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がんの患者さんをトータルサポートする、名古屋市立大学病院のがん診療・包括ケアセンター

がんの患者さんをトータルサポートする、名古屋市立大学病院のがん診療・包括ケアセンター
飯田 真介 先生

名古屋市立大学病院 血液・腫瘍内科 部長 名古屋市立大学病院 がん診療・包括ケアセンター セン...

飯田 真介 先生

目次
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名古屋市立大学病院は、2019年5月に“がん診療・包括ケアセンター”を開設しました。がんに関する相談を無料で受けられる“がん包括ケア支援室”を新設し、複数の部門や診療科が連携して、患者さんのトータルサポートを行っています。

今回は、がん診療・包括ケアセンターの取り組みについて、同センターのセンター長である飯田真介先生に伺いました。

名古屋市立大学病院のがん診療・包括ケアセンターとは?

日本では、年間約100万人の方ががんと診断される時代になってきました。その内、約30万人の方が、がんによって亡くなっています。しかし、医学の進歩は早く、がんの多くは治せる時代といわれるようになってきました。治癒しないまでも、化学療法や免疫療法によって、長期生存が期待できるがんも増えています。

この現状を踏まえて、がんに対する高度な治療の実施だけでなく、今後は、がんと共存していくことができるような支援をしなければいけないと考えています。そこで、がん診療および包括ケアを実施するがん診療・包括ケアセンターを、2019年5月に立ち上げることとなりました。

がんの患者さんが、がんと共存していけるような支援を実現していくためには、多診療科、多職種の協力が必要です。連携をさらに強化し、職種や診療科を超えてスタッフが関わることで、医療の提供のみならず、在宅医療や就労まで支援してまいります。

がん診療・包括ケアセンターの窓口、がん包括ケア支援室について

がんに関する無料相談を行っている、がん包括ケア支援室

がん包括ケア支援室を開設

2019年5月、喜谷がん治療センター2階に“がん包括ケア支援室”を新設いたしました。ここでは、がんに関する治療、診断やケアについての詳しいご相談に、専門の相談員(看護師)が無料で対応しています。

外来診療棟1階の“がん相談支援室”と合わせ、当院のがん相談の窓口は2箇所に増え、より多くの市民の方のご相談に対応できるようになりました。

がん包括ケア支援室で提供可能な情報

がん包括ケア支援室は、がんの患者さんの妊孕(にんよう)(せい)(妊娠のしやすさ)や、アピアランス(外見)のケア、栄養や食事内容に関することなど、より詳しいご相談内容にも対応しています。

こちらの相談室を介して、より多くの患者さんのご相談に応じ、お悩みを解決することができればと考えています。ご自身やご家族のがんについて気になることがあれば、お気軽にお越しください。

がん診療・包括ケアセンターの取り組み

各診療科へのスムーズな予約対応

がん相談窓口を介して、各診療科や専門外来への予約を行うことができます。ご相談者さんの相談内容を踏まえて、適切な外来を受診していただけるよう、ご案内しています。

がん医療に関する地域連携の充実

シームレスな(切れ目のない)医療・ケアの提供を目指して地域と連携し、がんの患者さんに対する診療を体系化したものである“がんの地域連携パス”の充実を図っています。

当センターでは、地域のがん患者さんを“緊急緩和ケア病床”で一時的に受け入れる体制を構築しています。地域において、疼痛管理、こころの管理などが困難なケースに対応し、その後は患者さんが地域やご自宅に戻って治療を続けられるよう、支援していきます。

副作用対策

患者さんに安心して治療を受けていただけるよう、抗がん剤治療の副作用などの有害事象への対応を行っています。

たとえば、免疫チェックポイント阻害薬という種類の抗がん剤を用いる分子標的療法を行うと、皮疹、心筋炎、糖尿病などの有害事象が起こる可能性があります。がんを専門とする医師1人では、このような有害事象に対応することは困難であるため、他診療科の医師に協力を要請しなければなりません。

当センターでは、薬剤師と多診療科に属する医師を中心に、月1回の勉強会を実施し、症例の経験を通して知識を高めています。そして、代表的な有害事象に対応する手順を標準化し、早期発見と迅速な対応ができる体制の整備に努めています。

高齢の方からAYA世代まで、幅広い年代へのサポート

高齢化が進む日本社会において高齢者のがんに対応するため、高齢者総合機能評価(Comprehensive Geriatric Assessment ; CGA)という機能評価を実施しています。CGAとは、日常生活動作機能、心理状態、社会環境という3つの面から、ご高齢の患者さんを評価することです。ポリファーマシー(多剤併用)の問題や、患者さんの自宅での過ごし方、介護者の有無などを加味して、治療方針を決定します。

