大阪府東大阪市にある喜馬病院は、“地域貢献”を掲げ病院を開設した創設者の下、診療科や病床を増やしながら地域医療に貢献してきた病院です。現在は、外科、整形外科、リハビリテーション科、在宅医療科に力を入れ診療を行っています。
同院を運営している医療法人寿山会グループは市内で介護老人保健施設やサービス付き高齢者向け住宅、介護付き有料老人ホーム、グループホームも運営しており、医療だけでなく介護分野でも地域の健康を守る要となっている同院の特長や今後の展望について、理事長である熊野 公束(くまの きみつか)先生に伺いました。
1953年に診療所として開設した当院は、「地域に貢献したい」という先代の強い思いから、入院設備を整え、現在は急性期病床43床、地域包括ケア病棟37床、回復期リハビリ病棟43床の計123床を有する病院となりました。
外科・整形外科・リハビリテーション科を3本柱とし、外科では腹腔鏡下手術(ふくくうきょうかしゅじゅつ)にも力を入れています。在宅医療科があるのも当院の特徴で、退院後の患者さんの在宅での治療や生活支援を担っています。
創設者の意思を継ぎ、前理事長の代では介護・福祉分野でも地域の健康をサポートできるよう、病院の近隣に介護老人保健施設とサービス付き高齢者向け住宅も開設しました。“地域への貢献”という開設時の思いを胸に、診療に限らず多様な面から地域医療を支えることを目指しています。
当院では、患者さんの体への負担が少ない「低侵襲(ていしんしゅう)治療」をご提供するため、2007年より「内視鏡外科センター」を開設してまいりました。さらに2024年からは内科と外科の垣根を越え、『内視鏡センター』へと体制を新たにしております。
外科的治療におきましては、私を含め日本内視鏡外科学会が認定する「技術認定医」が2名在籍しています。鼠径(そけい)ヘルニアから各種がん疾患まで幅広く対応し、高度な技術で体への負担を最小限に抑える手術を実践しています。
また当院の大きな特長として、急な痛みを伴う胆嚢(たんのう)結石や総胆管結石といった、急性期の胆道系疾患の手術を得意としている点が挙げられます。加えて、外科手術を必要としないケースでは、上部内視鏡を用いた切らない治療も積極的に行っており、内科と外科の連携を活かした最適な医療を提供いたします。
当院では、2020年に関西医科大学の整形外科より外傷および膝関節治療を専門とする医師2名を迎え、診療体制を大幅に強化いたしました。2024年からは3名体制へと拡充し、より迅速で質の高い医療を提供しております。
骨折などの救急外傷には迅速かつ的確な手術で早期復帰をサポートします。また、スポーツや仕事での膝外傷については体への負担が少ない「関節鏡を用いた手術」を行い、痛みを和らげながら速やかにスポーツや職場復帰を目指します。重症の変形性膝関節症では「人工膝関節置換術」に加え、中高年のスポーツ愛好家や重労働者の方には最適なご自身の関節を温存する「膝周囲骨切り術」にも注力しております。
治療にあたっては専用のパンフレット等を用いて、保存加療から手術加療までを具体的に説明し、患者様が安心して治療を受けられるよう配慮しております。
また、地域の先生方とも緊密に連携しております。担当医師自らが訪問して直接ご説明するなど強固な信頼関係を築き、安心して患者様をご紹介いただけるよう尽力しております。今後も地域の医療機関とも良好な関係を深め、地域医療の充実に貢献してまいります。
当院では、患者さんの回復を支えるリハビリテーションにも注力し、365日体制でリハビリを行っています。整形外科の手術はリハビリテーションとセットで実施し、術後の早期回復を目指したプログラムを提供しています。また、回復期リハビリテーションでは“治すリハビリテーション”を目標に掲げ、ADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)向上をサポートしています。
さらに、当院が属する医療法人寿山会グループでは、地域に根ざした活動として、地域支援プロジェクト“笑活-WAKKA-”を運営しています。具体的な内容は、地域の方々の身体的・精神的健康を促進するための体操教室などの実施で、地域の方々の交流の場にもなっています。この活動を支えているスタッフは全員が喜馬病院の一員であり、看護師・理学療法士・言語聴覚士などの国家資格を持つ専門家です。
また、法人グループ内に設けたリハビリテーション研究室では、より効果的なメニューを開発するための研究も進めています。
