院長インタビュー

間口の広い診療体制と慢性期の療養型病棟で地域医療を支える咲洲病院

間口の広い診療体制と慢性期の療養型病棟で地域医療を支える咲洲病院
飯田 都 先生

医療法人慈心会 理事長、咲洲病院 院長

飯田 都 先生

目次
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大阪府大阪市住之江区にある医療法人慈心会 咲洲病院は、内科と皮膚科を標榜して地域住民の皆さんの診療をする傍ら、療養病床にて急性期治療を終えた患者さんを数多く受け入れています。『病気を診ずして、病人を診よ』という理念を大切に、患者さんだけでなくそのご家族のことも考えた医療と看護を提供しています。

地域のかかりつけ医であると同時に、急性期病院の後方支援病院として重要な役割を担っている同院の診療体制や今後について、理事長で院長の飯田 都(いいだ みやこ)先生に伺いました。

咲洲病院 外観

当院が属する医療法人慈心会は歴史が古く、1956年に大阪府大阪市住吉区に開院したあびこ病院に由来します。あびこ病院は開設以来、救急医療や専門的医療などを手がける急性期病院として、地域医療において重要な役割を担ってきました。

そのようななか、急性期治療を終えた患者さんを受け入れる医療施設の必要性が増してきたことから、2007年6月に当院が開設することとなりました。開設した当初は介護療養病床144床と一般病床7床、許可病床計151床の慢性期病院として運営されてきましたが、介護療養病床の廃止という国の方針を機に、医療療養病床135床、障害者一般病床16床の病院に転換しました。

当院は大阪市内の南部に位置し、南港ポートタウン線(ニュートラム)のポートタウン東駅から徒歩3分の場所にあります。車ですと阪神高速湾岸線の南港北出口から約3分とアクセスが良好です。入院されている患者さんは市内住之江区にお住まいの方がもっとも多く、住吉区、港区、東住吉区、大正区、生野区などにお住まいの方が続きます。そのほかでは、八尾市や堺市、北摂地域(池田市・茨木市・吹田市・摂津市・高槻市・豊中市・箕面市など)の方、兵庫県や和歌山県など県外の方も広く受け入れています。

当院は同じ医療法人内のあびこ病院をはじめ、近隣の急性期病院で急性期治療を終えた患者さんを受け入れる慢性期機能があります。意識障害のある患者さんから、人工呼吸器や気管切開、中心静脈栄養などを要する患者さん、リハビリテーションが必要な患者さんまで、幅広い症例の患者さんが入院されています。

また、診療面ではCT検査装置やX線検査装置、各種エコ―機器、上部内視鏡など、さまざまな医療機器を備えるなど、体制を整えて、急性期医療機関より迅速にさまざまな患者さんを受け入れています。

咲洲病院 医療の特徴

2024年5月時点

◇医療療養病棟・障害者一般病棟 慢性期入院医療

◇維持期リハビリ(理学・作業・言語各療法)

◇一般内科・皮膚科 かかりつけ外来

  • 上部消化管内視鏡検査
  • 胃ろう造設手術(PEG交換も可)
  • CVポート造設
  • 気管切開術
  • 人工呼吸器管理(NPPVも可)
  • 胸水・腹水穿刺排液コントロール
  • 胸腔腹腔シャント挿入(胸水貯留)、腹腔静脈シャント(腹水貯留)
  • 気胸に対する脱気処置(トロッカー挿入/低圧持続吸引・ハイムリッヒ弁)
  • イレウスチューブ挿入・留置(腸閉塞)
  • 経皮的胆道・胆嚢・胆管ドレナージ(PTCD、PTGBD)
  • 疼痛管理(麻薬処方可)を含む緩和的医療
  • CT撮影(16列マルチスライス)
  • 各種エコー検査(心臓・腹部・頸動脈・甲状腺・乳腺)
  • 一般健診(企業健診)
  • 医療・福祉相談
  • 病院救急車(搬送車)搬送・送迎
  • 法人グループ急性期機関/あびこ病院(住吉区)

