
小脳橋角部にできる腫瘍のおよそ4分の3を占める聴神経腫瘍。聴神経腫瘍の治療については、現在ガイドラインは存在しておらず、治療方針は施設や医師により変わります。今回は、手術や放射線治療など、聴神経腫瘍の治療法それぞれのメリットとデメリットを、東京医科大学脳神経外科学分野主任教授の河野道宏先生にお話しいただきました。
複数の重要な神経と接触している小脳橋角部腫瘍の手術は、脳神経外科の中でも最も難易度の高い手術の一つです。小脳橋角部腫瘍の手術で用いられるアプローチを大別すると、下記のようになります。
後頭蓋窩法:脳神経外科の手術アプローチであり、使用頻度が高いものになります。日本では、この後頭蓋窩法が最も多く使われています。
経迷路法・後迷路法:耳鼻咽喉科で高頻度に用いられる手術アプローチです。
中頭蓋窩法・拡大中頭蓋窩法:ともに中頭蓋窩を経由する方法ですが、中頭蓋窩法は耳鼻咽喉科、拡大中頭蓋法は脳神経外科で用いられるという違いがあります。
腫瘍の大きさや種類によっては、上記のアプローチを2つ以上組み合わせることもあります。聴神経腫瘍の手術は、ほとんど後頭蓋窩法を用いて行われます。
耳鼻咽喉科の手術法も脳神経外科の手術法も行っており、腫瘍の発生部位や種類により使い分けることで、一人ひとりの患者さんの病状に適した手術を行っています。しかしながら、このような施設はいまだ多くはなく、受診する科によって手術法が決まってしまうことは大きな課題であると感じています。
腫瘍を切除することで「治す」ことができるということです。あらゆる大きさの腫瘍を治療することができるだけでなく、再発も防げます。また、開頭して検体をとることができるので、病理診断も確定できます。
しかし、頭を開かなければいけないということ自体が、手術の最大のデメリットとなります。患者さんにかかる負担も大きくなるうえ、難易度もリスクも高くなります。そのため、当施設では、腫瘍の大きさや患者さんの年齢などを十分に考え合わせ、本当に必要な人に対してのみ手術を行い、それ以外の方には放射線治療を勧めるようにしています。
また、同じ脳外科を受診したとしても、施設や設備によって、手術にかかる時間(日数)や手術成績が変わってくるということも、ぜひ知っておいていただきたい聴神経腫瘍の現状です。手術によって生じる顔面麻痺など、合併症の可能性は放射線治療に比べると高くなります。
聴神経腫瘍の手術は難易度が高く、どの施設、どの医師でも一定した手術成績が得られるわけではありません。このような事態を打開すべく、安全性の高いガンマナイフなどの放射線治療が導入されたという経緯があり、歴史は比較的浅い治療法と言えます。
やはり開頭せずに済むことでしょう。合併症の頻度も少なく、手術に比べれば入院期間も1~3日と短期で費用も安価となります。
しかし、放射線治療は、あくまで腫瘍の増殖をコントロールする治療法で、腫瘍がなくなるわけではありませんので、腫瘍自体とは一生付き合っていかねばなりません。
また、20-30年クラスの長期成績がないため、腫瘍の増殖を将来にわたって抑えることができるのか、また、長期的な合併症がないのか、現在のところわかっていない部分も残されています。また、再発した場合には手術が難しくなり、大きな腫瘍や嚢包性の腫瘍には適していない治療法でもあります。
腫瘍が小さい場合には、経過観察となることもあります。手術が「治す治療」、放射線治療が「コントロールする治療」だとすると、経過観察は「見極める方針」であると言えます。メリットは合併症やその他のリスクがほとんどないこと、デメリットは経過観察中に聴力が急激に低下・喪失してしまう可能性をはらんでいることです。
今回挙げた各治療法は、聴神経腫瘍の標準治療となっているもので、それぞれにメリットとデメリットが存在します。次の記事「聴神経腫瘍の最新治療」では、上述した標準治療のリスクを補うために、近年普及し始めた「最新治療」について、詳しく解説いたします。
参考URL:「聴神経腫瘍の外科 脳神経外科医・河野道宏のページ」『聴神経腫瘍・小脳橋角部腫瘍に対する手術アプローチの特徴と解説』
東京医科大学病院 脳卒中センター長、東京医科大学 脳神経外科学分野 主任教授
周辺で聴神経腫瘍の実績がある医師
東京医科大学病院 脳卒中センター長、東京医科大学 脳神経外科学分野 主任教授
内科、血液内科、リウマチ・膠原病内科、外科、心療内科、神経内科、脳神経外科、呼吸器内科、呼吸器外科、消化器内科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、矯正歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、循環器内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科
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昭和大学 医学部脳神経外科学講座 教授
