こきゅうふぜん(きゅうせいこきゅうふぜん/まんせいこきゅうふぜん)

呼吸不全(急性呼吸不全/慢性呼吸不全)

最終更新日
2017年04月25日
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2017/04/25
掲載しました。

概要

呼吸不全とは、肺および心臓の機能が障害を受けることで、全身に十分な酸素がまわらなくなってしまう状態を指します。

肺は、身体の中の酸素・二酸化炭素バランスを保つためのガス交換を行っています。肺の機能が障害されると、身体の中の酸素が足りなくなってしまい、全身の各種臓器に対してさまざまな障害が引き起こされます。この状態のことを呼吸不全と呼びます。

呼吸不全が起こると、息苦しさを覚えるようになります。病気の進行程度によって治療方法は異なりますが、酸素投与や人工呼吸管理などが検討されます。慢性に経過する呼吸不全では、一定量の酸素サポートがなければ日常生活を送ることもままなくなることがあります。そのため、在宅酸素療法と呼ばれる方法が選択されることもあります。

原因

呼吸不全を引き起こす原因となる病気はさまざまです。原因によって病気の進行程度が異なり、数日の間に症状が悪化することがあれば、慢性の経過で徐々に呼吸状態が悪くなることもあります。

急性呼吸不全の場合

急性に経過する呼吸不全としては、肺炎自然気胸・急性肺血栓塞栓症などがあります。肺に生じる病気のひとつとして、急性呼吸窮迫症候群と呼ばれるものがありますが、これも急性呼吸不全の代表疾患です。急性呼吸窮迫症候群は、肺に対しての直接的な侵襲以外にも、敗血症、重症熱傷、重症膵炎外傷などを原因として発症します。

慢性呼吸不全の場合

慢性の経過から発症する呼吸不全もあります。代表的なものとしては、喫煙習慣と密接な関連のある肺気腫です。また、間質性肺炎や肺結核後遺症などでも呼吸不全が生じることがあります。

症状

呼吸不全では、肺の機能が低下することと関連して息苦しさを自覚するようになります。特に運動をしているときには身体の酸素需要量が増えるため、運動時に息苦しくなりやすいです。息苦しさを代償するために呼吸回数が増え、喘鳴(ぜんめい:呼吸のさいにゼーゼーと音がなる)が出たり肋骨の間がへこむような呼吸の仕方になったりすることもあります。また、日常的に呼吸をすることにエネルギーを使用することから、体重減少につながることもあります。

そのほか、二酸化炭素が体内に蓄積すると頭痛や意識レベルの悪化などがみられることもあります。慢性呼吸不全に対して在宅酸素療法を行っている方の場合、酸素調節の仕方がうまくいかずに呼吸がきちんとできず、意識を失ってしまうこともあります。

以上のような症状はすべての方に見られるわけではなく、経過や重症度などによって異なります。

検査・診断

呼吸不全では、酸素と二酸化炭素の体内バランスが異常を示していることを確認することが重要です。両者を同時に評価するためには血液検査を行います。肺の構造を確認するために、単純レントゲン写真や胸部CTといった画像検査を行うこともあります。

また、運動負荷を行っている間の酸素飽和度評価も行われます。これは、どの程度酸素バランスが障害を受けているかの検査を行い、在宅酸素療法の導入を判断するためでもあります。

そのほか、呼吸不全を引き起こしている病気を調べる検査をおこなうこともあります。具体的には、血液や痰を用いての培養検査などです。肺がんが原因となっていることもあるため、生検検査が行われることもあります。

治療

酸素の補充を目的とした治療が行われます。具体的には、酸素投与や非侵襲的陽圧換気、挿管したうえでの人工呼吸管理、膜型人工肺での呼吸管理などが検討されます。

慢性に経過する呼吸不全では、日常生活を行うためのサポートが必要となることもあります。在宅酸素療法と呼ばれる方法を導入し、家でも呼吸苦を軽減して過ごせるようにします。

呼吸不全では、肺障害を引き起こす疾患に対しての根本治療も行います。肺炎敗血症であれば抗生物質の投与が検討され、気胸であれば脱気を行うための胸腔ドレナージが行われます。肺気腫では喫煙習慣と関連して肺機能がさらに増悪するため、禁煙を行うことも大切です。

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