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イライラや性欲減少―男性にも起こる更年期障害 治療法と生活習慣改善のポイントとは

公開日

2025年01月28日

更新日

2025年01月28日

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2025年01月28日

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イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教

天野 方一 先生

「更年期障害」と聞くと女性特有の症状というイメージが強いかもしれません。しかし、実は男性にも起こる可能性があります。この「男性更年期障害」は、医学的には加齢性腺機能低下症(LOH症候群)と呼ばれ、加齢に伴い男性ホルモン(テストステロン)の分泌が減少することが主な原因です。

男性の場合、ホルモンの減少は女性のように急激ではなく、20歳代以降から緩やかに進行します。そのため、発症のタイミングには個人差があり、30歳代で症状が現れる方もいれば、50歳代以降に症状が進行する方も、発症しない方もいます。このばらつきが、男性更年期障害の特徴といえるでしょう。

男性更年期障害の症状や注意点などについて、イーヘルスクリニック新宿院の天野方一先生に詳しく教えてもらいました。

男性更年期障害の主な症状

男性更年期障害の症状は、身体的・精神的・性的な面で現れることが多く、以下のような特徴があります。

  • 身体的な変化:急な発汗、顔のほてり、筋力低下、関節痛、体重増加
  • 精神的な不調:イライラ、やる気の低下、抑うつ感、集中力の低下
  • 性機能の低下:ED(勃起不全)や性欲の減少
  • 睡眠の乱れ:不眠や浅い眠り

これらの症状が複数みられる場合、男性更年期障害の可能性が考えられます。ただし、症状とテストステロンの分泌量(テストステロン値)は必ずしも一致しないため、正確な診断には専門的な問診や検査が必要です。

診断方法:AMSスコアと血液検査

男性更年期障害の診断には、AMSスコア(Aging Male Symptomsスコア)と呼ばれる問診票が用いられます。17項目の質問では、身体的、精神的、性的な症状を5段階で評価し、点数化することで症状の程度を把握します。ネット上で「AMSスコア」と検索すると表示されるAMSスコアを利用して自己評価を行ってみるのもよいでしょう。

また、血液検査でテストステロン値を測定することで、減少具合を確認します。ただし、診断では問診が特に重要であり、検査値だけでは結論を出しません。

男性更年期障害の治療法

男性更年期障害の治療法は主に3つあり、症状の重さやテストステロン値によって選ばれる治療法は異なります。

1. 生活習慣の改善

症状が軽い場合は、生活習慣を見直すだけでも改善が期待できます。以下のポイントを実践してみましょう。

  • 十分な睡眠:睡眠不足を解消し、ホルモン分泌の乱れを整えます。
  • ストレス管理:趣味やリラクゼーションを取り入れ、ストレスを解消します。
  • 食生活の改善:栄養バランスの取れた食事を心がけます。
  • 適度な運動:筋力トレーニングや有酸素運動を行います。
  • 太陽光を浴びる:朝の散歩などで自然光を取り入れます。

男性更年期障害には、栄養バランスの整った食事が重要です。良質なたんぱく質、食物繊維、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを積極的に取り入れましょう。また、テストステロンの生成には適度な糖質とコレステロールが必要です。

ただし、甘いものや炭水化物の取りすぎは内臓脂肪の増加を招き、ホルモンの分泌に悪影響を与えることも。適度な運動を併せて行い、健康的な体を維持しましょう。

2. 薬物療法

生活習慣の改善で効果がみられない場合は、薬物療法を検討します。

  • 漢方薬:体質改善を重視する治療で、副作用が少ないのが特徴です。
  • 症状別の薬:ED治療薬、抗うつ薬、抗不安薬などが用いられることがあります。

3. 男性ホルモン補充療法

ホルモン値が低く、症状が重い場合は、男性ホルモン補充療法を行います。

  • 注射療法:テストステロンを2~4週間ごとに筋肉注射します。保険適用が可能です。
  • 外用療法:自費診療で使用することができます。

注意点:誤診を防ぐために

「やる気が出ない」「集中力がない」「落ち込む」といった症状でメンタルクリニックを受診し、うつ病と誤診されるケースも少なくありません。治療を続けても改善しない場合には、男性更年期障害の可能性を検討することが大切です。

セルフチェックを活用しよう

気になる症状がある場合、前述したAMSスコアを利用して自己評価を行いましょう。自分が男性更年期障害かどうかをさらに詳しく知りたい方や治療を希望される方は、専門医療機関での診察をおすすめします。男性更年期を専門としている医療機関などによる診断と適切な治療で、快適な生活を取り戻しましょう。

取材依頼は、お問い合わせフォームからお願いします。

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イーヘルスクリニック新宿院 院長、帝京大学大学院公衆衛生学研究科 非常勤講師、久留米大学医学部公衆衛生学講座 助教

天野 方一 先生

埼玉医科大学卒業後、都内の大学附属病院で研修を修了。東京慈恵会医科大学附属病院、足利赤十字病院、神奈川県立汐見台病院などに勤務、研鑽を積む。2016年より帝京大学大学院公衆衛生学研究科に入学し、2018年9月よりハーバード大学公衆衛生大学院(Harvard T.H. Chan School of Public Health)に留学。予防医療に特化したメディカルクリニックで勤務後、2022年4月東京都新宿区に「イーヘルスクリニック新宿院 (eHealth clinic 新宿院)」を開院。複数企業の嘱託産業医としても勤務中。