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インタビュー

筑波記念病院

筑波記念病院
小關 剛 先生

医療法人社団 筑波記念会 理事長

小關 剛 先生

目次
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医療法人社団 筑波記念会 筑波記念病院は、1982年国内最大の学術都市であるつくば市に、循環器内科と脳外科を中核とする急性期病院として開院しました。その後、1994年に国内初の健康増進施設、1998年に介護老人保健施設を併設しました。さらに2005年に外来部門を分離・独立させ、27科からなる筑波総合クリニックを開院し、地域の中核病院の体制を着実に整えています。

つくばエクスプレスで東京都心と最短45分で結ばれるつくば市の人口は現在約23.2万人です。近い将来には35万人になると予測されています。こうした都市の成長を見据えて、筑波記念病院は地域医療と高度先進医療にいかに取り組んでいるか。病院のマネジメントを中心的に担う理事長の小關剛先生に、お話を伺いました。

当院は35年前に、循環器内科と脳外科を中心に92床で開業しました。その当時、近隣に救急医療を積極的に行う病院がほとんど無く、2次救急病院として、率先して救急医療を行ってきました。

それ以来、当院は「誠意を以て最善をつくす」を基本理念としています。この理念の意味するところは、患者さんが「ここに来てよかった」と感じ、退院後に元の生活に戻れてうれしいと心から思ってくださる病院づくりに邁進することです。

この理念に則って、当院は心疾患や脳疾患などの治療とあわせて、リハビリテーション科の充実にも取り組んできました。リハビリテーション科には現在、リハビリテーション科専門医が3名、理学療法士と作業療法士と言語聴覚士があわせて224名以上います。これだけの規模は全国でもほとんどありません。

これは、当院が超急性期医療のICU(集中治療室)から急性期病棟、回復期病棟、地域包括ケア病棟、さらには療養病棟と介護施設まで、すべての機能を併せ持つケアミックス型医療を提供する施設の充実を目指していることの顕れです。

当院は診療科目27科、ベッド数487床(一般病床387床・療養病床100床)を擁し、4つの柱からなる医療活動を展開しています。4つの柱は、①包括型リハビリテーションを加えた地域密着型高齢者医療、②脳疾患・心疾患を中心とした高度救急医療、③健診事業と健康運動施設を融合させた予防医療、④公助・共助を併せた災害医療への貢献というものです。

当院は地域に密着する病院として2012年9月、茨城県の民間病院では初の地域医療支援病院に承認されました。今も他病院からの患者さんの紹介率が84%、他病院への逆紹介率が48%と認定基準を満たしています。同じ地域の医療機関が相互に緊密な協力関係を築き、地域内で医療行為を完結させる「地域完結型医療」になるべく、地域に優しい医療を目指しています。人口増加が続くつくば市では、「地域包括ケアシステム」の整備も重要です。これは、高齢者が住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるように「時々入院、ほぼ在宅」をテーマに住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供されるサービスです。

当院では早期から訪問看護・訪問リハビリを実施しています。2017年春には、急性期治療を終えて在宅の復帰を目指す患者さんのための「地域包括ケア病棟」を開設しました。これに当院の特色のひとつであるリハビリテーション目的の短期入院も加えながら地域の包括ケアシステムを支援できる病棟にしていきたいと考えています。

これまでの当院単独の自己完結型医療から、地域完結型医療に発展させていく試みとして、退院後の患者さんの支援のために、地域の介護施設やかかりつけ医との連携をさらに緊密化した地域連携患者サポートセンターも始動しました。それは、大学病院や公立病院にはない民間病院ならではの軽いフットワークを持つ当院にこそ可能だと思います。

当院は血液内科を設けており、これも高齢者の包括的な診療を支えています。

血液の疾患では、貧血症や血栓症などのほか、高齢者の白血病悪性リンパ腫といった腫瘍性疾患も非常に多く、当科では薬物療法や移植医療に加えて、リハビリテーション科と連携して適切ながん患者に対するリハビリテーションを取り入れることで、患者さんのQOL(生活の質)を維持し、在宅につなげる取り組みを進めています。

当院が開設当初から一貫して注力している心疾患治療では、心臓血管外科が統括診療部長の末松義弘医師を中心に高度先進医療を実践しています。年間の総手術件数は、大動脈の手術、冠動脈バイパス手術、血管内手術なども含めて約400件を数えます。大きな特長は患者さんの負担が少ない「切らない手術」を志向していることです。

たとえば、心臓・大血管関連の内視鏡手術では、カテーテル操作でステント(血管拡張器)とグラフト(人工血管)を挿入する胸部・腹部大動脈治療の「ステントグラフト内挿術」や、血栓ができやすい部位の左心房の左心耳をカテーテルアブレーション(焼灼切除)する心房細動治療の「完全内視鏡下左心耳切除術」が高い成績を上げています。特に後者の治療法は当院を含めた一部の施設だけでしか行っていない先端医療です。

