医療法人社団 藤﨑病院は江東区東部に位置し、JR総武線亀戸駅または東京メトロ東西線東陽町駅からバスでおよそ10分の場所にあります。都営新宿線西大島駅にも近く、いずれの駅からも都心まで10数分程で行けることもあり、近年再開発が進んでいます。高齢化も進行していますが、工場跡地などに中高層マンションや大型商業施設が相次いで建てられ、若い世代の転入も増えています。
1970年にこの地で藤﨑病院の前身となる「藤﨑外科胃腸科病院」は開設されました。地元の急性期医療・救急医療を担う中核病院として実績を積み、1989年の建て替えを機に藤﨑病院としてリニューアルしました。2003年、2代目の藤﨑 滋現院長があとを継いで以来、外科、整形外科、脳神経外科、内科の4科を中心に、専門性と即応性をあわせ持つ、地域の急性期医療を担う中核病院としての機能を一段と充実させてきました。2022年には新たに急性期(患者さんが緊急で重い症状をもっている時期)の治療が終わった患者さんが在宅復帰までの医療を行う”地域包括ケア病棟”を新設し、高齢化が進む地域のニーズに応えました。
「高齢化社会をむかえ、都心の大規模病院にひけをとらない質の高い医療を、身近な場所で地域のみなさんに提供していくのが私たちの役目」という藤﨑理事長・院長に病院の特徴やご自身の専門である外科医療、そして地域に貢献できる医療についてお話を伺いました。
当院は、創業者である父(藤﨑 勇)の専門が消化器外科であったため「外科胃腸科」としてスタートしました。しかし救急病院の指定を受けた後、交通外傷など整形外科・脳神経外科のニーズも高くなり、1989年に現在の病院に建て替え増床したのを機に「藤﨑病院」と改名しました。
超高齢社会の進行にともない、整形外科領域ではご高齢の方の転倒による骨折など、脳神経外科では脳血管障害による救急搬送が、内科では肺炎などの急性疾患、高血圧・心疾患や糖尿病などの慢性疾患が増えています。
当院はこのような医療ニーズの変遷にも対応するため、外科、整形外科・脳外科・内科の4科を中心に、外来・入院双方の診療および、救急患者の受け入れ体制も整備してきました。
さらに2022年には急性期の治療後、在宅復帰までに日常的な疾患治療やリハビリテーションが必要となる患者さんが増えてきたことに対応した”地域包括ケア病棟”を新設しました。ここでは患者さんだけでなく、すでに在宅で療養されている患者さんのご家族の休息を目的にしたレスパイト入院も最長で2週間を目安に受け入れ、地域の医療ニーズに応えています。また、これを機に一般病棟の入院で使う部屋が従来の6人部屋から4人部屋と改装し、入院される方が広くお部屋を使っていただけるようにもなりました。
藤﨑外科胃腸科病院時代は60床だった病床も、一般病床119床に加え地域包括ケア病床26床の計145床にまで増床し、診療科も外科(消化器外科、肝臓・胆のう・膵臓外科)、内科(消化器内科、循環器内科)、整形外科、脳神経外科、リハビリテーション科などを開設することで、地域の急性期の多くの疾患に対応できる総合病院としての機能を高めています。
外科領域では藤﨑外科胃腸科病院のころから消化器外科を中心に治療を行っており、現在でも大腸がんの手術件数が多くなっています。また2003年に私が病院を継いでからは、難易度の高い肝がん・膵がん・胆管がんの手術も扱うようにしました。こうしたがんこそ、術後もきめ細かくみていく必要があると考えています。
私は大学を卒業後、日本大学医学部附属板橋病院に勤務しました。最初の10年間は消化器・一般外科に所属し、消化器を中心に乳腺、甲状腺など幅広い領域の手術を経験しました。そのあいだに国立がんセンター中央病院肝胆膵外科、アメリカのピッツバーグ大学においても研鑽する機会をいただきました。その後の7年間は肝胆膵外科を専門にして、大学病院にて多くの症例に取り組みました。
このような専門性をいかすべく、院長就任以来、累積で4,000件ほどの手術を行ってきました。病院全体としても年間手術件数はおよそ1,200件にのぼり、肝臓、胆嚢・胆管、膵臓、肛門、乳腺、呼吸器などの幅広い手術に対応できる病院としての特色を出しております。
整形外科では、マイクロサージャリーを使った手外科の手術を行っています。
マイクロサージャリーは手術用双眼顕微鏡とも呼ばれ、手術する場所を20倍まで拡大することで微小血管や神経を縫い合わせることが可能になる器具です。
とくに手のような日常生活で重要な器官で指などの切断が起きたときに使われますが、1mmほどの血管や神経を縫い合わせ、元の通りに近い状態まで機能を回復させるには精緻な技術と長年の経験が必要になります。
当院には特別な訓練が必要になるマイクロサージャリーによる手術経験豊富な専門医(日本手外科学会認定)が在籍し、手・指の再接着、組織移植による再建術などを行う他、脳神経外科で脳血管の吻合なども行っています。
