仙台オープン病院は、宮城県仙台市にある一般病床330床を有する病院で、高度医療、救急、健診を3本の柱に据え、専門性を重視した診療を展開しています。
病院長の土屋誉先生は、地域に求められる医療を提供し続ける存在であることが大切だとおっしゃいます。
仙台オープン病院が三本柱に掲げる医療それぞれの特長や病院としての取り組みなどについて、土屋先生にお話を伺いました。
仙台オープン病院では消化器、循環器、呼吸器をそれぞれセンター化、専門性の高い診療を実施しています。
消化器病センターでは、消化器内科と消化器外科の垣根が低く、風通しがよいのが特長です。そのため外来で消化器外科に紹介いただいた患者さんでも、内視鏡治療で対応可能と判断すればすぐに消化管・肝胆膵内科に依頼しますし、手術が必要な場合、その日のうちに入院や手術の具体的なスケジュールを組むことも可能です。こうした緊密な連携の成果もあり、がんから結石まで、肝臓・胆のう・膵臓、胃、大腸・小腸の各種検査や治療、手術などを手がけるハイボリュームセンターとして広く全国に知られています。年間の内視鏡症例数は20,000例を越え、全国で5番目に多く、消化器外科手術症例は1,200-1,300例と非常に多くの症例を扱っています。また2015年の当院での消化器疾患患者数は全国1位でした。消化管・肝胆膵内科では全国各地の大学や病院から内地留学生を受け入れています。
2018年5月現在 、当院外科には日本内視鏡外科学会が認定する腹腔鏡手術の技術認定医が3名、一般社団法人日本肝胆膵外科学会認定の高度技能専門医が2名在籍しており、500例以上の腹腔鏡手術や膵頭十二指腸切除や肝切除などの高難度の手術を行っています。
呼吸器センターでは、肺など呼吸器の感染症、肺腫瘍、びまん性肺炎、気管支喘息、COPD(慢性閉塞性肺疾患)、睡眠時無呼吸症候群などの診療を中心におこなっています。特殊なものや難治性の循環器疾患、呼吸器を使用しているなど、治療が難しいとされる症例にも多数対応してきました。高齢の患者さんには、摂食嚥下チーム、栄養サポートチーム、褥瘡チームなどが集結してサポートすることで、入院中のADL(日常生活動作)低下防止とQOL(生活の質)向上に努めます。
循環器センターでは、虚血性心疾患(肝動脈狭窄症、狭心症、心筋梗塞など)、動脈硬化、心不全などに対する診療を手がけています。循環器の病気はひとたび発症すると緊急対応が必要なものが多く、迅速な判断と適切な処置を目標に日々診療しています。
仙台市内における2次救急医療機関として、当院では救急車を24時間365日受け入れています。当院では、搬送されてきた患者さんを救急センターで対応した後、各診療科で必要な治療をするER型救急を採用しています。患者さんに安心して元の生活に戻っていただけるよう、当院で受け入れた患者さんは当院が責任を持ってしっかり治療することをモットーにしています。
また、在宅療養中の患者さんからの救急要請は全面的に受け入れる、当院の研修医・看護師・コメディカル、近隣地域の医療従事者・消防隊員を対象にICLSコース(医療従事者のための蘇生トレーニング)を開催するなど、地域全体の救急医療の底上げにも積極的に取組んでいます。
一人でも多くの方の健康寿命を伸ばせるよう、「年1回の定期健診(人間ドック)は、健康で実りある長寿社会へのパスポート」の理念にもとづき、生活習慣病を含め病気の早期発見や予防に取組んでいます。
当院の健診センターは、日本病院会・日本人間ドック学会による優良施設認定、人間ドック健診施設機能評価認定、健康保険組合連合会による健保連指定人間ドック施設認定をそれぞれ受けています。
検査後も、生活習慣病の恐れがあれば各種生活指導、異常が見つかれば精密検査や治療など、きめ細かい対応をしています。
仙台オープン病院では、オープンシステムによる診療をおこなっています。オープンシステムでは、登録医に対し、病院が所有する高度医療機器や病床を開放しています。
病気の早期発見や、より高度な治療実施のため、320列CT装置、アンギオ(血管造影)装置、ハイブリッド手術室を導入しました。
最新型320列CT装置とは、従来型より被曝量を低減しつつも明瞭な3D・4D画像が撮影可能な機器です。画像解析度向上以外に、撮影にかかる時間も短くなり、
アンギオ(血管造影)装置とは、エックス線を用いた血管造影装置で血管の形状や異常の有無を検査する機器で、途中からカテーテルなどの道具を入れて治療することも可能です。
ハイブリッド手術室とは、カテーテルによる内視鏡治療とメスなどを用いる外科手術の双方を実施できる多機能型の手術室です。
当院は1998年に全国に先駆けて地域医療支援病院に認定、仙台市および周辺地域の医療を支え活性化すべく、病院全体で取組んできました。
仙台オープン病院では院内に総合サポートセンターを開設、地域医療連携室、医療福祉相談室、総合支援室を設置して、地域医療連携、総合相談、病気に対するケアや予防、入退院支援などをおこなっています。
また、開業医の先生やそのもとで働く看護師を対象に心臓病カンファレンスや講演会を開催、症例検証をつうじて診療の最新動向について一緒に考える場を設けることで、地域全体の医療の質の向上にも貢献しています。
