しんげんせいしょっく

心原性ショック

最終更新日:
2024年12月06日
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2024/12/06
更新しました
2020/08/31
更新しました
2017/04/25
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概要

心原性ショックとは、心臓に何らかの異常が生じることで十分な血液を全身に循環できなくなり、臓器の機能が低下する重篤な状態です。急性心筋梗塞(きゅうせいしんきんこうそく)、劇症型心筋炎、心臓弁膜症不整脈などの循環器疾患のほか、急性薬物中毒で引き起こされることもあります。

酸素は臓器や細胞が働くために必要不可欠で、血液の循環によって心臓から全身に運搬されています。血液が不足すると脳や腎臓、肝臓などさまざまな臓器が正常に機能できなくなり、多臓器不全を起こして命に関わる可能性が高まります。

心原性ショックは急激に悪化するため、速やかに医療機関を受診して適切な治療を受ける必要があります。

原因

心原性ショックの原因で最も多いのは、急性心筋梗塞といわれています。そのほか、以下の原因によって心臓から十分な血液が送り出されなくなることで生じます。

  • 心臓の筋肉(心筋)の収縮力低下……拡張型心筋症、劇症型心筋炎、急性薬物毒など
  • 心臓から大動脈に送り出される血液量の減少……大動脈解離、僧帽弁や大動脈弁の異常、心筋破裂、心室中隔穿孔(しんしつちゅうかくせんこう)大動脈弁狭窄症(だいどうみゃくべんきょうさくしょう)など
  • 不整脈……心室細動心室頻拍など
  • 薬物……β遮断薬、抗不整脈薬など

症状

心原性ショックを発症すると、時間の経過とともに全身にめぐる血液量が不足して、皮膚が冷たくなったり青白くなったりするほか、息苦しさを感じたり、血圧が著しく低下することでふらついたり意識を失ったりする場合もあります。

また、全身に十分な血液が送られなくなることで脳や腎臓、肝臓などさまざまな臓器にダメージが生じます。多臓器不全に陥ると命に関わる可能性が高くなるため、早急に適切な治療を受ける必要があります。

検査・診断

全身状態を把握するために、意識の状態、血圧や心拍数などのバイタルサインを確認します。その後、心臓の電気的な活動を評価する “12誘導心電図”という検査を行い、心臓の筋肉に異常がないかを確認します。

さらに、超音波などの画像検査で、心筋の動き方や、重度の弁逆流、狭窄がないかを確認します。血液検査では、尿素窒素(BUN)やクレアチニンなどの値をみて臓器に異常が生じてないかを確認します。

そのほか、心拍数が異常に低下する原因となる薬物や毒物の影響がないかを確認することも重要です。

治療

心原性ショックの治療では、第一に血圧を上昇させるため、迅速に薬剤の投与や輸液などを行い、併せて酸素吸入も実施します。

急性心筋梗塞が原因の心原性ショックの場合には、大動脈にカテーテルを挿入して心臓の働きを補う“大動脈内バルーンパンピング”を行うことがあります。

血圧が極度に低下しており、心停止が危惧されるほど切迫した状態の場合には、心臓と肺の働きを補助する“経皮的心肺補助”などの治療が必要になるケースもあります。

これらの治療と並行して、心原性ショックの原因に対する治療も行います。具体的には、急性心筋梗塞に対する血管内カテーテル治療、心臓弁膜症に対する弁置換手術または弁形成手術、不整脈に対しては薬物治療、電気ショックを行った後に状態によって心臓にペースメーカーを植え込むためのリード(ペースメーカー本体と心臓をつなぐ導線)挿入などが挙げられます。

これらの治療は救急外来で行い、その後は集中治療室にて全身状態の管理などを行います。

予防

心原性ショックの原因は多岐にわたるため、必ず予防できるというわけではありません。

しかし、心原性ショックの原因として最も多い急性心筋梗塞は、高血圧症糖尿病脂質異常症などの生活習慣病や、喫煙習慣などがリスク要因となります。そのため、生活習慣を改善し、生活習慣病に対しては適切な治療を継続することが発症予防につながります。

また、急性心筋梗塞は狭心症から移行して発症することがあります。歩行時の息苦しさ、胸の痛み、圧迫感などの自覚症状があれば、狭心症の可能性があるため医療機関を受診しましょう。

さらに、心原性ショックは心臓弁膜症などの病気が重症化した際に引き起こされることもあります。歩行時の息苦しさ、体のむくみ、急な体重増加などから心臓弁膜症など心臓の病気と診断された場合は、医師の指示に従って治療を継続していくことも大切です。

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