“全身性自己免疫性疾患”と呼ばれる膠原病は、本来は体を病原体などから守る免疫システムの誤作動により、自分の体を攻撃してしまう病気です。関節リウマチや全身性エリテマトーデスなどさまざまな病気があり、ステロイドや生物学的製剤などの免疫を抑える薬が用いられます。膠原病においては早くから治療をする必要があるとともに、寛解という落ち着いた状態になった後にもメンテナンス治療(維持治療)をしていく必要があります。ここでは膠原病治療の基本的な考え方について、川崎医科大学 リウマチ・膠原病学教授の守田 吉孝先生にお話しいただきます。
膠原病は多くの場合、早く治療を開始したほうがその後の経過がよいことが知られています。膠原病が進行していくと、体のさまざまな部位にダメージが出現します。ダメージを受けた臓器は、感染症に対しても抵抗力が落ちてしまうなど、感染症のリスクを高めてしまいます。特に、関節リウマチをはじめ膠原病の患者さんは、肺に病変をきたしやすいという特徴があります。そのため治療はなるべく早めに、全身にダメージを受ける前に行うことが大切です。そして病状が落ち着いたときにも、必ずメンテナンス治療を続けることがとても大切です。
メンテナンス治療とは、病状が落ち着いている間もそれを維持していくために行う治療です。つまり膠原病の治療によって得られる状態は“寛解”です。寛解とは“一時的に落ち着いている状態”のことをいいます。完全に治りまったく治療がいらない“治癒”といわれる状況になることが難しいのが膠原病治療の現状であるため、“寛解”という状態をどのようなメンテナンス治療で維持していくのか、ということが大切なのです。
膠原病治療はさまざまな要素を考えながら進めます。若い方であればどうなのか、高齢の方ならどうなのか、患者さん一人ひとりに合った治療方針を立てます。たとえば生物学的製剤を高齢の方に使う場合、頻度は少ないもののニューモシスチス肺炎などの重症感染症に気をつけなくてはいけません。またステロイドは、骨粗鬆症や細菌性肺炎のリスクを高めることが知られています。このように常にリスクとベネフィット(利益)を考えながら、薬の量や組み合わせを決定します。
早期治療に結びつけるためには文字どおり、早期診断と早期発見が重要です。しかし膠原病は”早期”に見つけて診断するのが難しい病気なのです。たとえば、関節リウマチであるという決定的なマーカー(指標)はまだ存在しません。特に関節リウマチをほかの関節疾患と区別することは、経験豊富な専門医であっても難しい場合があります。診断に向けて決定的となるバイオマーカー(血液検査などで診断の指標となるもの)を作らなければなりませんが、それはこれからの課題です。
私はさまざまな方の診療を行う中で5,000人以上の患者経験とデータを積み重ねて解析と考察を続けてきました。これからも膠原病診療に貢献していきたいと思っています。
川崎医科大学附属病院 リウマチ・膠原病科
関連の医療相談が10件あります
起床時手のこわばり
1年前くらいから起床時に手のこわばりがありバネ指のような症状が出ており時間経過で改善されます。右手の小指が一番酷いですが両手の全指に症状は現れます。ただここ最近親指の付け根が起床時だけでなくスマホを持った時とかふとしたときに痛みが出ます。指の腫れなどは無いです。家族に膠原病を患っている人がいます。 リウマチとか膠原病の検査をした方がいいでしょうか?年齢的なものでしょうか?長時間PCをするため腱鞘炎などでしょうか?
ラー油の唐辛子
ラー油の唐辛子入を食べたあとから唇がヒリヒリして少し痒いです。 最近、香辛料(特に唐辛子)を食べると唇がヒリヒリします。 アレルギーでしょうか? 長芋、スイカ、メロン、醤油、魚卵、柿、貝類のアレルギーがあり、食べれるものが減ってきています… もし、アレルギーだとしたら、少しショックです
夜だけ微熱が出るのは何故でしょうか
約1年半ほど前から、微熱を繰り返します。 平熱は36.0~36.4くらい。 低いと35.8度くらいです。 微熱は37.0~37.5度です。 36度後半で、既に体がだるいなと感じることがあります。 主に夕方から夜に微熱が出ることが多く、1ヶ月間繰り返したり、数日繰り返したり、バラバラです。 周期的なもの(生理前とか)も考えられるかと思いますが、バラバラなのでよく分かりません。 最近は、夕方〜夜のみ37.5度になることが多く、困っています。今回は生理予定2週間前くらいですので、周期的なものも関係しているかもしれません。 ・頭痛 ・熱っぽい ・体がだるい(風邪の時の体の重さ) ・咳や鼻水、喉の痛みなし ・翌朝に持ち越すことは基本無い ・膠原病は今のところ否定的と言われました(血液検査をしました) また、約9年前から関節痛があり、年々場所が増えて全身の関節痛もあります。 そちらと関係する可能性はありますか? 人の体温は、夕方頃にかけて最も高くなりますよね?体温が多少上がるのは当然のことと思いますが、この場合は心配いらないでしょうか? よろしくお願い致します。
口腔内の強い乾燥について
この1〜2カ月、毎日、口の中が非常に乾燥しています。 寝ている時に夜中トイレに目覚めた際、朝起きた際、うたた寝して目が覚めたとき(食後にソファでうたた寝はほぼ毎晩)に起こります。 目覚めると唾液はなく、口の中が乾燥でパサパサして上顎が貼り付いて、開きづらい状態です。 乾燥した時に舌を観察しても、色や形、白色状態は以前と変わりません。 これまで経験したことのない状態です。 家屋の環境(乾燥、換気等)は何も変わりはありません。 独り暮らしなので、寝ている状態は自分では観察出来ません。 目が覚めた際、夜中であってもお湯を飲んでいますが、再び目覚めると乾燥状態は変わりません。 何か病気の前兆やサインなのでしょうか? 何かの栄養素が不足しているのでしょうか? この数カ月、野菜不足は否めません。 治療が必要でしたらどの診療科を受診すればよいでしょうか? 耳鼻咽喉科でしょうか? 以上、ご教示頂けますよう何卒よろしくお願いいたします。
※医療相談は、月額432円(消費税込)で提供しております。有料会員登録で月に何度でも相談可能です。
「膠原病」を登録すると、新着の情報をお知らせします
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。