乾癬の診断は特徴的な皮疹、つまりカサカサした赤い病変がみられた場合に大方診断されます。確定診断(何の病気なのかを確定させる診断)には皮膚生検(患部の一部を取って,顕微鏡などで調べる検査)が必要となります。また、悪化要因の関与を知るために問診が大切です。今回は、横須賀共済病院皮膚科部長、神奈川乾癖患者会相談医などを歴任し、うちだ皮膚科クリニック 院長を務められる内田敬久先生に、乾癬患者さんへの問診の重要性と、乾癬の類似疾患についてお話を伺いました。
問診では、家族歴や悪化因子の検索として、ストレスの有無、風邪の既往、歯科金属の有無、内服薬の種類、ケブネル現象(健常部を擦ると病変部が再現されること)を起こすような刺激を与えていないかなど、時間をかけて詳細に聞くことが重要です。
臨床症状にて判断がつかない場合は確定診断として皮膚生検が必要です。皮膚生検とは、皮膚病変部に局所麻酔をかけて一部を採取して標本を作製し、それを顕微鏡でみる検査です。
以下は乾癬の代表的な類似疾患です。その他にも、貨幣状湿疹や類乾癬、Gibertばら色粃糠疹(ジベルばらいろひこうしん)など、多数の類似疾患があります。患者さんご自身での鑑別は難しいため、症状が現れた場合は皮膚科を受診し、それぞれの疾患に適した治療を受けてください。
脂漏性湿疹とは、皮脂分泌が多い部位(いわゆる脂漏部位)である頭部、眉間、鼻周囲、前胸正中部、上背部、頭髪の生えぎわに沿った部位にみられる落屑を伴う紅斑で、掻痒の程度は様々です。乾癬は間擦部位に生じます。
皮膚が炎症を繰り返していると、次第に紅斑が厚くなりカサカサとしてきます。このような状態を慢性湿疹といいます。たとえば、虫に刺された箇所を長期的に引っ掻いていると、慢性湿疹を発症することがあります。
爪白癬とは俗に爪水虫といわれている病気です。爪と皮膚の間から白癬菌が侵入し感染すると、次第に爪が白く濁ります。進行すると、爪が脆くボロボロになります。診断は爪や皮(角層)の一部を擦りとり顕微鏡で検査します。
乾癬に患者さんはケブネル現象がみられるため、薬疹や虫刺されにより生じた皮疹も、乾癬様の皮疹としてみられることがあります。そのため、乾癬自体が悪化したのか、別の病気が併発したのかを鑑別しなくてはいけません。すぐに乾癬の悪化と判断し治療をするのではなく、様子を見ながら慎重に原因を特定する必要があります。
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