄り添う気持ちを大切にしてきました。これからも地域のニーズに応えながら、安全で質の高い医療の提供を目指してまいります。

当院は、地域の二次救急指定病院となっており、24時間365日体制で急患の対応を行っています。二次救急の役割は、入院や手術が必要となるような中等症~重症の患者さんを受け入れることであり、当院は“断らない救急”を目指して、可能な限り救急の受け入れができるよう努めています。近年の新型コロナウイルス感染症の流行時にも救急機能を一度も止めずに何とか工夫して踏ん張りました。決して人員が多いわけではないですが、そうしたなかでも頑張ってくれるスタッフがいることは、当院の大きな強みと言えるでしょう。

2024年6月より手術支援ロボット“ダビンチ Xi”を導入し、ロボット支援下手術を開始しました。現在、消化器外科と婦人科にて、大腸がんや子宮良性疾患に対し以下の手術を行っています(2025年3月時点)。

  • 消化器外科:腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術
  • 婦人科:腹腔鏡下膣式子宮全摘術

また、泌尿器科では前立腺がん手術への活用を予定しています。今後も、高度かつ低侵襲(ていしんしゅう)(患者さんの体に負担の少ない)な治療を目指し、取り組んでまいります。

ダビンチの導入に続き、2024年9月には乳腺外科センターを立ち上げました。日本乳癌学会認定の乳腺専門医がセンター長を務め、外来・検診・手術・薬物療法や退院後のフォローまで、一貫した診療が可能となりました。乳腺外科の外来は女性専用待合で、プライバシーに配慮した設計となっており、検査着で共有スペースに出る必要がないよう工夫しています。また、入院による治療が必要となった場合も、女性用病棟への入院が可能です。

高齢化に伴い、医療のニーズにもさまざまな変化が生まれますが、眼科領域では白内障緑内障糖尿病網膜症などを患う患者さんが増えています。当院の眼科は、沖縄県内の総合病院では唯一、角膜移植治療を積極的に行っており、こうした病気に対してよりよい医療を提供できるよう努めています。当院では、2013年度より標準治療となった角膜内皮移植治療を実施しており、体への負担が少ない低侵襲な治療が可能です。

また、高齢者が多い地域ゆえに骨折などのけがが多いことから、整形外科の手術にも注力しています。当院では、手の外科、股関節外科、四肢(しし)外傷・骨折、さらにスポーツ関節鏡センター(膝関節外科)と、専門性に特化した診療を行っているため、さまざまな患者さんに対応が可能です。

眼科や整形外科もそうですが、今後ますます需要が高まると考えられるのが、総合診療医です。高齢者は一人で複数の病気を抱えていることが多いため、より総合的な診療の力が重要になるのです。当院では、総合診療医の育成に力を入れており、日本専門医機構より総合診療専門研修プログラムの承認を受けました。2025年度より開始となりますので、多くのジェネラリストを育成できるよう尽力してまいります。

私がセンター長を務めている患者総合支援センターでは現在、行政と連携して講演会を行ったり、健診(検診)の啓発活動に努めたりしています。これまでに、西原町と連携して大腸がん関連の講演を行っており、今後は宜野湾市と連携し乳腺についての講演も行う予定です。

大腸がんに関しては、検診率の低さなどが沖縄県全体の課題となっています。そのため、当院では希望があれば入院患者さんに対し無料で大腸がんの検査を実施するなど、早期発見に向け取り組んでいます。今後も引き続き啓発活動を続けていきますが、当院だけでは検査体制が追い付かない可能性もありますので、地域の医療機関とも連携しながら進めていきたいと考えています。

また当院では、沖縄県医師会が中心となり実施している“おきなわ津梁ネットワーク”に参加しています。これは、利用者カードの登録をすることで、医療機関と患者さんとをスムーズにつなぎ、よりよい医療の提供を目指すものです。現在、当院の患者さんの多くにご利用いただいていますが、今後もさらに利用者が増えるよう積極的な啓発を行ってまいります。

社会の変化とともに医療を取り巻く環境も大きく変わってきていますが、当院が中心となって地域の医療資源、介護資源、行政との連携を活発化させ、周辺地域を巻き込んだまちづくりをしていければと考えています。この地域の高度急性期医療を担う病院としてこれからも、患者さんをはじめ、職員、地域の医療機関や介護施設、行政からも選ばれる病院を目指してまいります。

引き続き、地域の皆さんの健康を守り、患者さんやご家族に寄り添った医療を充実させてまいりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

*医師や提供している医療の内容についての情報および、病床数や診療科数などの数字は全て2024年12月時点のものです。

この記事は参考になりましたか?
記事内容の修正すべき点を報告
この記事は参考になりましたか?
この記事や、メディカルノートのサイトについてご意見があればお書きください。今後の記事作りの参考にさせていただきます。

なお、こちらで頂いたご意見への返信はおこなっておりません。医療相談をご要望の方はこちらからどうぞ。

メディカルノートをアプリで使おう

iPhone版

App Storeからダウンロード"
Qr iphone

Android版

Google PLayで手に入れよう
Qr android
Img app