日本赤十字社 武蔵野赤十字病院は、ベッドタウンとして人気の高い東京都北多摩南部における医療の一大拠点として活躍する病院です。
病院概要、診療の特徴、求める人材像などについて、院長の泉 並木先生にお話を伺いました。
日本赤十字社 武蔵野赤十字病院は、日本赤十字社東京都支部により1949年11月に開設されました。
赤十字基本7原則と、当院の基本理念『私たちは、愛の心を高め、「愛の病院」を実践するために次の4つの愛[注1]を掲げています』のもと、東京都北多摩南部[注2]にお住まいのみなさまの健康を支えるべく、職員一同励んでいます。
[注1]4つの愛:病む人への愛、同僚と職場への愛、地域住民と地域への愛、地球・自然・命への愛
[注2]東京都北多摩南部:武蔵野市、三鷹市、調布市、府中市、小金井市、狛江市
2023年4月現在、当院では263名の医師、820名の看護師を含めた1,586名の職員が勤務しており、33診療科611病床を有しています。[注3]
当院では主に、近隣の医療機関では対応が難しいと判断された、重症度も緊急度も高い方に対する高度急性期医療を実践しています。当院の医療を本当に必要とされている患者さんのためにも、当院を受診される際には、かかりつけ医に相談のうえ紹介状をご用意ください。
[注3]記事中でご紹介する従業員の人数や配置状況は、現在の実態とは異なる可能性があります。ご了承ください。
1975年(昭和50年)4月に日本赤十字社 武蔵野赤十字病院は周辺地域の三次救急医療を担う救急医療センターに指定されました。
1982年(昭和57年)10月、正式に救命救急センターと改名致しました。
交通事故などで重度の外傷を負ったり、外傷や脳卒中・心筋梗塞など一刻を争う病気を発症したりした、重篤な患者さんを受け入れ続けています。また入院中の患者さんの容態が急変したときの対応も引き受けています。2022年度では、15名の常勤医が中心となり1,463名の方を受け入れ治療にあたりました。
当院は地域医療支援病院の承認も受けています。病棟には、救急搬送された患者さんの転院手続きを専門とする看護師とメディカルソーシャルワーカーが在籍、院内の地域医療連携室と協同して、患者さんの状態に合わせた転院手続や退院手続を担当しています。
当院はがん診療拠点病院として、ガイドラインを遵守した科学的根拠に基づく専門性の高い3大診療を実践しています。
2022年度の手術件数約1,278件のうち約548件は、胃、大腸、肝臓・胆のう・膵臓がんの手術でした。特に初期の肝臓がんでは、局所麻酔をした状態でがん細胞を焼くラジオ波焼灼療法や、肝臓に向かう動脈を塞ぎ抗がん剤を注入する動脈塞栓術など、入院期間を短縮可能な治療方法も提案しています。
化学療法では腫瘍内科や病理診断科と連携して、病理診断の結果をもとに抗がん剤を選択して通院治療を実施しています。
放射線治療では、病巣のみを狙って放射線を照射する定位放射線治療など、できるだけ体を傷つけずに臓器の機能を温存する治療に取り組んでいます。
患者さんやご家族に対するサポートを十分なものにするため、がん支援相談センターを開設しました。
治療費や入院日数、治療による体への影響、仕事を続けられるかなどの相談を、日本看護師協会認定のがん看護専門看護師やソーシャルワーカー、臨床心理士など病院職員が無料でお受けしています。また必要に応じて、産業医と連携して仕事をしながら治療を受けられる体制づくり、社労士協力による就労支援なども、できる限り支援しています。
当院では消化器科の医師が中心となり、肝炎、非アルコール性脂肪肝炎、肝硬変、肝臓がんなど肝臓の病気を手広く診療をしているため、全国から患者さんが来院されます。
肝硬変や肝臓がんの発症には、肝炎ウイルスの感染が関係していることが多いため、がんのみでなく、これらへのケアも重視されています。当院は東京都における肝疾患診療連携拠点病院として、肝疾患の診療、病気に関する情報提供、電話による相談支援を積極的に実施しています。
武蔵野市および周辺地域は都心ベッドタウンの人気エリアなため、妊娠中もしくは出産後の女性や赤ちゃんに対する医療へのニーズが非常に高いです。出産と育児がより安全で快適なものとなるよう、2018年4月現在、産婦人科19名と新生児科5名の医師と83名の助産師が全力でサポートしています。2017年度では1,146名の方が当院で分娩されました。
