血尿:医師が気にする危ない症状|症状辞典
急ぎの受診、状況によっては救急車が必要です。
どうしても受診できない場合でも、翌朝には受診しましょう。
翌日〜近日中の受診を検討しましょう。
気になる・困っている場合には受診を検討しましょう。
横浜市立大学附属市民総合医療センター 高度救命救急センター 助教
森 浩介 先生【監修】
血尿というと、目に見えて血液が混じった真っ赤な尿や淡くピンクがかった尿を連想しがちですが、目に見えない血尿にも注意が必要です。
これらは真っ赤な尿ではありませんが、血尿の一種です。これらを含めた血尿があった時、考えられる原因にはどのようなものがあるでしょうか。
尿が赤いなど、目に見えて血が混じっている血尿を肉眼的血尿と呼びます。尿の色はいつもと変わりないのに、尿検査で初めて分かる血尿を顕微鏡的血尿と呼びます。
いずれにせよ、血尿には大きな病気が隠れていることがあります。
突然の血尿が現れやすい病気には、以下のようなものがあります。
尿路とは、尿を作り外に排泄するまでの通り道を指し、ふつう尿路は無菌状態で保たれていますが、しかし何らかの原因で尿路に細菌などが侵入し、炎症を起こすことがあります。これを尿路感染症と呼び、膀胱炎や腎盂腎炎などが代表的です。
尿路感染症では、血尿に加え、トイレに行く回数が増える、尿が残っている感じがする(残尿感)、尿が出るときに痛みを伴う、下腹部痛などの症状が見られます。腎盂腎炎の場合には、高熱や腰部の痛み、悪寒などを伴います。腎盂腎炎が疑われる場合には、夜間や休日であっても受診しましょう。
結石の位置によって腎結石、尿管結石など呼び方が変わります。腎臓から膀胱への尿の通り道を結石がふさぐと、腰や脇腹の激しい痛みが出現します。結石の場所によっては下腹部に痛みが出現したり、時に陰部にまで痛みがひびくこともあります。このように激しい痛みが急激に出現することが特徴ですが、反対に全く無症状のまま慢性的に経過する場合もあります。急激な痛みと共に血尿、排尿時の痛み、頻尿、残尿感が出現することがあります、吐き気や嘔吐を伴うことも多くあります。
高熱を伴う場合には、尿管結石によって滞った尿に感染を起こしていることが考えられるため、夜間や休日であっても早めに受診する必要があります。
突然の血尿の原因となる病気には、頻度は低いですがこのようなものもあります。
腰などを強くぶつけたなどにより、血尿が生じることもあります。
また、激しい運動のあとに血尿のような症状が出るものに横紋筋融解症があります。横紋筋融解とは、激しい運動により筋肉が壊れ、血液中にミオグロビンという筋肉の成分が流出する病気です。ミオグロビンが大量に尿に含まれると、血尿のような赤褐色の尿が出ます。
横紋筋融解症の場合には手足の筋肉痛や痺れ、脱力、筋力の低下などの症状が見られます。横紋筋融解症は、急性腎不全を併発することも多い危険な疾患であるため、激しい運動の後に血尿に見えるような尿があった場合には、すぐに受診しましょう。
長く続く血尿の原因として以下のような病気が挙げられます。
血尿のなかには、腎臓や膀胱など尿路の悪性腫瘍によるものもあります。
早期には特徴的な症状があまりないことも多いですが、尿の色がおかしい、長く続く、膀胱炎のような症状がいつまでも治らないなどのような場合には一度病院で相談してみましょう。
腎炎とは、腎臓に様々な原因により炎症が起き、血尿やたんぱく尿と共に、腎臓の機能が障害される病気のことで、急性の経過をたどるものから慢性経過のものまで様々です。
慢性の経過では、初期は無症状で進行し、血尿も肉眼で確認できるほどではないことが多いとされています。そのため、健康診断などで血尿やタンパク尿を指摘されて病気が発覚することが多いといわれています。
急性の経過では、慢性経過の場合と同様目立った症状を認めない場合も多いですが、血尿やたんぱく尿に加え、顔面や脚のむくみ、血圧上昇、倦怠感、腹痛や吐き気など、様々な症状が出現することがあります。風邪などの感染症をきっかけにして発症することがあります。
血尿以外に特に症状がない場合、緊急で受診する必要はありません。しかし、一度は医師の診察を受け、血尿の原因を調べておく必要があります。毎回血尿が出るわけではないという場合でも同様です。泌尿器科もしくは内科を受診しましょう。また、検診などの尿検査で尿潜血やタンパク尿などの異常を指摘された場合も、必ず精密検査を受けておきましょう。
受診の際には、いつから、どんな色の血尿が出ているか、他に症状はあるかなど伝えましょう。検診などで指摘された場合には、検診結果を忘れず持参しましょう。