院長インタビュー

人生のトータルケアで地域に寄り添っていく穂高病院

人生のトータルケアで地域に寄り添っていく穂高病院
古屋 直行 先生

医療法人仁雄会 穂高病院 院長

古屋 直行 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年11月29日です。

お産から看取りまで地域に寄り添った診療を行っている穂高病院は、人生のトータルケアができる病院として地域医療に貢献しています。また人間ドックでの病気の早期発見、早期治療を目指し、地域の皆さまが健康な生活を送れるように尽力しています。地域に寄り添った医療を提供することをモットーとしている同院の取り組みについて、院長の古屋直行先生にお話を伺いました。

穂高病院外観(穂高病院よりご提供)

お産から人間ドック、看取りまで行い地域の方々の人生のトータルケアができることが当院の特徴のひとつです。1966年の開院当初から、お産と婦人科疾患の診療を行っています。現在は、婦人科疾患の診療の充実、帝王切開では小児科医の立ち合いができる体制をとることで、より地域の産婦人科分野の充実に努めています。

婦人科診療をより充実させるため腹腔鏡下手術を導入しています。そのため、子宮筋腫などの婦人科疾患に対して低侵襲な手術を提供することが可能です。安曇野市では婦人科の良性疾患に対して腹腔鏡下手術を提供できる医療機関が少なく、患者さんは松本市や長野市まで行かなくては良性疾患については腹腔鏡下手術を受けることが難しい状況が続いていました。

当院で婦人科疾患の腹腔鏡下手術を行う事により、地域の患者さんが家や家族から離れる事無く安心して治療を受けることができるのではないかと考えています。

分娩室(穂高病院よりご提供)

働きながらご自身の健康管理をするための方法のひとつに、企業が通知する健康診断があります。また人間ドックも、地域の皆さまや就労している方々の健康管理、維持、異常の早期発見、早期治療につなげることができます。

当院は地域に根差した病院として、50年以上にわたり地域医療の提供に従事しています。そのため、退院後の往診の実施や病院で看取りを受けることも多くあります。中には近隣の医療機関で治療を受けていた地域の患者さんのターミナルケアの依頼をいただくこともあり、広く地域の看取りを行ってきました。

当院では女性専用の入院フロアを作り、女性が安心してお産や治療に臨める環境を整えました。

入院中は、パジャマや楽な服装で生活し、メイクを控える方もいます。入院フロアが男性と同じだと、身だしなみを整えなくてはとストレスを感じてしまう方もいらっしゃいます。そのため、女性しかいないフロアでリラックスしてお産や治療に専念していただきたいと考えています。

古屋先生の診察風景(穂高病院よりご提供)

1992年に人間ドック棟を完成させ、地域住民の健康管理と維持に努めています。現在は、各種腫瘍マーカー検査をはじめ、肺がんCT検査や脳MRI検査、自宅で検査可能な睡眠時無呼吸症候群の簡易テストなど、多くのオプション検査を導入し、色々な病気の早期発見を心掛けています。また、乳がん検診におけるマンモグラフィーは女性放射線技師が担当しており、安心して検査を受けてもらえるようにしています。

内視鏡室(穂高病院よりご提供)

人間ドックを開始した当初は、先にバリウム検査を行い、異常を指摘された方に胃カメラでの精密検査をしていました。私が赴任後、経鼻内視鏡をいち早く取り入れて、内視鏡検査を多く実施してきました。現在当院で人間ドックを受ける方のほとんどが経鼻内視鏡検査を選択されています。

当院では人間ドックでの胃カメラ検査を行った患者さんのうち、ピロリ菌感染が確認された患者さんに対して、ピロリ菌除菌を積極的に実施しています。胃がんの多くはピロリ菌の感染が原因であるとされており、早期に除菌することで地域住民の胃がん予防につながるものと考えています。

睡眠時無呼吸症候群はさまざまな合併症を引き起こしたり、居眠り運転など自動車事故の発生率が一般の方に比べ数倍高くなるとの報告もされています。当院では、自宅でできる睡眠時無呼吸症候群の簡易検査も実施しています。指先にセンサーを一晩付けてもらい、血液中の酸素量を測定し、必要なデータをとります。その後、機器を返却した後に結果が送付されます。

簡易検査の結果、病院での詳しい検査が必要な方には精密検査をご案内しており、結果に応じて生活指導や治療を行っています。

スタッフ間の交流機会を多く設けるため、毎年親睦旅行や諏訪湖花火大会観戦ツアーなどを企画しています。スタッフ間で交流の機会を多く設けることで、普段接する機会の少ない職種のスタッフとも交流し、それぞれの職種についての理解が深まっているのではないかと思います。ほかの職種スタッフについて知ることで、日々の診療でもさらにスムーズなやり取りができるようになるでしょう。

また院内独自の取り組みとして、スタッフの働き方改革とエコアクション21があります。

近年、働き方改革が叫ばれていますが、医師の勤務形態も例外ではありません。女性は結婚やお産などのライフイベントで、医師や看護師としてのキャリア継続が難しくなることもあります。そのため、当院ではスタッフを採用する際に可能な限り希望に沿って採用しています。

最近では、家庭のある女性医師が当院に面接に来たのですが、彼女は平日の外来終了時間より早く帰宅することや土曜日の外来をお休みすることを希望していました。このケースでは、彼女の希望をしっかりと聞き取ることで希望に沿った形で勤務してもらえたため、彼女は、今も貴重な戦力として働いてもらっています。

このように、自分の力を発揮しながら家庭に負担をかけることなく働ける環境をつくることで、医師や看護師たちがより働きやすくキャリアを積んでいくことができると思います。

エコアクション21とは、環境省が策定している環境マネジメントシステムのことです。エコアクション21は認証登録を取得することができ、さらに2年ごとの更新審査を受審することで継続維持することができます。当院がエコ活動に積極的に取り組むようになったのは、当院を含む長野県内の47病院が長野県温暖化対策病院協議会を2008年6月に立ち上げたことから始まります。

当院で実施している取り組みとしては、ゴーヤによるグリーンカーテンがあり、実ったゴーヤは収穫して院内の食事に使っています。ほかにも、エアコンの設定温度やこまめな節電などを行っており、日々の取り組みをつうじてスタッフが自宅でも簡単なエコ活動をする機会につながればよいと思います。

当院は、地域のかかりつけ病院としてお産から看取りまで人生のトータルケアを提供する病院です。

1966年の開院から、地域に寄り添った医療の提供を心がけ、実践してきました。現在は人間ドックによる健康維持から、病気の早期発見、早期治療につなげられるように尽力しています。病気は年齢関係なく発症することもあるので、まだ自分は若いからと過信せず、ぜひ健康診断を定期的に受けてください。

今後、今ある機能をさらに充実させていき、より地域に寄り添った病院となれるように尽力していきます。

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