
この章では、接触皮膚炎の具体的な治療方法について、また最新の研究から今後の展望までについて、引き続き京都大学医学研究科 皮膚科学教室教授の椛島健治先生にうかがいました。
そもそも赤いぶつぶつができたときに、接触皮膚炎なのかそれ以外の病気なのかを、見た目で判断するのは難しいと思います。一つの目安として、ある特定の場所に繰り返し同じような症状が現れた場合には、一度皮膚科を受診することをおすすめします。接触皮膚炎が疑われ、原因と思われる物質を避けてもしばらくして(目安としては1週間ほど)症状が改善されなかった場合は、違う物質が原因である可能性が高いため、再度受診をしましょう。
すでに炎症が生じている場合にはステロイド軟膏の外用剤が処方されることが多いです。しかし、原因物質との接触を避けられない場合、塗り薬を使用しても副作用がでることも多く、まずは原因物質の除去に努めることが第一となります。特に顔にできたかぶれに対して長期にステロイドを塗ると、毛細血管の拡張などの副作用が生じやすいため、注意が必要です。
またステロイド軟膏は種類も多く、強さもさまざまです。ステロイドは原因物質を除去した上で使用すれば、症状がおさまるまでの期間が短くなる効果があります。しかし副作用も生じやすいため、担当医と相談の上、自分にあったステロイドを処方してもらいましょう。さらに、まれではありますが、ステロイド外用剤によるかぶれを生じるケースもあります。
目が開かないくらいにパンパンに腫れてしまっている、日常生活に支障をきたすほど炎症反応が起きているという場合には、ステロイドを内服することもあります。例えば漆(うるし)による皮膚炎などは症状が強く、外用のステロイドでは症状が改善されないこともあります。ただ実際には、接触皮膚炎で内服薬を使用することはあまりありません。
金属除去療法とは、金属による全身性接触皮膚炎の患者さんで、原因となる金属との接触を除去しても症状が改善されない場合に用いる方法です。金属との接触だけではなく、体内に摂取する金属量を減らすために、食物中の金属摂取制限・歯科金属除去の2つの方法がとられることがあります。
ニッケル・クロム・コバルトなどは特にチョコレート・ココア類・豆類・香辛料・貝類などに多く含まれるため、上記金属アレルギーの場合は摂取量の摂取制限を行います。また、ステンレス製の調理器具からニッケルなどの金属が溶け出していた例も報告されています。この場合、調理器具の変更の検討をすることもひとつの方法です。
歯科治療時の詰め物(入れ歯など)に水銀・パラジウム・金などが含まれていることもあり、これらが原因となってアレルギーを引き起こしていることもあります。この場合、歯科で詰め物などを除去してもらうことで改善する可能性もあります。
ただ、この治療法は接触皮膚炎ガイドライン(治療方針)の中でも標準治療として推奨しているわけではないので、一般には行われていません。また、費用の問題や患者さんの性格など様々なことを考慮した上で、効果が見込める場合に行う治療になります。
私が行っている研究のひとつとして、おむつかぶれ(刺激性皮膚炎)のメカニズムの解明というテーマがあります。長い間おむつかぶれの原因はよくわかっていなかったのですが、マウスを使った実験により、白血球の中でも特に好酸球・好塩基球の相互作用によって刺激性皮膚炎が生じていることが解明されました。
おむつかぶれは赤ちゃんだけではなく、高齢者の方でもトラブルを抱えている方がいらっしゃいます。現在はまだ臨床応用は進んでいませんが、今後好酸球・好塩基球の働きを抑制する薬ができれば、ステロイド以外の薬による治療ができるようになるかもしれません。
また、もう一つの研究として、オメガ3脂肪酸のひとつである「レゾルビンE1」の皮膚アレルギーの対する効果についても研究が進んでいます。オメガ3脂肪酸は魚類に多く含まれる脂肪酸で、昔から血をサラサラにする動脈硬化抑制の効果が知られていました。また、それと同時にぜんそくを抑制するなど、抗炎症作用があることも注目されてきた物質です。この抗炎症作用に着目し、代謝産物の1つである「レゾルビンE1」によって皮膚アレルギーが改善されることがわかってきました。現在はアトピー性皮膚炎の患者さんに対して内服薬・外用薬の処方による研究が進められており、将来は保険適用の治療になるかもしれません。
【参考:接触皮膚炎診療ガイドライン】
京都大学大学院 医学研究科 皮膚科学 教授
