疲労感:医師が考える原因と対処法|症状辞典

疲労感

睡眠不足や長時間労働、精神的なストレスから疲れが出ることはありますが、休養を取ってもなかなか改善しない場合、何らかの病気が原因となっている場合もあります。

  • 睡眠はしっかり取っているのに翌朝にも疲れが残っている
  • 食欲がなく、家族や友人に痩せたようだと言われる
  • 疲れやすさとともに少しの運動で息切れがする

このような場合に考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。

疲労感は日常生活での原因によって起こっている場合もあります。

睡眠時間が乱れたり、食生活が不規則になったりすると体の疲労が蓄積しやすくなります。

生活リズムを整えるために

適度な運動を習慣づけ、決まった時間にベッドに入るようにしましょう。就寝前の飲酒やスマートフォン、パソコンの使用は睡眠の質を悪くすることがありますので、なるべく避けるようにしましょう。

就寝時間が不規則な場合、睡眠がしっかり取れないことがあります。まくらの高さや部屋の照明など、落ち着いて睡眠が取れる環境が整っているか、確認してみましょう。

寝不足を感じたら

日中の眠気が強い場合、可能であれば10分程度の仮眠をとることが有効です。睡眠時間は十分取れているのに日中の耐え難い眠気を感じる場合には、睡眠の質が悪い可能性があります。そのような時には一度病院で相談してみましょう。

肉体的な疲労や精神的な疲れからストレスが蓄積する事で、疲労感を感じやすくなります。

ストレスを解消するには

睡眠を十分にとり、バランスの取れた食生活を心がけることが大切です。定期的な運動や、リラックスできる時間を意識的に取ることもストレスを改善する良い方法です。

ストレスが強く自分でコントロールできない場合は、家族や友人に相談するか、内科や精神科などの医療機関を受診しましょう。

疲れが取れずに悩んでいる場合は、治療が必要な病気が隠れているかもしれません。内科やかかりつけの医師に相談しましょう。

回復しない疲労感は病気が原因となっている場合もあります。主に考えられる病気には以下のようなものがあります。

貧血

貧血の原因は様々ですが、バランスの悪い食生活や、女性の場合は月経時の出血が多いことが原因になる場合が多いといわれています。

運動時の息切れや疲れやすさ、顔色が悪いなどと指摘されることもあります。

睡眠時無呼吸症候群

睡眠中の呼吸回数が極端に減ったり、呼吸が一時的に止まったりする病気です。夜間の睡眠が十分に取れず、起床時の疲れや日中の眠気をきたしやすくなります。

肥満体型の人や、家族にいびきをよく指摘される人は注意が必要です。

甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症

甲状腺で作られるホルモンのバランスが崩れることにより、疲れやすさを感じることがあります。

甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過剰になる病気で、動機がする、人より汗をかきやすい、食事を摂っているのに体重が減るなどの症状が見られる事があります。

甲状腺機能低下症は反対に甲状腺ホルモンが不足する病気ですが、慢性的な疲れやだるさ、反対に食欲がない、寒気がするなどの症状が現れます。       

糖尿病

糖尿病は膵臓から分泌されるインスリンというホルモンが足りない・出ない病気ですが、摂取したエネルギーを体が使うためにはこのインスリンが不可欠です。そのため糖尿病になると、エネルギーを効率よく使えないために疲労感を感じる事があります。

その他、喉の渇きや体重減少、食欲低下などがみられることがあります。

うつ病

ストレスを感じやすい状況が続いたり、肉体的な疲労が持続するなど原因は様々です。気分の落ち込みや何をしても楽しくない、寝つきが悪い、食欲がなくなるなどの症状が代表的ですが、休んでも取れない疲労感やだるさが現れる事も多くあります。

慢性疲労症候群

詳しい原因はわかっていませんが、慢性的な強い疲労感が続く病気です。風邪のような症状とともに発症することがあり、疲労感は半年以上も続くことがあります。まずは他の病気が隠れていないかどうかのチェックを受ける事が大切です。

悪性腫瘍

体のどこかにがんができる事で疲れやすさを感じる事があります。どこのがんかによっても症状が異なり、また初期には症状があまりない事も多いですが、食欲低下、体重減少や微熱が続くなどの症状で気がつかれることもあります。そのほか、がんの進行の程度によっては、痛みや息苦しさなどが伴うこともあります。

急激に進む疲労感や、どんなに休んでも回復しない疲労感は何らかの病気のサインかもしれません。早めに受診しましょう。その他、慢性的な疲れでも、休養を取ってもなかなか回復しない場合には医師に相談しましょう。

受診科目は原因によって異なるため、まずは近くの内科やかかりつけの医療機関などで相談してみるとよいでしょう。

受診の際には、いつ頃からどのような症状があるか、きっかけとなった出来事があるか、など具体的に医師に伝えるようにしましょう。

受診の目安

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 疲労感が続き、日常生活に支障がある
  • 微熱、体重減少、むくみ、食欲低下などがある
  • 十分な休息をとっても回復しない

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 一時的なもので、休息を取るなどすることで回復する
原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。