へふれふ

HFrEF

同義語
収縮性心不全,左室駆出率が低下した心不全
最終更新日:
2022年05月06日
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2022/05/06
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概要

HFrEFとは、心臓のポンプ機能の低下を伴う心不全のことを指します。

心臓は収縮と拡張を繰り返して全身に血液を送り出すポンプ機能を担う臓器です。左心房・左心室・右心房・右心室という4つの部屋に分かれた構造をしており、左心室は大動脈につながって収縮時に全身に血液を送り出すはたらきを持ちます。そのため、左心室の機能が低下すると全身へ送られる血液量が少なくなるとともに心臓に血液が停滞することで負担がかかり、さらに心臓の機能が低下するという悪循環に陥ります。

HFrEFは、このように左心室が収縮する機能が低下することによって引き起こされる心不全です。主な原因として心筋梗塞(しんきんこうそく)心筋炎心筋症など心臓を構成する筋肉にダメージを引き起こす病気が挙げられます。

有効性が確立されている薬物療法を中心とする標準治療を行うことで生命予後を改善できるとされています。

原因

HFrEFは、左心室が収縮する機能が低下することで、全身へ送り出す血液量が少なくなる心不全のことです。

左心室が収縮する機能が低下する原因としてもっとも多いのは、心筋梗塞狭心症などのように心臓の筋肉への血流が低下したり途絶えたりすることでダメージが生じる“虚血性心疾患”とされています。また、そのほかにも心筋炎拡張型心筋症なども左心室の収縮機能の低下を引き起こすとされており、HFrEFの原因になると考えられます。

症状

HFrEFは心臓のポンプ機能が低下し、全身へ送られる血液が減少する病気です。

HFrEFを発症すると送り出される血液が少なくなるため、肺から心臓に戻る血液量も減少して肺に水がたまる“肺水腫”を引き起こし、呼吸困難、動悸、息切れ、胸の痛みなどの症状がみられます。また、HFrEFは進行すると心臓全体の機能低下が生じ、心臓に戻るべき血液が体内で停滞するようになるため、全身にむくみや倦怠感が生じるようになるのも特徴です。さらに進行すると胃や腸などの機能にも影響を及ぼし、食欲不振、栄養吸収不良などが生じることもあります。

検査・診断

HFrEFが疑われるときは必要に応じて以下のような検査が行われます。

画像検査

心臓の大きさや肺水腫の有無などを評価するために画像検査が行われます。一般的には胸部X線検査が用いられますが、発症の原因を探るために冠動脈CT検査などを行うこともあります。

血液検査

心臓に負担がかかると分泌が増える“BNP”と呼ばれるホルモンや心臓の筋肉にダメージが加わると分泌が増える“トロポニンT”などの測定を行うために血液検査が必要になります。HFrEFの診断のためだけでなく、貧血の有無など全身状態を評価するためにも必要な検査です。

心臓超音波検査

心臓のはたらきや心臓の機能を評価する検査です。HFrEFでは心臓が血液を送り出す機能を示す“左室駆出率”が低下した所見が認められます。

心電図検査

心臓の筋肉の電気的な活動を波形として記録する検査です。心電図検査では、心筋梗塞や左室肥大などの有無を簡易的に評価することができるため、HFrEFの原因を調べる目的で行われます。

治療

症状がある慢性期のHFrEFは予後改善が示されている薬物療法が主体となります。

具体的には、ACE阻害薬あるいはアンジオテンシンII受容体拮抗薬(ARB)とβ遮断薬にミネラルコルチコイド受容体拮抗薬(MRA)を追加し、効果が不十分な場合はACE阻害悪あるいはARBをアンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)に切り替えます。さらに、糖尿病の有無にかかわらずSGLT2阻害薬も考慮します。また、むくみが強い場合には利尿薬の投与が行われ、重症度に合わせて使用する薬物や量の調整が行われるのが一般的です。最大限の薬物療法を行っても症状が持続する場合はデバイス治療を行うことが検討されます。

一方で、この病気は重症化すると呼吸困難などの症状を引き起こすため、病状に応じて酸素吸入や人工呼吸器管理などを行う必要もあります。また、HFrEFは心筋梗塞などの病気が原因で発症するため、原因となっている病気の治療を同時に行うことも少なくありません。

予防

HFrEFはさまざまな病気が原因となって発症しますが、もっとも多いとされるのは心筋梗塞狭心症などの虚血性心疾患です。虚血性心疾患は動脈硬化によって発症リスクが高まるため、食生活、運動習慣、睡眠、喫煙習慣、ストレスなどの生活習慣を見直して高血圧糖尿病脂質異常症などの生活習慣病の予防を行うことが発症を防ぐことにつながります。

また、HFrEFは初期段階では目立った症状がないことも多いため、定期的に健診を受け、何らかの体調不良があるときは放置せずに医療機関を受診することも大切です。

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