また、AYA世代といわれる思春期・若年成人(Adolescent&Young Adult)の患者さんには、がんの診断や治療のみならず、就学や就業、長期にわたる抗がん剤投薬の副作用対策、後遺症、妊孕性などを考慮し、がんを治療したあとの長い人生も支援できるよう、相談支援体制の充実を図っています。

がん診療・包括ケアセンターの各部門について

ここでは、がん診療・包括ケアセンターを構成する主要な5部門をご紹介します。

臨床腫瘍部

臨床腫瘍部では、科学的に根拠のあるがん薬物療法を安全に、有効にそして効率的に実施することを目指しています。また、医師のみならず、看護師、薬剤師、医療スタッフなど多職種での症例検討を進め、より高度な治療の提供を目指しています。さらには、希少がんや難治がんの診療、臨床腫瘍外来など、患者さんが“路頭に迷わない”ように全人的ケアをすることを目指しています。

多職種・多診療科医師が参加するキャンサーボードも、希少がんや診断・治療に難渋する患者さんの方針決定に役立っています。

臨床腫瘍部の管理下にある“薬剤師外来”では、薬物療法を行っている患者さんを対象に、治療内容や副作用について薬剤師が説明しています。減量したほうがよい薬や副作用などをしっかりと確認するため、外来を受診する前に薬剤師外来で相談することで、スムーズな診察につなげることもできます(臨床腫瘍部について、詳しくは記事2「がん患者さんが“路頭に迷う”ことのないように――名古屋市立大学病院 臨床腫瘍部」をご覧ください)。

緩和ケアチーム

がんを患うと、痛みやだるさなどのさまざまな症状でつらい思いをしたり、生活が妨げられたりすることがあります。これらの症状を可能な限り和らげ、患者さんがよりよく生活できるよう援助する医療を緩和ケアといいます。
当院の緩和ケアセンターは、緩和ケア医、精神腫瘍医、看護師、薬剤師、臨床心理士を中心としたさまざまな職種が協力し合い、その専門性を活かしたチーム医療を提供しています。

緊急緩和ケア病床では、地域の医療機関からの緊急対応患者さんも受け入れています。

がんゲノム医療部

当院では、がん関連遺伝子の異常を1回の検査で調べることのできる“がん遺伝子パネル検査”を実施しています。2019年6月より、保険診療として実施が認められている検査方法については、高額療養費制度が適用できます。検査を実施することで、標準治療がまだみつかっていない希少がんに対する効果的な薬剤の発見につなげられればと思います。

そのほか、治験に参加可能な患者さんへの情報提供や、遺伝性のがんについてのご相談にも対応し、診断がついたあとの情報提供や支援にも取り組んでいます(がんゲノム医療部について、詳しくは「医療を提供するシステムの構築に尽力――名古屋市立大学病院 がんゲノム医療部、乳がん治療・乳房再建センター」をご覧ください)。

がん医療支援部

国で策定された“がん対策推進基本計画”に基づいて、ほかの部門では対応できないことを一括して対応する部門です。

乳がん治療・乳房再建センター

国内において罹患数が年々増加している乳がんに対し、当院の乳がん治療のスペシャリストが連携し、最先端かつ最良の治療の提供を目指すとともに、治療によるさまざまな負担を抱える患者さんに対し積極的にサポートを行っています。

当センターの最大の特長は、複数の分野の医師や医療技術者が部署の垣根を越えて協力し、一丸となって乳がんの診療に当たることです。
“乳がん手術と乳房再建術”については乳腺外科と形成外科が、乳がんの再発に対する不安やがんの進行に伴う疼痛など、治療に関連して起こる心身の苦痛に対してはこころの医療センター、緩和ケア部およびいたみセンターが主に担当しています。(乳がん治療・乳房再建センターについて、詳しくは「がんの患者さんが抱える“つらさ”を和らげる、名古屋市立大学病院 緩和ケアチーム」をご覧ください)。

*麻酔科標榜医:杉浦健之先生

多職種、多診療科でがんの患者さんをトータルサポート

当センターは、主要な5部門のほかにも、放射線による診断や治療、内視鏡医療、手術支援ロボットのダヴィンチを用いた低侵襲手術、輸血・細胞療法などが可能な体制を整えています。多職種、多診療科と協力しながら、がんの患者さんのサポートに努めます。

当院は大学病院でありながら、“市民に近い病院”でもあることを目指しています。診療だけでなく相談支援も含めて、ひとりで悩まず、お気軽にご利用いただければと思います。