唾液が少ない:医師が考える原因と対処法|症状辞典

唾液が少ない

メディカルノート編集部 [医師監修]【監修】

唾液は口の中を潤すだけでなく、口の中に溜まった汚れや細菌を除去する自浄作用を担っています。唾液の分泌量は一日に1~1.5Lほどですが、さまざまな原因で分泌量が低下することがあります。

  • 唾液や涙の分泌量が低下し、口や目が乾きやすい
  • 口の中が乾きやすく、水分摂取量が増えてトイレが近くなった
  • 強い緊張やストレスによって唾液の分泌量が低下する

 これらの症状が見られる場合、原因としてどのようなものが考えられるでしょうか。

唾液の減少は日常生活上の好ましくない習慣が原因のことがあります。原因となる主な習慣とそれぞれの対処法は以下の通りです。

過度なストレスによって交感神経が刺激されると唾液の分泌が低下することがあります。

ストレスを溜めないためには

日常生活からストレスを完全に排除するのは困難ですが、適度にストレスを解消する方法を身に付け、ストレスを持ち越さないようにしましょう。また、十分な睡眠・休息 時間の確保も大切です。

口での呼吸を繰り返すと、口腔内が乾燥して唾液が少なくなったと感じることがあります。

口呼吸を改善するには

意識的に鼻で呼吸をするように心がけることが大切です。また、就寝中など無意識に口呼吸をしてしまう可能性がある場合は、マスクを着用するなどして口の中が乾燥しないようにしましょう。

過度なアルコールや塩分は脱水を引き起こして、唾液減少の原因になることがあります。

アルコールや塩分は適量に

アルコールや塩分は適量であれば健康に害を及ぼすことはありません。唾液の減少を改善するためにも、適量を心がけるようにしましょう。

日常生活上の習慣を改善しても唾液の減少が改善しない場合は、思わぬ病気が潜んでいる可能性もあります。治療が遅れると症状が悪化することもありますので、軽く考えずになるべく早めにそれぞれの症状に合った診療科を受診するようにしましょう。

唾液の減少はさまざまな原因で引き起こされますが、中には病気が原因のこともあります。唾液の減少を引き起こす主な病気には以下のようなものが挙げられます。

唾液の減少は、口の中に発症する病気によって引き起こされることがあります。原因となる主な病気は以下の通りです。

シェーグレン症候群

自己免疫の異常によって引き起こされる病気の一種で、唾液腺や涙腺に慢性的な炎症が生じ、それらの器官の機能低下が見られる病気です。唾液や涙の分泌が低下するため口や目の乾きが生じやすく、虫歯や歯周病、口臭などの口腔内症状、目の充血や痛みなどの眼症状を引き起こします。

シェーグレン症候群
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反復性耳下腺炎(はんぷくせいじかせんえん)

唾液腺の一種である耳下腺の炎症を繰り返す病気です。唾液が分泌されるための唾液管が拡張することで、唾液が貯留されやすくなることが主な原因です。発症すると耳の下あたりが腫れて痛みを生じ、唾液の分泌が減少することもあります。

唾液の減少は口の中に関連する病気だけでなく、全身の病気によって引き起こされることもあります。原因となる主な病気は以下の通りです。

更年期障害

唾液の分泌は自律神経に司られており、副交感神経がはたらくと分泌が促されます。

閉経前後5年の時期である更年期では、女性ホルモンの急激な減少のために全身にさまざまな深い症状が現れます。中には、自律神経の乱れが生じることがあり、特に交感神経がはたらきやすくなるために唾液の分泌量低下を引き起こします。

また、その他にもイライラ感や焦燥感などの精神的な不調やほてり、のぼせ、動悸などの身体症状が見られやすくなります。

更年期障害
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糖尿病

血糖値を下げるホルモンであるインスリンのはたらきが弱くなったり、分泌量が低下したりすることで血糖値が高い状態が続く病気です。

動脈硬化を引き起こしやすく、全身にさまざまな合併症を引き起こす可能性がありますが、それらの重篤な症状が現れない限り、自覚症状がほとんどないのが特徴です。一方で、数少ない自覚症状として、唾液の減少による口渇感が見られることがあり、口腔内の自浄作用が低下することで虫歯や歯周病を発症するリスクが高くなります。

糖尿病
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脱水症

発熱や水分不足、頻回な下痢・嘔吐などによって体内に保持される水分量が減少する病気です。初期症状としては唾液分泌減少による喉の乾きや口腔内・唇・皮膚の乾燥が見られます。重症化すると体内の血液量が減少することで血圧の低下や頻脈などの症状を引き起こし、けいれんや意識混濁を生じることもあります。

脱水症
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唾液の減少は日常的によく見られる症状であるため、特に不快な随伴症状がない場合は病院を受診する人は少ないでしょう。しかし、中には重篤な病気が潜んでいることもあるので注意が必要です。

特に、唾液の減少によって虫歯や口内炎などの症状が見られる場合、口腔内以外の部位に何らかの症状を伴う場合はなるべく早めに病院を受診するようにしましょう。

受診に適した診療科は口腔外科や一般歯科ですが、口腔外の症状がある場合はそれぞれの症状に合わせて内科などで診てもらうことも可能です。受診の際には、いつから唾液が少なくなっているのか、随伴する症状、現在罹患している病気などを詳しく医師に説明するようにしましょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 乾燥して口の中に痛みがある
  • 舌のひび割れ、変色などがある
  • 食事などに支障がある

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 短時間でよくなり、その後繰り返さない
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。