治療
脳動脈瘤の治療法としては外科的治療があります。
脳動脈瘤は破裂してくも膜下出血を起こすリスクがありますが、破裂に至る確率は平均すると年間1%程度といわれています。ただし、実際には動脈瘤の部位や形状などの条件によるため、その確率は千差万別です。一方で、ほとんどの場合、破裂する前には前兆がありません。現在のところ、脳動脈瘤の破裂を防ぐ薬を用いた内科的治療はなく、日常生活で行える予防方法も確立されていません。
そこで、あらかじめ手術をすることで、破裂の心配をなくすことができます。これらのことを踏まえて、まだ症状がない、破裂していない脳動脈瘤の場合は、手術による合併症のリスクと治療効果を十分に比較検討したうえで、個々の患者に適した治療方針を決めていきます。
一般的に、脳動脈瘤の最大径が5〜7mmよりも大きい場合は外科的治療がすすめられます。また、最大径が5mm未満であっても、過去の病歴や家族歴、脳動脈瘤の形や発生部位などから破裂の危険性が高い脳動脈瘤と推測される場合は外科的治療が検討されます。
外科的治療
外科的治療では、主に開頭手術か血管内治療が行われます。いずれの治療も、脳動脈瘤への血流を遮断して破裂しないようにします。
開頭手術(開頭クリッピング術)
開頭クリッピング術は全身麻酔下で行われる手術です。まず皮膚を切開し、頭蓋骨の一部に窓をあけます。脳動脈瘤の根元を“クリップ”という小さく細い留め具で挟み込み、脳動脈瘤への血流を遮断します。クリップは主にチタン製で、人体には無害のものを使用し、永久的に頭の中に置いておきます。最後は頭蓋骨を元の位置に戻し、皮膚を縫合します。
現代の手術では、髪の毛をほとんど剃る必要がないため、退院時には外見上手術の跡はほとんど分からなくなります。動脈瘤の状況によっては、頭皮などほかの部位の血管を使用してバイパスをする手技を組み合わせることもあります。
開頭手術は、皮膚や頭蓋骨を切開する必要がありますが、手術した直後から効果が得られ、永続的な根治性が高いという長所があります。
血管内治療
血管内治療も通常は全身麻酔で行われます。多くの場合、鼠径部***の血管から細いカテーテルを脳動脈瘤まで通し、脳動脈瘤の内部にコイルを詰めることで、脳動脈瘤への血流を遮断します。そのほか、動脈瘤ができた血管部分にステントという網状の金属を留置し、コイルと組み合わせて行う治療もあります。動脈瘤の部位と大きさによっては、ステントだけで動脈瘤を消失させる特殊な方法もあります。血管内に人工物を留置するため、治療後の一定期間は抗血栓薬の服用が必要となります。
血管内治療の最大の利点は、頭蓋骨を開く必要がないため、身体的な負担が比較的少ないことです。しかし、脳動脈瘤の形状や、正常な分枝血管との位置関係などによっては、この治療法が適さない場合もあります。
また、血管内治療では、脳動脈瘤への血流が完全に遮断できなかったり、再発したりする可能性があるため、治療後も定期的な経過観察が必要となります。
***鼠径部:脚の付け根の部分。
経過観察
脳動脈瘤が見つかってもすぐに外科的治療を行わない場合は、診断から6か月以内に再び脳動脈瘤の大きさや形の変化などを観察します。ここで何らかの変化がみられれば外科的治療を考慮し、変化がない場合は少なくとも1年ごとに経過観察を行います。
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実績のある医師
周辺で脳動脈瘤の実績がある医師
東京女子医科大学 脳神経外科学講座 教授・講座主任
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東京医科大学病院 脳卒中センター長、東京医科大学 脳神経外科学分野 主任教授
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