院長インタビュー

消化器を核に、患者さんの全身を診る――地域の消化器医療を支える イムス札幌消化器中央総合病院

消化器を核に、患者さんの全身を診る――地域の消化器医療を支える イムス札幌消化器中央総合病院
メディカルノート編集部  [取材]

メディカルノート編集部 [取材]

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北海道札幌市に位置するイムス札幌消化器中央総合病院は、1959年の設立以来、「消化器を核とした総合病院」として地域の消化器医療を支えています。

現在はIMSグループの一員としてさらなる医療体制の強化を図り、「患者さんと医療者の双方から信頼される病院」を目指し、日々の診療や病院運営に取り組んでいます。同院の丹野(たんの) 誠志(さとし)病院長に、同院が実践する医療の特徴や、地域医療にかける思いについてお話を伺いました。

当院は、1959年に前身となるルカ病院が設立されて以来、地域に根ざした医療を提供してまいりました。1999年に板橋中央総合病院などを擁するIMSグループの一員となり、さらに強固な組織力と連携体制をもった病院になりました。

病院名に「消化器」と掲げているとおり、当院は消化器領域の診療を病院の核としています。ただ、それは消化器だけを診る専門病院という意味ではありません。消化器診療を中心的な特徴としながらも、循環器や糖尿病、呼吸器、腎臓、整形外科など、幅広い診療機能によって患者さんの全身を支えることを病院の理念としています。

高齢の患者さんにおいては、がん胆管炎を治療するだけでは十分といえません。心肺機能や腎機能、栄養状態から退院後の生活環境まで含めて考える必要があります。消化器疾患を入口として受け入れ、患者さん全体を診る「消化器を核とした総合病院」として、地域医療に貢献していきたいと考えています。

外観
イムス札幌消化器中央総合病院 外観(イムス札幌消化器中央総合病院ご提供)

当院は札幌市の二次救急指定病院として、消化管出血や胆管炎、腸閉塞(ちょうへいそく)といった消化器救急の患者さんを積極的に受け入れています。消化器の救急疾患は時間帯を選ばず発生し、診断や治療が遅れれば短時間で重症化する恐れもあります。そのため、こうした患者さんを速やかに受け入れて診断し、必要な治療へつなげることが当院の重要な役割です。

もちろん、当院で治療を完結できる病気は責任を持って治療いたします。一方で、大学病院や高度急性期病院での治療が適していると判断した場合は、遅滞なくご紹介する体制を整えています。そして状態が安定した後は、紹介元の診療所や地域の医療機関へお戻りいただくという方針です。

地域で発生する消化器疾患に対し、救急から専門的な治療、そして退院後の生活までを地域で完結できる医療を目指しています。

当院の診療体制の特徴は、食道、胃、大腸などの消化管から、肝臓、胆道、膵臓(すいぞう)に至るまで、消化器疾患全般を1つの病院で対応できることです。

早期の胃がん大腸がんに対しては、内視鏡的(ないしきょうてき)粘膜下層剥離術(ねんまくかそうはくりじゅつ)(ESD)などの体への負担を考慮した治療を行います。手術が必要な患者さんには消化器外科と連携し、進行がんについては手術、薬物療法、緩和ケアからリハビリテーションまでを含めて治療方針を検討します。

先ほどもお話ししたように、当院は消化器だけを診る病院ではなく、患者さんの全身を診る病院です。消化器疾患に対する手術や化学療法などを行いながら、併存疾患にも対応し、患者さん一人ひとりの状態に合わせた選択肢を提示するよう努めています。

中でも当院が特に注力しているのが、膵臓や胆道疾患に対する内視鏡診療です。内視鏡的逆行性胆管膵管造影(ERCP)や超音波内視鏡(EUS)を用いて、総胆管結石、急性胆管炎膵臓がん、胆道がんなどの診断と治療に日常的に取り組んでいます。当院は日本膵臓学会、日本胆道学会の認定指導施設であり、日本消化器内視鏡学会の専門医制度指導施設でもあります。

胃の手術後などで消化管の構造が変わっている患者さんの場合、通常のERCPが難しいことがあります。そうした際にはダブルバルーン内視鏡(先端と外筒チューブに付いた2つの小さなバルーンを膨らませたり縮ませたりして、尺取り虫のように腸管をたぐり寄せながら奥へ進む特殊な内視鏡)を用いて胆管まで到達したり、超音波内視鏡を用いて別の治療経路を作ったりと、さまざまな方法を検討します。さらに、これらを組み合わせたハイブリッドな治療を行うことも少なくありません。

ここで大切なのは、1つの治療法に固執しないことです。複数の内視鏡技術を使い分け、患者さんごとに体への負担が少なく、確実性の高い経路を選びます。つまり、単に「治療法を選ぶ」のではなく、「患者さん一人ひとりの状態を見ながら治療を選ぶ」というスタンスで日々の診療にあたっています。

内視鏡室
内視鏡センター(イムス札幌消化器中央総合病院ご提供)

消化器系のがんでも、膵臓がんは特に発見が難しいがんです。当院では健診部門において「膵ドック*」を実施し、早期発見に取り組んでいます。

当院の膵ドックの特長は、CTやMRI、そしてEUSを適切に組み合わせることです。EUSは胃や十二指腸の中から膵臓を至近距離で観察できるため、通常の検査では見えづらい微小な変化も捉えやすいというメリットがあります。それぞれの検査の強みを生かし、小さな病変を見逃さないよう丁寧に追跡していくことで、膵臓がんをできるだけ早期に見つけ出すことにつなげています。

