院長インタビュー

地域を包括した医療の提供を目指して―白根徳洲会病院の取り組み

地域を包括した医療の提供を目指して―白根徳洲会病院の取り組み
石川 真 先生

白根徳洲会病院 院長・外科

石川 真 先生

目次
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この記事の最終更新は2018年12月19日です。

白根徳洲会病院は2001年に新設された病院です。同院は、ICU・一般急性期病棟・回復期リハビリテーション病棟・医療型療養病棟を有することで、地域の方に寄り添う医療の提供に取り組んでいます。

病院長である、石川真先生にお話を伺いました。

 

白根徳洲会病院外観

当院は、2014年に地域災害拠点病院として指定を受けました。災害時には、山梨県の要請を受け、医療救護班の派遣を行っています。また、当院は山々に囲まれた立地のため、災害時のみならず、積雪によっても孤立してしまう可能性があります。そのため、ヘリポートを設置したり、災害時に避難してくる方々のための食料・水・医薬品を約3日分備蓄したりと対策をしています。

当科では、脊椎・人工関節の手術を中心に行う貢川整形外科病院の医師を中心に、他院から複数人の医師が非常勤医師として勤務しています。(2018年7月時点)これにより、脊椎や関節の病気に対し、専門的な治療を行う体制を整えています。

当科は、高齢者の寝たきりや転倒などが原因の上腕、背、大腿の骨折に対し、手術を行っています。どの症例も手術後は早期にリハビリでサポートし、少しでも早く在宅復帰ができるよう、医療提供をしています。

当科では、血液透析を行う患者さんに対し、シャント手術を行っています。

血液透析は、腎臓病で体内から余分な水分や老廃物を排出できなくなった方に行います。具体的には、血液を体外に引き出し、透析器で浄化し、再び体内に血液を戻す治療です。

血液透析の際には、大量の血液を体外に出す必要があります。シャント手術では、動脈と静脈をつなぐ人工血管を造設することで、血液を効率的に体外に出せるようにしています。

当科では、当院で透析を行う患者さんだけでなく、他院で透析を行う患者さんのシャントトラブルに対する手術も行っています。特に、急性閉塞をきたした患者さんに対しては、緊急手術にも応需しますので、シャントに違和感を覚えた際は当科までご連絡ください。

手術室の様子

外科では、虫垂炎鼠径(そけい)ヘルニアに対する手術、胆のう摘出手術などで腹腔鏡手術を幅広く手がけています。また、消化器外科では、胃がん大腸がんなどの悪性腫瘍に対し、積極的に腹腔鏡手術を行っております。

腹腔鏡手術は、切開部が小さく、痛みや体の負担が少ない手術とされているため、今後さらに力を入れて取り組んでいきたいと考えています。

脳神経外科と脳神経内科では、数多くの脳卒中の治療を手がけております。その中でも、脳梗塞に対する血栓溶解療法(t-PA治療)に注力しています。血栓溶解療法の施行によって、麻痺を残さず早期に治療することを目指しています。

なお、残念ながら手足の麻痺や嚥下(えんげ)・言語障害などが残ってしまった患者さんには、回復期リハビリテーション病棟にて手厚いリハビリを行います。

近年、高齢の方の肺炎による救急搬送が多くなっております。肺炎は重症化すると、命の危険性が高まりますので、高熱で倦怠感を伴う呼吸困難の症状が現れたら、すぐに呼吸器内科を受診してください。

また、当科では、病気の早期発見・早期治療を目指しています。そこで、外来診療での肺腫瘍の鑑別、気管支鏡による検査や治療を実施しています。

気管支鏡検査とは、レントゲンなどの画像で認められた肺がんや炎症を詳しく見るため、肺の細胞を採取する内視鏡を用いた検査です。気管支鏡検査を行うことで、病気の特定ができ、早期治療につなげています。

当院では、急性期リハビリ・回復期リハビリ・外来リハビリ・通所リハビリと幅広い症状の患者さんのリハビリに対応しています。

以下で、リハビリテーション科と通所リハビリセンターでの取り組みについて説明いたします。

当科では、病状が発症し不安的な時期である急性期にリハビリをはじめます。これにより、体幹機能維持や合併症予防ができ、病気の再発リスクを減らすことにつながります。

また、病気が治癒に向かっている時期である回復期の専門病棟でのリハビリや、ご自宅から通院する外来リハビリも提供しています。リハビリ内容としては、理学療法・作業療法・言語聴覚療法を実施しています。

理学療法では、立ち上がる・歩くといった日常生活動作の機能改善リハビリを行います。作業療法では、家事を行う、お風呂に入るといったさらに応用的な生活動作の改善を図ります。言語聴覚療法では、話すこと・食べることが難しい方へ、コミュニケーションや食事形態の指導を行います。

当科では、基本的動作の回復や維持だけでなく、コミュニケーションや食事に関するリハビリを通し、生きる喜びをもたらす治療を提供いたします。

当センターでは、ご自宅で過ごす介護を要する方の送迎を行い、日帰りのリハビリを提供しています。通所リハビリでは、入浴・食事・レクリエーションなどを通し、健康の維持増進を図るとともに、日常生活の自立を支援することを目的にしています。

対象になる方は、介護認定を受けている方が基本になりますが、それ以外の方でもご希望があればサービスを受けることが可能です。介護認定の軽重度によって運動機能向上訓練を行うか、予防介護重視で行うかをスタッフが判断し、リハビリを実施しています。

地域の方にむけて、2018年6月に南アルプス市主催の健康づくり講演会を行いました。「がんを知れば予防法がわかる!」というテーマで、がんの予防法やがん検診の啓発を行いました。

このような情報発信により、健康増進に対する市民の意識向上・病気の早期発見につなげたいと考えています。

急な病気やけがは、不明点や不安が多いと思います。その際には、1人で悩まず当院の医療相談室へいらしてください。当院に通院している方はもちろん、それ以外の方も相談や支援を行っています。

医療相談室では、当院で治療すべきか、他院にかかるべきかを判断し、他院での治療が必要な際には、紹介を行うなど柔軟に対応しています。患者さんご本人でも、ご家族の方でも、お気軽にいらしていただければと思います。

 

働く職員の方々

当院は、職員寮・職員食堂を完備することで、職員の健康や生活支援を行っています。また、子育て中の方への支援として、当院経営のにこにこ保育園を運営しています。こちらは24時間保育を行い、発育やアレルギーに対応した完全給食を提供することで、職員の日中・夜間勤務のサポート体制を整えています。

福利厚生の拡充により、仕事に専念できる環境づくりに努めています。このような環境整備が職員のサービスの質向上につながり、患者さんに還元したいと考えています。

 

 

当院では、特殊な病気や専門的な治療について学ぶことは現状厳しいと言わざるを得ません。しかし、有病率の高い病気に対する診療や治療に携わることで、医師としての基本を学ぶことができます。

そして、当院で身に着けたスキルをいかし、第2のステップとして大学病院や高次医療センターで専門的な医療を学び、将来的に地域医療に還元してください。

不調を感じたときや、病気で不安なことがあるときには、遠慮せず診察や医療相談室にいらしてください。当院では、日々の不安な症状の相談から、診断や治療、その後のリハビリ支援まで幅広い医療提供で、地域の方に寄り添う病院を目指し、職員一同で励んでいく所存です。   

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