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インタビュー

胃ろうの適応。自発的に栄養を摂取できない方に適応される

胃ろうの適応。自発的に栄養を摂取できない方に適応される
日下部 明彦 先生

横浜市立大学 総合診療医学 准教授

日下部 明彦 先生

「胃ろう」が必要となるのは、具体的にどのような状態にある方なのでしょうか。また、胃ろうを行うことの目的はどのようなことなのでしょうか。横浜市立大学総合診療医学准教授の日下部明彦先生に、引き続きご説明いただきました。

どのような方に胃ろうが必要なのでしょうか? 日本消化器内視鏡学会のPEGガイドラインには以下のように記載されています。

  • 必要な栄養を自発的に摂取できない
  • 正常な消化管機能を有している
  • 4週間以上の生命予後が見込まれる成人および小児

日本消化器内視鏡学会監修、日本消化器内視鏡学会卒後教育委員会責任編集「消化器内視鏡ガイドライン第3 版」医学書院. 2006.10.01.p311.より

このような方には、胃ろう造設を行うことを検討します。具体的には以下のような病気、病状の方々です。

  1. 脳卒中脳出血脳梗塞)による飲み込みの障害(嚥下障害
  2. 筋萎縮性側索硬化症ALS)、パーキンソン病等の神経難病による飲み込みの障害
  3. 老衰

認知症

口の中の癌、咽頭癌、喉頭癌、食道癌、胃癌等による通過障害

口の中の癌

クローン病などの長期の経腸栄養が必要となる方

根本的な治療のない腸閉塞で、頻回な嘔吐を回避するために、胃液を体外に排出するルートのための胃ろう

このような患者さん方に胃ろう造設をする目的はなんでしょうか? 本人やご家族は、何を得るために胃ろうという医療処置を受けるのでしょうか? そのあたりをしっかりと共有することが重要です。

全ての医療処置の目的は、

  1. 救命
  2. 病気の治癒、延命
  3. 生活の質(QOL)の向上 

以上の3つに集約されると言ってもよいのではないでしょうか。

ざっくり述べると、脳卒中後間もない期間の胃ろう造設は1.救命的な治療法であり、認知症や老衰の患者さんに対する胃ろうからの栄養療法は2.延命治療的と言えるでしょう。

日本において、脳卒中・神経難病・認知症患者931人を対象にした胃ろう造設後の経過を追った多施設共同調査が行われています。「高齢者医療及び終末期医療における適切な胃ろう造設のためのガイドライン策定に向けた調査研究事業報告書」によると、調査の結果、1か月以内の死亡が5%、6か月生存率は75%、1年生存率は66%でした。また、患者の半数が2年以上、1/4に対して4年半以上の生存が得られたという結果も出ています。
もちろん疾患ごとに分けた検討が必要ではありますが、胃ろうによる栄養療法は長く存命期間が得られた方が多かったという結果が出ました。

なお、欧米の報告で胃ろうによる延命効果は一定の見解が出ていませんが、認知症患者の胃ろう造設は控えるべきと考えられています(胃ろう造設というよりも栄養療法自体を控えるべきという考えです)。

個々の生命に対する考え方・倫理観・介護事情を踏まえ、病状に合い目的を明確にした終末期の栄養療法、そして胃ろうの運用方法を考えていく必要があります。

 

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