内科、アレルギー科、血液内科、リウマチ科、外科、精神科、神経内科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、心臓血管外科、小児科、小児外科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、放射線科、歯科、歯科口腔外科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、循環器内科、緩和ケア内科、腫瘍内科、感染症内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、代謝内科、膠原病内科、脳神経内科、放射線治療科、頭頸部外科、精神神経科、病理診断科
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東京労災病院 院長
内科、外科、精神科、脳神経外科、呼吸器外科、消化器外科、腎臓内科、循環器科、小児科、整形外科、形成外科、美容外科、皮膚科、泌尿器科、産婦人科、眼科、耳鼻咽喉科、リハビリテーション科、麻酔科、乳腺外科、呼吸器内科、消化器内科、糖尿病内科、内分泌内科、脳神経内科、放射線診断科、放射線治療科、総合診療科、病理診断科
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脳神経外科東横浜病院 副院長、東京慈恵会医科大学附属病院 脳神経外科 診療医長・講師
救急科、総合診療科、消化器内科、肝臓内科、脳神経内科、腎臓内科、リウマチ科、膠原病内科、循環器内科、糖尿病内科、代謝内科、内分泌内科、腫瘍内科、血液内科、呼吸器内科、感染症内科、精神神経科、小児科、消化器外科、肝胆膵外科、乳腺外科、呼吸器外科、血管外科、小児外科、整形外科、脳神経外科、形成外科、心臓血管外科、婦人科、泌尿器科、眼科、耳鼻咽喉科、頭頸部外科、皮膚科、リハビリテーション科、歯科、脊椎脊髄外科、緩和ケア内科、産科、放射線科
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聴神経腫瘍の放射線治療について
2年前に聴神経腫瘍が見つかり、その時は7ミリくらいで経過観察をしていましたが最近撮ったMRIで14ミリに増大していたのでもう治療をしたほうがよいと言われました。 私の腫瘍は内耳道の奥から脳の方に向かっているもので今は内耳道におさまっています。何人かの先生に相談した所、手術はまわりの骨を広範囲で削らなくてはならないので放射線治療がよいと言われたのですが、いざ放射線の先生に相談したら、一時的に腫瘍が大きくなってきた時にめまいの症状が強くでる場合があり、あなたの場合はそうなる可能性があるから手術のほうが良いのではと言われてしまい、どちらが良いのかわからなくなってしまいました。放射線で一時的に腫瘍が大きくなった場合にめまいが強くなるというのは腫瘍が内耳道にあるからなのですか?内耳道内で腫瘍が大きくなった場合はどうなるのでしょうか?
左耳の違和感
左耳に違和感があり、耳鼻科に行ったのですが原因がわからず、生活には支障がないため経過観察中です。 症状としては、左耳だけ気圧がかかる時のような違和感があり、少し聞き取りづらいです。 耳鼻科の検査でも少し左耳の数字が右耳より悪かったようです。 おんさ?をおでこの中心に当てた時も少し右に聞こえ、医師の方もよくわからない、という感じでした。 特に日常では問題ないので ・何か考えられる疾患があれば知っておきたい ・経過観察の期間や次の受診タイミングについてアドバイス頂きたい と思っております。よろしくお願いします。
10年ほど頭痛に悩まされています
10年ほど前から頭痛に悩まされています。 主に両方のこめかみを締め付けられるような痛みです。 ストレスや寝不足、眼精疲労を感じると度々なりましたが、市販薬で解決してきました。 こちらの頭痛に関する記事などを読んだところ、緊張性頭痛かな、と思いました。 最近は市販の鎮痛剤を1日3回ほど服用しても、まだ痛みが残ります。 部位は 両こめかみ、ぼんのくぼ、首筋 が主な部位です。 医師(かかりつけ医)からは筋肉の緊張を解す薬を処方されましたが、楽になりません。 また、肩こりなども関係していると考えマッサージなどにも通っておりますが、 やはり痛みます。(ちなみにかなり凝っていたり、姿勢も猫背気味でした) 何科に受診すれば良いのか、近くに専門のお医者様がいないのであれば、かかりつけ医に伝えるべき事、日常で出来る改善策などを教えていただければ幸いです。
耳鳴りについて
約3ヶ月程前から耳鳴りがします 鈴虫の様な音です めまいなどはありません 週に3回3時間程ヘットホンで音楽を聴いています 聞こえづらい等難聴ぎみではないと思います 現在更年期で ホットフラッシュの症状ありです 病院で診て頂こうと思うのですが 耳鼻科か脳神経科 どちらに行ったら良いのでしょうか? しっかり治療しましたら治るものなのでしょうか? 宜しくお願い致します
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