また、当院は一般の施設の心疾患治療では行われない埋込型補助人工心臓の治療も実施しています。この管理・技術等の情報は近隣の大学病院にも提供しています。

なお、末梢血管関連では下肢静脈瘤の血管内レーザー焼灼術などを数多く実施していますが、新たに衝撃波で静脈瘤を壊す治療法も取り入れています。

循環器内科には、国内有数のカテーテル治療専門家である我妻賢司医師率いる「つくばハートセンター」と称した心臓カテーテル治療専門チームがあります。同センターは通常のバルーン拡張やステント留置術では血管を十分に拡げられない高度石灰化病変などに対する、先端にダイヤモンドチップを埋め込んだロータブレーターを用いた特殊心臓カテーテル治療の認定施設でもあります。

さらに今後は、心臓血管外科チームとのタッグにより、「つくばハートチーム」を形成してまいります。2018年度より新設予定のハイブリッド手術室を利用し、心臓チームの治療範囲を多様化させ、TAVI(経カテーテル大動脈弁置換術)認定施設としても申請予定です。

心疾患などの高度救急医療に関連して、当院は2010年7月に敷地内にヘリポートを建設し、ドクターヘリの受け入れを開始しました。

ドクターヘリでは、県内だけでなく千葉県や栃木県からも患者さんが搬送されてきます。たとえば、他県の大学病院から心臓外科の難しい症例の患者さんが搬送されてくることもあります。当院の心臓血管外科の高さを認めてくれているからこそと、積極的に受け入れさせていただいています。

4つの柱の3番目の予防医学に基づく活動は、当院の「つくばトータルヘルスプラザ」(人間ドック・健診・運動施設)が国民の健康づくりを推進する厚労省の健康増進施設に認定されたことを起点としています。また、一方で地域の人々へ蘇生教育、普及にも力を入れています。そこで始めたのが、小・中・高の児童・生徒を対象にした心肺蘇生講座です。

この心肺蘇生講座は、2011年にさいたま市の小学校6年生の少女が課外活動中に突然死したことを教訓とし、心肺蘇生法の普及・啓発を行っています。

プッシュにはポイントがあります。

  • 心臓をプッシュ(胸骨圧迫:心臓マッサージ)
  • AED(自動体外式除細動器)をプッシュ
  • 倒れた人を助ける勇気をプッシュ

の3つです。45分と短時間ですが1人1体の簡易人形を用いるため、たくさん体験ができるコースで小さい子どもでもできるようになっています。一流のアスリートでも試合中、練習中に心臓突然死が起こる例も見られますが、まさに部活動や教育現場でこの蘇生が浸透していけることを目指しています。当院は救急科診療部長の立川法正医師を中心にこのプロジェクトの茨城におけるパイオニアとして頑張っています。

当院の活動はつくば市から始めて、県内の学校へ広がっています。もちろん、当院でも医療スタッフだけでなく職員全員に、毎月一回の講習を必須で受けてもらっていますが、効果は確実に上がっています。実際、ある事務職員がソフトボールをしていたとき、心筋梗塞で倒れて心肺停止になった40代の男性に心臓マッサージを施し、救命につなげたことがあります。まさに蘇生教育が実った事例でした。

4つの柱の最後の災害医療への貢献は、東日本大震災や鬼怒川氾濫の体験を元にしています。当時、内陸のつくば市も道路や電気、水道などのインフラに大きな影響を受け、当院の医療活動も停滞を余儀なくされました。

当院は2017年3月、日本DMAT(ディーマット:災害派遣医療チーム)指定医療機関の指定を受けました。これにより厚労省の指示のもと、“公助”するべく、当院の医師・看護師からなる医療チームも行政機関、消防、警察などと連携しながら、災害現場に出動することになります。

また、DMATの指定以前から、当院はAMAT(エーマット:全日本病院協会災害時医療支援活動班)のメンバーにもなっています。これは個人病院が“共助”で高め合っている全日本病院協会が運営し、災害時には会員病院の支援、避難所の巡回診療、患者さんの搬送などのDMATに準ずる活動を行う医療チーム養成に取り組んでいます。

DMAT、AMATのいずれにも当院は積極的に関わっています。それは東日本大震災や鬼怒川氾濫の体験を貴重な糧とすべく、当院の理念「誠意を以て最善をつくす」を力強く実践しなければならないと考えているからです。

当院は病院機能の向上のため、クリティカルパス(入院診療計画)や包括医療費支払制度の早期導入などを実現しています。しかし、患者さんの関心がもっとも高いのは優秀な医師がいるかだと思います。

茨城県は都道府県別の人口10万人あたりの医師数ランキングで、46位と順位が低いように、優れた医師の確保はなかなか困難です。

そこで、当院は大学病院などと連携する一方で、ハンガリーやチェコなど海外の医学部を出た日本の学生さんたちを受け入れ、当院に必要な医師を独自に育成する取り組みも進めています。いわば、医師のグローバル化です。

当院は高齢者医療に重点を置いていますから、まず総合的に患者さんを診て医療を提供できるゼネラリスト、さらに特定の専門分野に通じたスペシャリストも必要です。国内、海外併せて人材を求めていきます。

当院は「筑波記念病院があるから、安心して暮らせる」、「ここに来てよかった」と思っていただける病院づくりを目指して常に努力しています。

民間病院として、患者さんを身近なところで支える医療機関でありたいです。

困ったときには、どうぞ気軽にご相談ください。

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    小關 剛 先生

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