疲労感:医師が考える原因と対処法|症状辞典

疲労感

受診の目安

夜間・休日を問わず受診

急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。

  • 長期間疲れやすさが抜けず、死にたいという気持ちが強くなった

診療時間内に受診

翌日〜近日中の受診を検討しましょう。

  • 動悸や体重の減少などの症状を伴う
  • 慢性的な眠気と日常生活に支障が出るほどの疲れが続いている

場合によって受診を検討

気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。

  • 息切れや顔色の悪さを感じることがある

群星沖縄臨床研修センター センター長 、筑波大学 客員教授、琉球大学 客員教授、獨協大学 特任教授、聖マリアンナ医大 客員教授、総合診療医学教育研究所 代表取締役、Choosing Wisely Japan 副代表、Journal of Hospital General Medicine 編集長

徳田 安春 先生【監修】

睡眠不足や長時間労働、精神的なストレスから疲れが出ることはありますが、休養を取ってもなかなか改善しない場合は何らかの病気が原因となっていることもあります。

  • 睡眠はしっかり取っているのに翌朝にも疲れが残っている
  • 食欲がなく、家族や友人に痩せたようだと言われる
  • 疲れやすさとともに少しの運動で息切れがする

このような場合に考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。

回復しない疲労感は病気が原因となっている場合もあります。主に考えられる病気には以下のようなものがあります。

貧血

貧血の原因はさまざまですが、バランスの悪い食生活や、女性の場合は月経時の出血が多いことが原因になる場合が多いといわれています。

息切れや疲れやすさ、顔色が悪いなどと指摘されることもあります。

貧血
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睡眠時無呼吸症候群

睡眠中の呼吸回数が弱くなったり、呼吸が一時的に止まったりする病気です。夜間の睡眠が十分に取れず、起床時の疲れや日中の眠気をきたしやすくなります。

肥満体型の人は気道が狭くなりやすいため注意が必要です。

睡眠時無呼吸症候群
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甲状腺機能亢進症・甲状腺機能低下症

甲状腺で作られるホルモンのバランスが崩れることにより、疲れやすさを感じることがあります。

甲状腺機能亢進症は甲状腺ホルモンが過剰になる病気で、動悸がするほか、人より汗をかきやすい、食事を取っているのに体重が減るなどの症状がみられることがあります。

甲状腺機能低下症は反対に甲状腺ホルモンが不足する病気ですが、慢性的な疲れやだるさ、寒気がするなどの症状が現れます。

甲状腺機能亢進症
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甲状腺機能低下症
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糖尿病

糖尿病膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンが足りない病気です。摂取したエネルギー(糖)を体が使うためにはインスリンが不可欠なため、糖尿病になるとエネルギーを効率よく使えないために疲労感を感じることがあります。

そのほか、喉の渇きや体重減少、食欲低下などがみられることがあります。

糖尿病
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うつ病

ストレスを感じやすい状況が続いたり、肉体的な疲労が持続したりするなど、原因はさまざまです。気分の落ち込みや何をしても楽しくない、寝つきが悪い、食欲がなくなるなどの症状が代表的ですが、休んでも取れない疲労感やだるさが現れることも多くあります。

うつ病
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慢性疲労症候群

詳しい原因は分かっていませんが、慢性的な強い疲労感が続く病気です。かぜのような症状とともに発症することがあり、疲労感は半年以上も続くことがあります。まずは、ほかの病気が隠れていないかどうかのチェックを受けることが大切です。

悪性腫瘍

体のどこかにがんができることで疲れやすさを感じる場合があります。体のどこにがんができているかによっても症状が異なります。また、初期には症状があまりないことも多いですが、食欲低下、体重減少や微熱が続くなどの症状で気付かれることもあります。

そのほか、がんの種類によっては痛みや息苦しさなどが伴うこともあります。

疲労感が現れるまれな病気としては、重症筋無力症先天性ミオパチー酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症などがあります。まれな病気は専門医でなければ診断が難しい場合が多く、複数の医療機関を受診して診断に結びつくことも少なくないため、気になる症状がある場合は医療機関を受診することが大切といえるでしょう。

重症筋無力症
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先天性ミオパチー
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酸性スフィンゴミエリナーゼ欠損症
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急激に進む疲労感や、どんなに休んでも回復しない疲労感は何らかの病気のサインかもしれないため、早めに受診しましょう。そのほか、慢性的な疲れでも休養を取ってもなかなか回復しない場合には医師に相談しましょう。

受診科目は原因によって異なるため、まずは近くの内科やかかりつけの医療機関などで相談してみるとよいでしょう。

受診の際には、いつ頃からどのような症状があるか、きっかけとなった出来事があるかなど、具体的に医師に伝えるようにしましょう。

疲労感は日常生活での原因によって起こっている場合もあります。

睡眠時間が乱れたり、食生活が不規則になったりすると体の疲労が蓄積しやすくなります。

生活リズムを整えるために

適度な運動を習慣づけ、決まった時間にベッドに入るようにしましょう。就寝前の飲酒やスマートフォン、パソコンの使用は睡眠の質を悪くすることがありますので、なるべく避けるようにしましょう。

就寝時間が不規則な場合、睡眠がしっかり取れないことがあります。まくらの高さや部屋の照明など、落ち着いて睡眠が取れる環境が整っているか確認してみましょう。

寝不足を感じたら

日中の眠気が強い場合、可能であれば30分以内の仮眠を取ることが有効です。睡眠時間は十分取れているのに日中の耐え難い眠気を感じる場合には、睡眠の質が悪い可能性があります。そのようなときには一度病院で相談してみましょう。

肉体的な疲労や精神的な疲れからストレスが蓄積することで、疲労感を感じやすくなります。

ストレスを解消するには

睡眠を十分に取るほか、定期的な運動やリラックスできる時間を意識的に取ることがストレスの改善に役立ちます。

ストレスが強く自分でコントロールできない場合は、家族や友人に相談したり内科や精神科などの医療機関を受診したりしましょう。

疲れが取れずに悩んでいる場合は、治療が必要な病気が隠れているかもしれません。内科やかかりつけの医師に相談しましょう。

原因の自己判断/自己診断は控え、早期の受診を検討しましょう。