くるぶしが痛い:医師が考える原因と対処法|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
熊本回生会病院 院長補佐
中村 英一 先生【監修】
歩いているときやスポーツのときなどに足をくじくなどして、くるぶしが痛くなることはよくあるものです。しかし心当たりがないのに痛みを感じた場合、注意が必要なこともあります。
このような場合、何が原因で痛みが起こっているのでしょうか。
くるぶしの痛み以外に腫れが生じることがあります。痛みと腫れが生じる原因としては、関節や骨などの病気・ケガが考えられます。
関節への負荷や細菌感染などによって、関節に炎症が起こる病気を関節炎といいます。関節炎は、体のあらゆる関節に起こるもので、足首の関節にも発症することがあります。
関節炎の症状は、主に関節の痛みと腫れですが、関節の熱感や発赤(皮膚が赤くなる)がみられることも少なくありません。また、細菌感染によるものなら、発熱や体のだるさなど全身症状が伴う場合もあります。
変形性足関節症は、関節の軟骨がすり減って変形する病気です。
くるぶしに痛みが生じ、多くの場合、歩くときに痛みが強くなります。進行すると、くるぶしの外側や内側が腫れることもあります。
後脛骨筋腱機能不全とは、くるぶしの内側にある後脛骨筋腱が炎症や断裂などによって、機能しなくなる状態のことをいいます。
後脛骨筋腱機能不全になると主に痛みと腫れが後足部内側に現れ、次第に土踏まずがなくなって足の裏が平になる扁平足が生じます。
足をくじいて捻挫したり骨折したりした場合にも、くるぶしに痛みや腫れが生じます。
骨折においては、皮下出血が生じたり、くるぶしの外側・内側の骨が変形したりすることもあります。また、強い痛みから足を着いて歩くのが困難になります。
また、ただの捻挫だと思っていても「剥離骨折」という種類の骨折を起こしている場合もあるため注意が必要です。
体にはある一定数の骨が存在しますが、過剰な骨を持つ人がいます。
過剰な骨のひとつで、くるぶしの内側にある舟状骨に存在するものが外脛骨で、前述した後脛骨筋腱が付着しています。このため、運動による負荷や外傷などによって、後脛骨筋が付着している外脛骨に力が加わると痛みがでることがあります。これが外脛骨障害です。
特に思春期頃の女児に多いとされ、症状として痛みのほかに腫れが生じることもあります。
痛風発作とは、尿酸が関節の中で結晶化することで突然起こる急性関節炎のことです。足の親指の付け根に起こることが多いものの、足首の関節にも起こります。
発症すると激しい痛みが現れることに加えて、痛みのある部位が赤く腫れあがります。激しい痛みは2~3日間続き、1~2週間で治まることが多いとされています。
痛みが強い場合や軽い痛みでも長く続いている場合、腫れがみられる場合には病院への受診を考えましょう。また、痛みのきっかけとなった出来事に心当たりがあるような場合には、早めの受診がよいでしょう。
痛風などでは専門の診療科が分かれる場合もありますが、くるぶしの痛みを主として受診する場合にはまずは整形外科への受診が適しています。
症状や経緯を医師に詳しく伝えると病気の診断に役立ちます。痛みはどのくらい続いているのか、何をして痛み出したのか、痛みのほかに症状があるかなど、できるだけ詳しく伝えましょう。受診の前にまとめておくとスムーズです。
病気やケガ以外では、むくみによって痛みが生じている可能性も考えられます。
足の静脈の血液は、重力に逆らうように心臓に向かって流れていますが、主にふくらはぎの筋肉の収縮によるポンプ作用で、心臓へ戻ります。筋力が低下すると、血の戻りが悪くなり、むくみの原因となります。
また血管炎では、静脈内の圧力が上昇して血管に炎症が起こり、血液の血漿成分(水分)が血管の外へ漏れて細胞の外に水分が溜まります。
この水分がむくみの原因のひとつで、むくみが強いと圧迫感や痛みが生じることもあります。
冷えによるむくみであれば、血流をよくすることが根本的な解消法です。足首を回す、マッサージをする、適度に軽い運動をするなどして血流をよくしてあげましょう。普段からむくみがちな人の場合には、着圧ソックスなどの使用もよいでしょう。
また、体を温める食べ物を摂取する、お風呂に浸かって体を温めるなども血流の促進に効果があります。
いつまでもよくならない場合には原因を調べることが必要な場合もあります。そのようなときには病院で相談しましょう。
くるぶしの痛みが長く続く場合には、何かしらの病気や思いもよらない原因によるものかもしれません。いつまでもよくならないときには、一度整形外科を受診することを考えましょう。