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インタビュー

公開日 : 2015 年 09 月 05 日
更新日 : 2017 年 10 月 03 日

トリガーポイントとは?原因不明の痛みの大半はトリガーポイントにある

痛みの原因を究明するうえで、「トリガーポイント」というキーワードは非常に重要なものです。トリガーポイントとは何を指し、どのように成り立っているのでしょうか。また「ツボ」との違いはどこにあるのでしょうか。トリガーポイントの専門家である、木村ペインクリニックの木村裕明先生にうかがいました。

トリガーポイントとは何か?

トリガーポイントは、最新の定義では「過敏化した侵害受容器」といわれています。正常な組織を損傷するか、損傷する恐れのある刺激(=侵害刺激)に反応する受容器が、過敏になった状態のことです。トリガーポイントは、関連痛や知覚過敏(しびれ)・違和感といった症状のほかに、感覚鈍麻・発汗・めまいなどの自律神経症状を引き起こすこともあります。

このトリガーポイントによる痛みやその他の症状を引き起こす症候群を、筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome, MPS)と呼びます。日本ではまだ筋膜性疼痛症候群という病気自体はあまり知られておらず、「筋痛症」とも呼ばれることがあります。
(参考:白石吉彦先生記事「筋膜性疼痛症候群とは―原因が分からなかった痛みの正体」)

トリガーポイントの好発(よく発生する)部位は、筋肉が骨に付着する部分、筋肉と筋肉が連結する部分、筋腱移行部、また力学的にストレスのかかりやすい場所などです。そして、その多くは筋膜に存在します。最近では、特に重積した(厚くなっている)筋膜にあることがわかってきました。またトリガーポイントは筋膜以外に、腱・靭帯・脂肪などの結合組織=Fascia(ファシア)にも存在します。

トリガーポイントの歴史的背景

約5300年前の人類最古の冷凍ミイラとして知られている「アイスマン」の背部や下肢には、刺青の跡があります。その位置は現代でいう「ツボ(経穴)」に一致しており、経穴治療をした痕であると推測されています。その後、古代中国でも鍼を用いて皮膚・筋肉を刺激する治療が3000年以上前に開始されました。

西洋でも、筋肉から生じる関連痛は、1938年に John Kellgren (イギリス)によって報告されており、1988年にはアメリカ合衆国元大統領ジョン・F・ケネディの主治医、Janet G.Travell と共同研究者の医師であるDavid G.Simons が、筋膜性疼痛症候群(Myofascial Pain Syndrome; MPS)の概念を書籍(Travell JG, Simons DG ; 1983)で次のように提唱しました。

Myofascial Pain Syndrome:トリガーポイント(Trigger Point)によって引き起こされる知覚症状、運動症状および自律神経症状(を呈する症候群)。

しかし我が国の医学教育では、痛みの発生源として筋膜が想定されていません。結果的に、必要のない手術や過剰な内服薬(痛み止め、抗不安薬、抗うつ薬など)投与が数多く行われています。これらを是正することは、患者の利益になることはもちろん、医療費の適正な使用にも結びつきます。