検査・診断
骨形成不全症が疑われるときは、次のような検査が行われます。
血液検査
骨形成不全症では特徴的な血液検査の値はありません。ただし、骨形成不全症と似たような症状を呈する病気(くる病・骨軟化症、低ホスファターゼ症、副甲状腺機能亢進症など)の鑑別を目的として骨の形成に関わる酵素であるアルカリフォスファターゼ、リン、カルシウム、25水酸化ビタミンDの血中濃度、カルシウムやリンの代謝に関わる副甲状腺ホルモンの値などを調べるため血液検査が行われることが一般的です。
画像検査
全身の骨の状態を評価するため、X線検査が行われることがあります。
骨形成不全症では、大腿骨などの長い形をした骨や頭蓋骨、背骨の変形が見られることが特徴です。また、骨密度が低値となるため、X線検査では骨が通常より薄く描出されるようになることも診断に役立つ情報となります。
実際の骨密度検査では、骨変形をきたす重症型で幼少期から著明な低下を認めます。また骨変形をきたさない軽症例でも、若年者や閉経前女性であるにもかかわらず低値をとり、また閉経後女性や高齢男性では、より骨密度の低い重症骨粗しょう症を呈する症例が多くなります。
遺伝子検査
骨形成不全症は遺伝子変異によって発症することが分かっています。そのため、確定診断のために骨形成不全症の原因となる遺伝子変異の有無を調べる検査が行われます。
現在、骨形成不全症の原因となる主要な遺伝子の検査が保険適用となっています。
各症状に適した検査
骨の異常以外にも骨形成不全症は全身にさまざまな症状を引き起こします。そのため、病状を評価するために、それぞれの症状に合わせた検査を行うことがあります。
具体的には、難聴に対する聴力検査、心臓弁膜症による心臓超音波検査などが挙げられます。
骨形成不全症軽症例の診断
骨変形をきたさない骨形成不全症の軽症例でも、女性の場合は閉経後、男性の場合は高齢となってからさらに骨密度が低下し、重篤な骨折を起こす可能性があります。
若年者や閉経前女性でもスポーツをしているときや転んだ際、風邪や気管支喘息でせき込んだ際などに手足や指の骨、肋骨にひびが入ってしまったことがある方々は積極的に骨密度検査を行います。年齢不相応に低値であれば血液検査などでほかの病気の可能性を除外したうえで、遺伝子検査で本疾患の診断が検討されます。
また、閉経後女性や高齢男性であっても骨密度の低下がより高度である場合には、同様にほかの病気を鑑別したうえで骨形成不全症の診断を目的とした遺伝子検査が行われることもあります。2020年9月現在、本疾患に対するより根本的な治療法は存在しませんが、後述の骨折リスクとなる行動に注意して生活することで骨折を予防することができます。
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