麻酔科医が常勤医として3名勤務しており、1日の内に複数件の手術症例に対して迅速かつ適切に対応することができます。術前・術後の病棟管理においても貢献していただいています。加えて、大学病院からの病理医のご協力をいただき、当院手術室においても、術中迅速病理診断が可能となっております。これは中小規模の病院では非常に珍しいことです。病理医の仕事は決して表に出ることがないため、一般にあまり知られていませんが、たとえば乳がんの手術時にセンチネルリンパ節という見張り役のリンパ節を採取して、がん細胞の有無を30分ほどで確認する迅速診断を行います。それによって乳房温存手術の適否やリンパ節郭清(かくせい)の範囲の重要な目安となり、手術を適切に行うのに重要な役割を演じています。消化器がんについても完全に取り切れているかどうか、切除断端を確認する際にも、術中病理診断は有用です。
がん医療は領域によってはまさしく日進月歩であり、新規薬剤などの登場により有力な治療選択肢が新しく加わることがよくあります。最近では免疫チェックポイント阻害薬など新しい抗がん剤の登場がよい例です。当院の医師はこのようながんの最新療法の動向を絶えずチェックして、適切な導入のタイミングをはかっています。標準治療では対応が困難な患者さんに対しても、あきらめることなく治療法を模索し、希望をつないでいただけるような医療を追求しています。
また、整形外科、脳神経外科、内科の各診療科においても、向上心が旺盛で、最新の医療技術の導入・実践に意欲的な医師を歓迎し、採用するようにしています。地域の急性期医療を担う病院として、高度かつ専門性の高い医療を提供していく体制を絶えず整えていくことは病院の使命だと思っています。
当院では常に患者さんの立場に立った医療を実践するように心がけています。たとえば具合が悪くて受診されたのに、診断結果を得るために長い時間がかかるのは患者さんの体にも心にも大きな負担となります。そのため、当院では可能な限り早急に検査を行い、診断結果を出して、早期に治療に移れるよう全科をあげて取り組んでいます。
当院では診断ガイドラインに記載されている標準治療に沿った治療を実践することを基本としています。しかしながら、患者さん一人ひとりをみると、併存疾患があったり、体力的にもハンデを追っていたりする方もいらっしゃり、標準治療どおりにはできないことも多々あります。患者さんそれぞれの体力やご希望など、状況に適した治療が実際には重要ではないでしょうか。
外科手術において当院が特に重視しているのは、患者さんの体に負担が少ない手術を行うことです。
患者さんの多くは体力に衰えを感じているご高齢の方であるため、手術時に切開部が大きくなったり出血が増えることは避ける必要があります。当院は内視鏡を使うことで患者さんの体の負担が少ない手術を行っています。
当院では、手術を担当した医師が術後の経過も引き続き診るようにしているのも特徴です。身近な病院できめ細かく診ていくことは、病状のわずかな変化を見逃さないためにもメリットがあります。手術を担当した医師だからこそ、病状の変化を迅速に捉えて、迅速に対応することができるのだと考えます。
医療機関にはそれぞれ強みや役割があり、それを踏まえて地域全体で患者さんを診ていくことが求められます。当院は20年前から「医療連携の会」という、地域の開業医の先生や医療機関との会合を定期的に行い、患者さんのスムーズな紹介や連携に取り組んできました。
当院では急性期の患者さんの治療の受け入れや患者さんの紹介を受けての治療、新設した地域包括ケア病棟から地域の医療機関への転院などを通し、これからも地域の医療の中核として質の高い医療提供を行っていきます。
当院の患者さんはこの地域に住んでいる方が大半で、なかでもご高齢の患者さんが多いのが特徴です。当院にいらしてくださるのは近所であるという理由もあるかと思いますが、患者さんとお話しすると、「何かあればすぐに来院できる病院がいい」というお声が多いことに気づきます。このような患者さんの信頼に応え、期待に沿えるようにするのが地域医療を担う病院の使命だと思っています。
また、ご高齢の方は週のうちに何度も、遠くの病院に通うのは大変です。さらに高齢の方は複数の病気をお持ちの方が多く、どの病院にいけばいいのか迷われて、結局先延ばしをされる方もいらっしゃいます。多くの診療科があり専門性の高い医療を提供できる病院がお住いの近くにあれば、患者さんのご負担も減らすことができます。その意味でも当院は地域のなかで大きな役割を担っていることを、肝に銘じています。
今後も当院は多職種間のコミュニケーションや教育を重視して心地よい環境づくりに務めるとともに、質の高い医療を地元で継続して提供していくことを目標としていきます。
医療法人社団 藤﨑病院 理事長 院長
「受診について相談する」とは?
まずはメディカルノートよりお客様にご連絡します。
現時点での診断・治療状況についてヒアリングし、ご希望の医師/病院の受診が可能かご回答いたします。