当院では原則として、かかりつけ医による紹介状の持参をお願いしており、そうでない方にはお近くの医療機関受診をおすすめしています。
かかりつけ医とは、風邪など日常的な体調不良、糖尿病など長い付き合いが必要になる病気の診療、健康管理などを相談する医師のことです。かかりつけ医がいることで健康に関する不安を解消しやすくなり、また必要に応じてかかりつけ医から医療機関を紹介することで、医療資源有効活用にもつながります。
2018年3月に緩和ケア病棟を開設しました。
緩和ケア病棟では、医師、看護師、薬剤師などが連携するチーム医療の力で、がん患者さんやご家族の心身の苦痛を和らげ、病気による辛さを軽減するためのケアを提供しています。緩和ケアは治療終了された方のみでなく、診断を受けた後や治療と並行しながら受けていただくことも可能です。
職員が講師役となり、病気に対する検査や治療方法、食べることと栄養の重要性、介護サービスなどについてレクチャーする市民講座を年間50回程度開催しています。子どもに多いトラブルと対処方法について講義する安全応急対応講座、先の震災の経験をいかした応急対応講座なども開催しています。
今後も「医療を受けるための場所」から「医療や介護について学べる、より身近な場所」としても当院を活用していただけるよう、職員一同取組んでいきます。
仙台オープン病院は、厚生労働省によって管理型臨床研修病院の承認を受けており、市内にある仙台市立病院と青葉病院で各診療科、協力病院で地域医療研修を分担して実施しています。
当院の研修では、医学や医療に対する社会的ニーズを認識してもらうと同時に、common diseaseに適切に対応できる診断スキルと、医師としての人格を身につけてもらうことを目標に掲げています。
当院には優しく指導に熱心な医師が多いため、わからないことがあれば先輩医師に相談を持ちかけ、一緒に考えている光景をよく目にします。
県内全域、ときに東北地方全域から患者さんが紹介状を持って受診するため、ひとつの病院にいながら多くの症例を担当して知見を深めることも可能です。たとえば消化器外科では、年間300例を越える腹腔鏡下胆嚢摘出術を行いつつ、東北で最も多い大腸癌手術の腹腔鏡手術も行っているので腹腔鏡手術の技術修得には最適な病院といえます。
学術活動にも力を入れており、国内外での各種学会発表、論文執筆、講演、他施設との共同研究もさかんにおこなっています。海外での活動を想定して、英会話教室開催や海外出張費負担など、病院を挙げてサポートしています。
医学生や研修医など若手の方と話す機会があるとき、私は院長と先輩医師の立場から4つのお願いをしています。
1つ目は、目の前にいる方の話をよく聞くことです。社会人として、会話をつうじて相手が本当に望んでいることは何か、常に考え汲み取る習慣をつけてください。
2つ目は、10の頼まれごとをされたら相手が望んでいることをプラスして11や12にして返すことです。慣れないうちは大変ですが、自発的に考え行動することで次第に視野や考え方が広がるようになります。
3つ目は、何事も楽しみながら取り組むことです。プラス思考で取り組むほうが身につくものも多いです。
そして4つ目は、自分にできることを知ることです。医師とは、患者さんの体と命を預かる職業です。少し厳しいいい方をしますが、医師が身の程をわきまえなければ、私達を信頼してくださった患者さんを不用意に危険にさらします。自分の手に負えないと判断したら、周囲への協力を仰ぎながら安全に確実な医療を提供する。それが、患者さんから寄せられた信頼に応えることにつながるのです。
仙台市内にはレベルの高い医療機関が多数あります。そのなかで当院は、高度な医療を多数手がける病院として、仙台市内、宮城県内、東北地方にお住まいのみなさんから厚い信頼を得ています。これは、地域のみなさんと向き合い、消化器疾患などに対する診療、地域医療など地域に必要とされる医療を提供し続けてきた結果として、ありがたく受け止めています。
仙台オープン病院では、当院の理念『おもいやりのある心で信頼される優れた医療を提供します』のもと、地域のみなさんに満足していただける医療を提供できるよう日々励んでいます。医療で困ったことや不安に感じたことがあれば、いつでも私達にご相談ください。
仙台市医療センター仙台オープン病院 院長、東北大学医学部 臨床教授(胃腸外科)
仙台市医療センター仙台オープン病院 院長、東北大学医学部 臨床教授(胃腸外科)
日本消化器外科学会 消化器外科専門医・消化器外科指導医日本外科学会 外科専門医・指導医日本消化器病学会 消化器病専門医・消化器病指導医日本臨床栄養代謝学会 認定医・指導医
1979年より消化器外科医師としてキャリアをはじめる。東北大学では消化管ホルモンの研究に従事。アメリカ留学では大学時代に開発した術式:Ileal transpositionの研究を進め、Metabolic surgery の基礎を築く。2001年から胃切除後の早期経腸栄養を始める。2002年仙台で初めてのNST(栄養サポートチーム)を稼動させる。アミノ酸:シスチン・テアニンおよび亜鉛の臨床研究が現在のテーマ。
土屋 誉 先生の所属医療機関
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。