性感染症の多くには何かしらの自覚症状がありますが、「恥ずかしい」という気持ちが先に立ってしまい、そのまま放置してしまうというケースも散見されます。そのなかでも今回は特に女性に多い「性器カンジダ症」の主な症状や治療方法などについて、尾上泰彦先生に教えていただきました。
性器カンジダ症とは、カビの仲間であるカンジダ属が原因の性感染症のひとつです。女性に特有な疾患と言えるほど女性の患者さんが特に多い性感染症といわれており、男性が感染するケースは女性に比べると少ないと言われています。もし男性が感染した場合には、亀頭包皮炎を引き起こします。
女性が感染した場合では、腟炎と外陰炎を同時に引き起こすことが多いために女性外陰腟カンジダ症(vulvovaginal candidiasis)と一般的には言われています。
白い帯下(たいげ。おりもののこと)の増加や、腟部・外陰部にむずむずとした不快感などの症状が認められます。これらのほかにも、腟部や外陰部に痛みや焼けつくような灼熱感、性交時に痛み、尿が近くなる(もしくは出にくくなる)、排尿後にも関わらず残尿感があるなどといった排尿障害も多く認められます。 性器カンジダ症の特徴として、「豆腐のカス状」「オカラ状」と例えられる白色の腟内容物があります。性器カンジダ症の患者さんを診察すると、この内容物が腟壁面や子宮頚部にかたまりとなって付着しています。
亀頭部や冠状溝部周辺に症状があらわれるようになります。発赤、赤い丘疹、小水疱、びらん(ただれ)、白苔などが主な症状ですが、男性の場合性器にカンジダ菌を保有していたとしても症状をあらわすことが少ないです。
性器カンジダ症の原因菌としては、Candida albicansが最も多く認められます。性交が感染する原因になるケースは、全体の5%ほどと言われています。 性器カンジダ症が疑われるときは、問診を行うほかに女性の場合であれば腟内容の生鮮標本を顕微鏡で観察して分芽胞子や仮性菌糸体の有無を確認する方法、もしくはカンジダの培養を行ういずれかの方法で検査をします。 性器カンジダの治療ですが、主にカンジダに効果がある抗真菌薬として腟錠(腟坐剤)、軟膏、クリーム、内服薬を処方します。
特に性器カンジダ症の治療期間中は、投薬による治療と並行して通気性の良い下着を着用し、なるべく安静に過ごしていただくことが望ましいです。
医師より処方された薬剤による治療と、感染部を清潔に保ち安静に過ごすのが第一です。女性の場合、性器カンジダ症は腟内に住んでいる「いい菌」と「悪い菌」のバランスが崩れることが発症の原因となります。からだを清潔に保つことは大切です。しかし性器カンジダ症の場合では、清潔にしすぎる習慣が「原因」になるといえるのかもしれません。
プライベートケアクリニック東京 院長
尾上 泰彦 先生の所属医療機関
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