また救命救急センターと連携して、合併症や大量出血など妊娠中の女性の受け入れと診療に特化したスーパー母体救命システムも運用しています。
当院では、精緻な手術が可能であり、患者さんの体への負担が少ないロボット支援下手術も行っています。負担の少なさは入院日数の短縮につながるので患者さんとご家族に喜んでいただいています。
現在は泌尿器科、消化器外科、呼吸器外科、産婦人科で悪性腫瘍の手術を行っており、東京23区や多摩地区からも患者さんがいらっしゃっています。
日本赤十字社 武蔵野赤十字病院では常時救護班を編成しており、災害発生時には被害地への災害救護、医療救護活動を積極的に実施しています。
近年では、2018年北海道胆振東部地震、2019年台風15号による大雨災害(千葉県内)に、救護班を各被災地の避難所へ派遣し現地で各被災地の避難所で医療活動を行いました。
医療社会事業課国際救援係を設置しており、国際救援派遣要員の育成を目指しています。2017年1月よりフィリピンのセブ島に看護師を派遣して、健康教育や保険衛生活動支援を行っています。
当院では、2024年度から始まる医師の働き方改革に向け、その3年前から取り組みを開始しました。
まず、医師の数を従来の1.5倍に増やし、一人ひとりの医師の負担を減らすようにしました。例えば、これまでは外来時で診た患者さんを主治医として入院後まで診ていましたが、入院後は別の医師が担当するようにしています。これによって新しい救急の患者さんをもっと見ることができ、さらに入院患者さんも3割増えています。
一人の患者さんを複数の主治医が診るためには、医師同士、あるいは診療科同士が仲良くコミュニケーションできる必要があります。当院の医師はこれができるので、主治医が変わっても提供する医療レベルを落とすことなく、以前よりも多くの患者さんを受け入れることができるようになりました。
また、私は全ての医師に面談を行い、「よい医療を行うために他の科の医師、さらには職種を超えてコミュニケーションを行い、よく学んでほしい」と言っています。その結果でしょうか、当院は医師間だけではなく職種間でも風通しの良さが特長になっており、さらに皆さんが他の職種についてもよく学ぶことも特長だと思います。これらの特長を生かし、チーム医療で患者さんへの治療に当たることができるのが当院の強みだと考えています。
今後は医師だけでなく、他の職種でも改革を進めてよりいきいきと働ける病院を目指していく予定です。
結婚や出産などのライフイベントを迎えたとき、今後の働き方に悩む女性医師は多いです。
2018年4月現在、当院に勤務する常勤医師228名のうち女性医師は70名です。子育てしながら第一線で活躍する方のために、0~3歳の子どもを預かれる院内保育所を完備しています。また産前産後休暇、育児休暇、時間短縮勤務、子どものイベント参加に対しても、職場全体で理解が進んでいます。
当院には各専門分野を牽引する医師が多数在籍するだけでなく、高度な診療体制も整備されているため、難しい症例を抱える患者さんを全国から受け入れています。そのため、「よい医師になりたい」「より多くの患者さんを治すためのスキルを身に着けたい」と高い志を持った医学部生や研修医が当院の門を叩き、日々の診療をつうじて切磋琢磨しています。
当院では、高い志と何事も成し遂げる強い気持ちを持った方の応募を、お待ちしています。
日本赤十字社 武蔵野赤十字病院のある武蔵野市の人口は今後も増え続け、また高齢化の影響を受け高齢者の割合も少しずつ増加すると予想されています。
まずは、ご自身や家族の健康について何でも話せるかかりつけ医を持って、なにか問題が生じたときに相談できる相手を作りましょう。かかりつけ医のもとで診療が難しい場合に、私たちに相談してください。日本赤十字社 武蔵野赤十字病院では、みなさま健康を守り続けるため、全力で応えます。
日本赤十字社 武蔵野赤十字病院では、救命救急、地域医療、高度医療、がん診療、周産期医療など、さまざまな医療を患者さんに提供しています。
全国から集まる患者さん一人ひとりに、温かい癒やしの心を以て、質の高い、ぬくもりのこもった医療を提供し続けましょう。
武蔵野赤十字病院 名誉院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。