内科では、かぜなどの感染症から糖尿病高血圧症脂質異常症虚血性心疾患といった慢性的疾患、生活習慣病まで、内科疾患全般の診療を幅広く行っています。

また、当院でCT検査や上部内視鏡検査、超音波検査などの各種検査を受けていただくことも可能です。検査の結果、専門的な治療が必要と判断された場合には、適切な診療科や連携しているほかの専門的な医療機関を紹介しています。

このように内科では“地域のかかりつけ医”として、診療の間口を広げて地域の皆さんが受診しやすい環境を整えています。こうした地域に密着した医療を提供することで、病気の早期発見・早期治療につなげ、地域医療に貢献していきたいと考えています。

皮膚科では、アトピー性皮膚炎から湿疹蕁麻疹(じんましん)かぶれにきびなど、一般的な皮膚疾患を全般的に診療しています。女性の医師が担当しているため、しみやしわ、たるみなど、女性ならではの悩みも相談しやすいと評判です。

皮膚は“内臓の鏡”ともいわれており、皮膚に現れている症状が内臓疾患のサインである場合もあります。内臓の病気が疑われる場合には内科と連携して検査、診療もできますので、不安を抱えていらっしゃる方は気軽に受診してください。

職員を採用する際には、当院の理念『病気を診ずして、病人を診よ』について詳しく説明しています。私の出身校である東京慈恵会医科大学を創立した高木 兼寛先生の言葉で、在学中にはどの先生からも「医療に携わる人は心得ておかなければならない」と言われていました。

この言葉には、病気だけを診るのではなく、苦しい思いをしているのは“人=患者”だから、その患者さんに寄り添い、全力を尽くしてその人そのものを診なければならないという強い思いがこもっています。客観的に診察をして、テキストどおりに治療すれば病気は治るかもしれませんが、そこに心がこもっていなければ、患者さんは本当の満足を味わえません。

もしも自分の親や子どもだったらどのような治療をしてあげたいかなど、スタッフには目の前の患者さんに寄り添い、ご家族の方と一緒に悩みながら接していただきたいと考えています。

この地で開院して以来、急性期病院の後方支援病院として、そして地域のかかりつけ医として、地域の皆さんから求められる医療を提供してきました。今後も地域の皆さんに寄り添い、患者さんやそのご家族の立場に立って、より安全な医療と看護を提供し続けていきたいと考えています。

そのなかで最近、患者さんとそのご家族の高齢化と孤立化が進んでいるなと感じることが増えました。当院が急性期病院から紹介されて患者さんを受け入れる際には、医療ソーシャルワーカーがご家族に事前の説明をし、ご意向を伺うなど面談をしてから当院への入院日を設定するのが一般的です。しかし最近では、患者さんのご家族も高齢化し、今までのように直接面談をして十分な説明ができないケースが増えてきました。中にはご家族が遠方にお住まいで、十分な説明ができないまま「先生にお任せします」と一任されることもあります。

そうした社会の変化に合わせ、たとえば急性期病院からご家族にあらかじめ承認を得たうえで即日に転院いただくなど、今後はイレギュラーなケースにも柔軟に対応していかなければなりません。

『病気を診ずして、病人を診よ』の理念に従い、地域の皆さんのニーズに合わせて可能な限り多くの患者さんを受け入れていくことが、当院に課せられた社会的な使命です。同医療法人には急性期医療を担っているあびこ病院もあることから、お互い密に連携を図りながら、地域医療の一役を担っていきたいと考えています。そして今後も、1人でも多くの患者さんとそのご家族から「この病院に来てよかった」と言われる病院を目指していきたいと思います。

医療法人慈心会 咲洲病院 ホームページ

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代表e-mail:soumu-s@jishin-kai.or.jp

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