この記事では、「胃ろう」に用いるカテーテルの種類とそれぞれの特徴について、また選択の例について、横浜市立大学総合診療医学准教授の日下部明彦先生に引き続きご説明いただきます。
胃ろうカテーテルは、4タイプに分けられます。
まず、胃内部のカテーテルの形状には「バンパー型」と「バルーン型(風船型)」があります。そして、体外のカテーテルの形状には「チューブ型」と「ボタン型」があります。
ですから、胃内の形2種類×体外の形2種類の組み合わせで4種類ということになります。
長所:交換がベッドサイドで可能、つまり在宅で交換できる。
短所:バルーンが長持ちせず、抜ける可能性もある。交換の頻度は高く1~2か月ごと。
長所:カテーテルはまず抜けることはない。交換の頻度は低くおおよそ半年ごと。
短所:交換には内視鏡または透視の設備が必要。
長所:見た目が目立たない。また、逆流防止弁がついている。
短所:ボタンを開けてチューブと接続するのが面倒(介護者も高齢者の場合が多いため、接続に手間がかかる可能性がある)。
長所:栄養チューブとの接続が簡単にできる。
短所:日常生活においてチューブが邪魔になることがある。また、自己抜去(自分でチューブを抜いてしまうこと)のリスクが高い。
胃ろうカテーテルの型をどれにするかは療養場所や介護者のニーズにあわせて決めることが大事です。どこで、誰が介護するのかを担当の医師によく伝えるようにしてください。医療者側は個々の患者さんのケースに従ってカテーテルを選択することを忘れてはいけません。
→バルーン型(胃内) 1~2か月ごとに在宅医が自宅でカテーテル交換する。
→バンパー型(胃内) 半年に一度、内視鏡室または透視室でカテーテル交換する。
→バンパー型(胃内)、ボタン型(体外)
→バンパー型(胃内)、チューブ型(体外)
前述のように、バンパー型は6か月を目安に、バルーン型は1~2か月を目安に交換します。バンパー型は医療機関で(入院はせずに)行うことが一般的ですが、バルーン型は自宅でも交換が可能です。交換後は当日より、胃ろうからの注入が可能です。
また、カテーテルの閉塞がある場合や自己(事故)抜去が起きた場合は直ちに交換します。カテーテルに汚れや悪臭がある場合も早めの交換を検討します。介護者は閉塞・汚れ・悪臭を防ぐために、栄養剤投与後に20~30mLのぬるま湯を注射器でフラッシュ(勢いよく注入して押し流すこと)し、栄養剤や薬の成分が残らないようにしましょう。