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。
関連の医療相談が10件あります
パニック障害?甲状腺?常に息苦しさが吸えない
パニック障害と診断されていますが、現在、予期不安が強く、「また息苦しくなるのではないか」「倒れてしまうのではないか」という不安がよくあります。 症状としては、息苦しさ・呼吸が浅く感じる・喉の詰まりや異物感・あくびが多い・発汗しやすい・時々手が細かく震える・下痢気味などがあります。症状は急に強くなることがあり、呼吸や身体のことを意識すると悪化する感じがあります。一方、仕事など他のことに集中していると多少気にならなくなります。 喉の違和感は比較的常にありますが、食事や水分は普通に飲み込めています。咳、喘鳴(ゼーゼー)、声のかすれはありません。 安静時の頻脈はなく、現在は心拍60〜70回/分程度です。以前の心電図でも異常は指摘されていません。2026年4月の健診ではHb 15.5g/dLで、貧血はありませんでした。 一方で、甲状腺機能(TSH・FT4など)は検査したことがないと思います。汗をかきやすいことや手の震え、首の前側が少し腫れているように感じることもあるため、甲状腺機能について一度検査した方がよいでしょうか。 また、喉の違和感について、咽喉頭異常感症(いわゆるヒステリー球/globus sensation)の可能性は考えられますか。 パニック障害の薬を処方されていますが、副作用への不安が強く、まだ服用できていません。SSRIを開始することに抵抗があるため、まず半夏厚朴湯などの漢方薬を試す選択肢についても先生のご意見を伺いたいです。 ①現在の症状はパニック障害・予期不安によるものとして矛盾しないでしょうか。 ②甲状腺機能(TSH・FT4等)の検査は必要でしょうか。 ③喉の違和感について耳鼻科等での検査は必要でしょうか。 ④SSRIへの不安が強い場合、漢方薬から治療を始める選択肢はありますか。 よろしくお願いいたします。
妻の背中の痛み
56才の妻が1ヶ月位前から背中が痛んでいる。 病院に行くべきか、行くなら何科の医者に行ってどんな話をしたら良いかの助言をいただきたい。 背中は両方の肩甲骨の下10〜15cm位の長さの場所で、背骨の痛みは無く、体の奥深い所でもないみたいで、どちらかと言うと筋肉が痛んでいるみたい。 呼吸する時に痛みを感じ、夜になると痛みが増して、ベッドで寝返りをしたり体を動かすと痛みが増すとの事だが、約1ヶ月前に痛み始めてから悪化をしてはいない模様。 スーパーの弁当作りの仕事を10年弱続けているが、作業台の高さが決まっていて、ずっと同じ姿勢で仕事をしているらしい。 私の印象としては作業台の高さに体を合わせて同じ姿勢で働き続けている事が背中の負担になって、背中の痛みと関連してないかと疑っている。 ただそんなに単純な事なのか、この痛みに何か別の原因が隠れてはいないかと、妻本人も私も不安を感じているので、ここで助言をお願いしている次第。 よろしくお願いします。
左右脇腹の違和感
3週間ほど前から左右の脇腹や下腹部の鈍痛が断続的に発生していましたが、我慢できないような痛みではなかったので様子を見ております。ここ数日は症状が落ち着いてきましたが現在も左右の脇腹(腰から肋骨の下部にかけて)に筋肉痛のような違和感が時々発生します。 尚、左右同時に違和感が発生することはなくどちらか一方だけです。 違和感は主に座っているときに発生し、寝たり立っているときは殆ど感じません。尿検査キットで調べたところ尿蛋白は±、糖尿は-でした。 発熱や食欲不振などその他の症状はありません。 以前から肩懲りと腰痛が続いており関係があるのか分からないのですが、どのような原因が考えられますでしょうか?
一月ほど前から喉の違和感が続いています。
一ヶ月半ほど前から、右側耳の下辺りに違和感があり、ゲップをすると小骨が刺さった様な違和感があります。 耳鼻咽喉科を受診し、逆流症の疑いありとのことで薬を処方されていますが、痛みは治らず、三日ほど前から、右側舌の付け根が痛み始め、声のかすれや痰が絡む症状が出ています。 咽頭がんや舌癌が不安なので、精密検査を受けたいのですが、どの病院に行けば良いのでしょうか?
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「かぶれ」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。