しんげんせいしょっく

心原性ショック

最終更新日:
2020年08月31日
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2020/08/31
更新しました
2017/04/25
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概要

心原性ショックとは、全身の臓器に血液を送る心臓に何らかの異常が生じることによって血液を十分に送ることができなくなる状態をいいます。医学用語としての「ショック」とは、「全身の臓器に起こる循環不全」といった意味合いを持ちます。

1分間に心臓が全身に送る血液の量は、「心臓が一回動いて大動脈に向けて血液を送る量(1回拍出量)×心拍数」で決まります。そのため、病的な異常によって1回拍出量が減る状態でも、心拍数が減る状態でも、心原性ショックが生じます。

心原性ショックは急激に悪化していくことから、疑わしいと感じたら速やかに医療機関を受診して治療を受ける必要があります。

原因

原因は大きく分けると(1)1回拍出量が減る状態、(2) 心拍数が減る状態の2つがあります。

(1)1回拍出量が減る状態

心臓の筋肉(心筋)の収縮力が低下するもの(心筋梗塞心筋症心筋炎など)と、心臓から大動脈に向かう血液量が減るもの(僧帽弁逆流の悪化・心臓破裂・心室中隔穿孔・大動脈弁狭窄症など)があります。

(2)心拍数が減る状態

危険な不整脈心室細動心室頻拍など)、迷走神経反射、病的な徐脈(じょみゃく)(脈が遅くなる)などがあります。

症状

ショック状態に伴う全身の症状と、心原性ショックが起こった原因による症状の両方が現れます。

ショック状態に伴う全身症状

意識障害や吐き気、嘔吐、全身のだるさ(全身倦怠感)、血圧低下で脈が触れにくくなる、などがあります。

心原性ショックが起こった原因による症状

心筋梗塞や心臓破裂、心室中隔穿孔(しんしつちゅうかくせんこう)など

心臓の壁が破れたり、心筋が酸素不足となったりすることによる突然の胸の痛みなどが生じます。

危険な不整脈や徐脈

気分不快感や胸の不快感、さらに失神などが生じます。

心原性ショックが長引くと肺にとどまる血液が増えて、心臓に戻る血液が減ってしまい呼吸困難やむくみが出てくることもあります。

検査・診断

心原性ショックは急激に発症し命に関わる状態となるため、検査により迅速に心臓の動きを評価することがとても重要です。

まず全身状態を把握するために血圧や心拍数などのバイタルサインを確認します。その後、心臓の電気的な動きを評価するために12誘導心電図をおこなって異常な状態がみられないか確認します。急性心筋梗塞心筋炎では、この心電図で波形の異常がはっきりと現れることが多いため診断には極めて重要です。

さらに、心臓超音波検査をおこなって以下を評価します。

  • 心筋の動き方、心臓の内側の大きさや壁の厚さ、または壁のどこかに裂け目があったり重度の弁逆流や狭窄があったりしないか
  • 心臓から漏れ出た血液によって、心臓がうまくふくらめない状態(心タンポナーデ)があるかなど

血液検査では、心筋の細胞が壊れて出てくるマーカーの値が上昇していないかを確認します。そのほか、心拍数が異常に低下する原因となる頚部(けいぶ)(首)や眼球の圧迫、薬物・毒物の影響がないか確認することも重要です。

治療

命を守るために、まず全身管理をおこないます。酸素投与、点滴、呼吸が不十分となるようであれば人工呼吸での管理、さらに血圧を維持するための薬の投与などをおこないます。同時並行で、原因となるそれぞれの状態に対する治療をおこないます。

原因を取り除く手術として、心筋梗塞に対しては血管内カテーテル治療、心臓破裂や心室中隔穿孔などの心臓の構造が損なわれたものに対しては外科手術があります。

また、心筋炎のように一時的に心臓が正しく動かない状態や、治療をしても心臓が正しく機能しない場合には、体外循環装置(PCPS、ECMO)や大動脈内バルーンパンピング(IABP)などで心臓を補助します。

心拍数の低下に対しては、まず心拍数を上昇させる薬剤を用いたり、一時的に外から電気的な刺激を与えて心拍数を上昇させる心臓ペーシングをおこなったりします。同時に、心拍数が低下した原因をつきとめて原因に対する治療もおこないます。

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