また、当院は健診や膵ドックで異常が見つかった場合、精密検査から治療までを院内でスムーズにつなぐことができます。診断して終わりではなく、診断から治療まで一貫して対応できる体制が、当院の大きな強みだと自負しています。

*膵ドック
すい臓・胆道ミニドック25,000円(税込)
すい臓・胆道ドック 40,700円(税込)
問診、血液検査、MRI検査、超音波検査で構成されます(ミニドックには超音波検査は含まれません)。膵ドックは自由診療です。

当院の消化器疾患に対する幅広い診療や専門的な内視鏡診療を支えているのが、当院が大切にしているチーム医療です。

患者さんは、診療科や部署の境界を知りません。内科、外科、病棟、外来といった病院側の区分によって患者さんが不利益を被らないよう、問題が起きてから他科に相談するのではなく、治療前の段階から必要な診療科と情報を共有する体制を重視しています。心疾患がある方には循環器内科、透析が必要な方には腎臓内科と、早期から連携を図ります。

また、医療は医師だけで成り立つものではありません。看護師、薬剤師、管理栄養士、放射線技師、臨床工学技士、臨床検査技師、リハビリテーションスタッフ、医療ソーシャルワーカーなどがそれぞれの専門性を発揮して、初めて切れ目のない医療になります。

必要な情報が、必要な職種へ、必要なタイミングで届くよう、定期的なカンファレンスなどを通じて、患者さんにとってよりよい医療をチーム全体で考える文化が当院には根付いています。

地域医療において、1つの病院が全てを抱え込むべきではありません。地域の診療所には日常的な健康管理という重要な役割があり、当院は病院でなければ対応が難しい専門的な医療を担うという役割分担を意識しています。

その一環として、ご紹介いただいた患者さんの状態が安定すれば、紹介元の先生にお戻しする逆紹介を推進しています。その際、単なる事務連絡ではなく、早期の受診報告や、方針が決まった段階での迅速な返書を心がけています。緊急性の高い場合には、医師同士が直接電話で連絡を取り合うことも珍しくありません。地域の先生方にとって、「相談しやすく、返事が早く、その後の経過が分かる病院」でありたいと考えています。

さらに、地域の方々に向けた医療公開講座や健康啓発活動にも取り組んでいます。どのような症状が危険なのか、いつ受診すべきかをお伝えし、地域住民の皆さんとの信頼関係づくりにも力を入れています。

私の目標は、「患者さんと医療従事者の双方から信頼され、選ばれる病院」を作ることです。

患者さんから信頼していただくためには、専門的な医療を提供するだけでなく、安全性や十分な説明、接遇、そして尊厳への配慮が欠かせません。特に医療安全は個人の注意力に頼るのではなく、重要な検査結果が確実に見落とされない仕組みや、薬の投与間違いを防ぐ仕組みなど、システムとして安全性を確保することが重要です。一部の医師の個人技に依存するのではなく、誰が担当しても一定水準の質の高い医療を提供できる体制を目指しています。

同時に、当院の医療スタッフが気持ちよく働ける環境であるためには、持続可能な診療体制の構築が不可欠です。スタッフが過度に疲弊している状態では、質の高い医療を提供し続けることはできません。
働きやすさの一例として、当院では情報共有ツールを活用し、気兼ねなく有給休暇を申請できるような仕組みを取り入れています。このような環境づくりを推進することで、今後も患者さんへ質の高い医療を継続して提供していきたいと考えています。

内観
院内の様子(イムス札幌消化器中央総合病院ご提供)

私が医師を志した根本には、人の役に立てる仕事をしたいという思いがあります。実は子どもの頃、腹痛で体調を崩し、なかなか診断がつかずに症状が悪化した経験があり、その後手術を受けて劇的に回復しました。正しい診断と治療によって人の状態がこれほど大きく変わるのかと、子ども心に強く印象に残りました。
また、父も消化器の病気を患った際には、病気が本人だけでなく、その家族の生活や気持ちにも大きな影響を及ぼすことを知りました。

消化器内科、特に膵臓・胆道領域を専門に選んだのは、診断と治療が極めて密接に結びついており、医師の判断と内視鏡の技術によって患者さんの経過を大きく変えることができるからです。アメリカのがんセンターへ留学し、基礎研究に没頭した時期もありました。そこで学んだ科学的根拠を大切にする姿勢は、現在の私の診療の土台となっています。

そのような経験から私が最も大切にしているのは、「診断で終わらせず、消化器を核に患者さんの全身を診て、必要な治療へ速やかにつなげる」ということです。そして、病気だけを診るのではなく、患者さんの生活やご家族まで含めて考える医療を実践したいと強く思っています。

地域の皆さんには、腹痛や体重減少、健診での異常などを我慢しすぎず、気軽にご相談いただきたいと思っています。腹痛、黄疸、血便、便通の変化、体重減少、食欲低下、貧血、健診で指摘された異常などは、重大な消化器疾患の初期サインであることがあります。

もちろん、すべてが重い病気というわけではありません。しかし、消化器疾患は、診断が遅れることで治療の選択肢が狭くなることがあります。
大きな病院に行くほどの症状なのか、どこに相談すべきなのか分からない。その段階で相談していただいて構いません。

当院は、消化器疾患をできるだけ早く見つけ、身体への負担が少ない方法で治療し、必要に応じて手術、薬物療法、リハビリテーション、退院後の支援までつなげる病院を目指しています。

消化器を核に、患者さんの全身と生活を診る。
診断で終わらせず、必要な治療までつなげる。

それが、イムス札幌消化器中央総合病院の役割です。

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