治療
便秘症と診断された場合には、症状や原因によって次のような治療が行われます。
食事・生活・排便習慣指導
便秘症と診断された場合、大腸がんなどの病気が原因であるケースを除いて第一に行うべきなのは、食事・生活・排便習慣の改善です。
そのためには、朝食の摂取を含めた規則正しい食習慣、適切な食物繊維の摂取など食生活の見直し、適度な運動習慣などの指導が行われます。また、便意を感じたら我慢せずトイレに行って排便をする排便習慣の確立も重要です。
その一方、便意を感じる能力が低下・消失している脊髄障害などの特別な場合を除いて、便意を感じていないのにトイレに行って長時間いきむことは誤った排便習慣です。
薬物療法
食事・生活・排便習慣指導を行っても便秘が改善しないケース、非常に重度な便秘でさまざまな身体症状を引き起こしているようなケースでは、便を軟らかくしたり大腸の運動を促したりする作用のある下剤などの薬物が使用されます。
下剤には大きく分けて非刺激性下剤と刺激性下剤がありますが、安定した排便回数や便の硬さを保つために非刺激性下剤を毎日適量内服することが原則です。その一方、刺激性下剤は適量の非刺激性下剤が見つかるまでの一時的な頓服使用にとどめます。
原因となる病気の治療
大腸がんやクローン病など大腸の病気が原因で便秘が引き起こされている場合は、その原因となる病気を根本的に治すための治療が必要です。
また、腹筋の筋力低下のために排便時のいきむ力が低下していることや、排便時に緩めるべき肛門を逆に締めてしまう異常(機能性便排出障害)に対しては、バイオフィードバック療法と呼ばれる専門的な治療が有効な場合があります。さらには、女性で排便時に直腸の前の壁が腟側に膨らむために直腸内の便をうまく出せない直腸瘤に対しては、直腸と腟の間の壁を強くする手術が行われることもあります。
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