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腎臓を守る習慣、できていますか? 世界腎臓デーに学ぶ 慢性腎臓病(CKD)の予防と改善方法

公開日

2025年03月04日

更新日

2025年03月04日

更新履歴
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イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教

天野 方一 先生

世界腎臓デー(World Kidney Day)は、毎年3月の第2木曜日に実施される国際的な記念日です。この日は、慢性腎臓病(CKD)の早期発見と治療の重要性を広めることを目的としています。

この取り組みは、国際腎臓学会(ISN)と腎臓財団国際連合(IFKF)によって始められました。現在では世界各国でイベントやキャンペーンが行われ、CKDに対する理解を深める活動が行われています。

世界腎臓デーを前に、腎機能を守るための日常的な取り組みや最新の治療法について腎臓内科を専門とするイーヘルスクリニック新宿院の天野方一先生に解説していただきました。

イーヘルスクリニック新宿院 天野方一院長
イーヘルスクリニック新宿院 天野方一院長

慢性腎臓病(CKD)の現状とリスク

慢性腎臓病(CKD)は、腎障害や腎機能の低下が持続的に進行する病気です。日本では約1,480万人のCKD患者がいるとされ、これは20歳以上の約7人に1人が影響を受けている計算になります。

この病気の特徴は、初期段階ではほとんど自覚症状がないことです。そのため、多くの方が気づかないうちに進行してしまいます。CKDが進行すると、末期腎不全や心疾患、脳卒中など、生命に関わるリスクが高まるため、早期の段階での発見と適切な対応が非常に重要です。

腎機能の改善と食事療法の重要性

腎機能は年齢とともに自然に低下します。しかし、不適切な生活習慣や食事がこの低下を加速させることがあります。

1980年代には、年間eGFRが10以上低下するケースも珍しくありませんでしたが、治療法の進化により、現在では年間2程度の低下に抑えられるようになっています。この改善には、特に食事療法の果たす役割が大きいとされています。

腎臓を守るための食事ポイント

以下に、避けるべき食材と積極的に摂取したい食材を挙げます。これらを参考に、日々の食事を見直してみましょう。

【避けるべき食材】

  • 赤身肉(例:牛肉、豚肉)
  • 加工肉類(例:ハム、ソーセージ)
  • 塩分の多い食品(例:漬物、インスタント食品)
  • 砂糖を含む飲料(例:清涼飲料水、ジュース)

【積極的に摂取したい食材】

  • 新鮮な野菜や果物
  • ナッツや豆類(例:アーモンド、大豆)
  • 全粒粉製品(例:玄米、全粒パン)
  • 魚(特に脂肪分の少ないもの)
  • 低脂肪乳製品(例:豆腐、ヨーグルト、納豆)

食事療法を正しく実施することで、腎機能の低下を抑え、健康を維持することが期待できます。

腎機能低下を防ぐ最新治療法

近年、医学の進歩により、食事療法だけでなく薬物療法も重要な選択肢となっています。特に以下の2つの治療薬は、腎機能低下を予防する効果があるとして注目されています。

1. SGLT2阻害薬

もともと2型糖尿病治療のために開発されましたが、糖尿病の有無にかかわらず腎臓病の進行を抑制する効果が確認されています。特に「ダパグリフロジン」は、腎臓を保護する作用に加え、尿タンパクの抑制や心血管疾患リスクの低減にも寄与することが報告されています。

2. ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬

もともとは高血圧治療薬として知られていますが、最近の研究で腎機能低下の抑制効果が確認されました。特に、2型糖尿病を併発しているCKDの患者さんに対して有効性が高いとされています。

これらの治療法は、患者の状態に応じて医師と相談しながら導入することが重要です。適切な治療を選択することで、腎機能の低下を抑え、健康な生活を維持することができます。

肥満と腎機能低下の深い関係

肥満は腎臓に大きな負担をかけ、腎機能低下のリスクを高める要因の1つです。研究*によると、BMIが増えるごとにリスクが上昇することが明らかになっています。

  • BMI 30:BMI25に比べリスクが1.18倍に増加
  • BMI 35:同じくリスクが1.69倍に増加
  • BMI 40:同じくリスクが2.02倍に増加

肥満はCKDの進行を加速させるだけでなく、透析のリスクも高めるのです。日常的に適切な食事と運動を取り入れ、健康的な体重を維持することが腎機能を守るためには大切です。

* Chang AR, et al. BMJ. 2019;364:k5301.

適正体重の維持が腎臓を守るカギ

CKDの予防には、食事療法や新しい治療の活用、そして適正体重の維持が重要です。早期の取り組みが腎機能を守り、健康的な生活を続ける鍵となります。今回ご紹介した情報を参考に、日々の生活習慣を見直し、より良い健康状態を目指しましょう。

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イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教

天野 方一 先生

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院 (eHealth clinic 新宿院)」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。

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