*笑活-WAKKA-ホームページはこちらから
当院は地域のコミュニティ病院を目指しており、当院を運営する医療法人寿山会傘下の訪問診療や介護老人保健施設、介護付き有料老人ホームなどと密に連携して、グループ全体で患者さんに寄り添っています。
まず、当院には訪問診療を行う在宅医療科があり、常勤医師の2名のうち1名は病院の診療と訪問診療の両方を担当しています。訪問診療を受けている患者さんに入院が必要となった場合でも、引き続き同じ医師が診療を行うため、患者さんにとっても安心につながるのではないでしょうか。なお、治療を終え自宅に戻られた後も、訪問診療を通じて継続的にサポートを行っていきます。
また、当院では総合診療科も開設しており、発熱や生活習慣病、複数の症状が重なったケースなど、診療科を限定せず幅広い相談に対応しています。
一般的に、訪問診療を担う医師は内科医が中心となることが多いのですが、当院の訪問診療には幅広い病気に対応できる総合診療科の医師と外科医がメンバーに加わっています。そのため、内科の病気はもちろんのこと、褥瘡(じょくそう)(床ずれ)の処置や皮膚組織の切除といった外科的対応も、患者さんのご自宅で病院と変わらないレベルで行うことが可能です。
当院では、訪問診療と病院診療をスムーズにつなぐことで、患者さんの状況に応じた柔軟な対応を可能にし、在宅でも病院でも変わらぬ安心感を持っていただけることを目指しています。
当院を運営する医療法人寿山会では、病院での診療だけでなく、その後の生活まで見据えた体制づくりを大切にしてきました。というのも、患者さんの多くは退院後の生活の中で新たな不安や課題に直面されるからです。そこで当法人では、在宅医療や介護施設を整備し、医療と生活支援を切れ目なくつないでいくことを目指してきました。
まず、在宅での療養を支える拠点として在宅医療介護センターを設けています。ここでは、訪問診療や訪問看護、リハビリテーションなどを通じて、ご自宅で過ごされる患者さんの体調管理や生活支援を行っています。病院で診ていた患者さんをそのまま在宅でも見守れる体制があることで、環境が変わっても安心感を持っていただけるのではないかと感じています。
また、入院と在宅の中間的な役割を担う施設として、介護老人保健施設も運営しています。病状が安定しつつも、すぐに在宅復帰するには不安がある方に対して、医療的な管理のもとでリハビリテーションを行い、ご自宅への復帰を支援する場です。病院での治療から在宅生活へ移行する“橋渡し”のような役割を果たしています。
生活の場としては、サービス付き高齢者向け住宅や介護付き有料老人ホームも整備しています。これらの施設では、日常生活の支援を受けながらも、できるだけご本人らしい暮らしを続けていただけるよう配慮しています。体調の変化があった場合には、病院や在宅医療部門と連携しながら迅速に対応できる点も特徴の1つです。
さらに、認知症の方に対してはグループホームを設けています。少人数で家庭に近い環境のなか、穏やかに生活を続けていただくことを重視しています。スタッフが日常生活を共にしながら支えることで、ご本人のペースを大切にしたケアを行っています。
このように、当法人では「病院で治療する」だけで完結するのではなく、その後の生活まで見据えて支えていく体制を整えてきました。患者さんの状態やご希望に応じて、病院・在宅・各種施設を柔軟に行き来できることが、結果として安心感につながるのではないかと考えています。
当院では総合診療科も開設しており、症状を問わず幅広い相談をお受けしています。また、常勤の放射線科専門医(日本医学放射線学会認定)が在籍していますので、CTやMRIを用いた高度な画像診断を迅速に行うことが可能です。診断は治療の第一歩です。患者さんにとっても早期に診断がつくことで、負担の軽減につながるかと思いますので、迅速に対応ができる専門医がいることは大きな強みです。
私自身は2008年に外科医として当院に着任して以来多くの手術に携わり、2024年10月1日には理事長を拝命しました。地域に根ざした医療の提供を使命として歩んできた当院で、これからも地域の皆さんに信頼される医療を提供できるよう全力を尽くしてまいります。
*医師や提供している医療についての内容および、病床数などの数字は全て2026年5月時点のものです。
様々な学会と連携し、日々の診療・研究に役立つ医師向けウェビナーを定期配信しています。
情報アップデートの場としてぜひご視聴ください。