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写真で見る中咽頭がんの見た目とは?~口の奥にあたる部分に発生するがん~

写真で見る中咽頭がんの見た目とは?~口の奥にあたる部分に発生するがん~
吉本 世一 先生

国立がん研究センター中央病院 頭頸部外科 科長(希少がんセンター併任)

吉本 世一 先生

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中咽頭とは口の奥にあたる部分で、口を大きく開けるとある程度自分で見ることができます。この部位に発生したがんを中咽頭がんといい、がんが発生する部位によって色調や形状、症状が異なります。では、中咽頭の中でもどの部位にがんが発生するし、見た目にはどのような変化が起こるのでしょうか。

本記事では中咽頭の発生部位や好発部位、見た目の変化について詳しく解説します。

咽頭とは鼻の奥から食道までの範囲を指し、筋肉に裏打ちされた粘膜で構成される約13cmの管のことを指します。これは飲食物や空気の通り道であり、上から上咽頭、中咽頭、下咽頭に分かれているうちの咽頭の中間(口の奥にあたる部分)に位置するのが中咽頭です。

中咽頭は一般的に“のどちんこ”と呼ばれる口蓋垂(こうがいすい)やその周囲の柔らかい部分の軟口蓋(なんこうがい)、“扁桃腺”とも呼ばれる口蓋扁桃(こうがいへんとう)、舌の付け根部分の舌根(ぜっこん)、口の奥の突き当りの中咽頭後壁が含まれます。これらの部位にがんが生じたものが中咽頭がんです。中咽頭がんの好発部位は口蓋扁桃のあたりや舌根が挙げられます。

中咽頭にがんが発生すると通常はその部位の色調や形状が変化します。色調においては主に赤色あるいは白色、形状においては腫瘤(腫れやしこり)や潰瘍(えぐれた状態)など多様な型を示し、一般的にはがんが進行するほど見た目の変化が大きくなります。

中咽頭は口を大きく開けると自分でも見ることができる場合もありますが、見えたとしても病変がごく一部しか見えないこともあります。さらに、一般的な上気道感染症などでも粘膜の色調や形状に変化が生じることがあるので、素人目で判断することは難しいといえます。そのため咽頭部分に何らかの違和感があれば自己判断せず、病院で診察を受けるようにしましょう。

中咽頭がんの発生部位

中咽頭がんが初期のうちは自覚症状がない場合がありますが、初発症状には飲み込むときの違和感やしみるような感じが見られることもあります。進行すると治まらない咽頭痛、吐血、口を大きく開けにくい、舌を動かしにくい、耳の痛み、声の変化などの症状が出現します。また、中咽頭がんは首のリンパ節に転移しやすいという特徴を持ち、比較的早期から転移することが珍しくありません。転移したがんが大きくなると首を触れてしこりが分かる場合もあります。

治療の開始が早ければ早いほど完治する可能性が高まります。そのため、飲み込むときの違和感やしみるような感じが数週間以上継続し、徐々に悪化してくるように感じた場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診するようにしましょう。また、首の周りにしこりのようなものがある場合にも痛みの有無にかかわらず早めに受診をするようにしましょう。

中咽頭がんの診断では、まず触診と内視鏡検査が行われるのが一般的です。

触診においては首回りを丁寧に触ってしこりの有無を確認したり、口の中に指を入れてがんが疑われる部分に直接触れ、がんの大きさや硬さ、広がりなどを調べたりします。内視鏡検査では口または鼻から器具を挿入し、器具の先端にあるカメラで病変を観察します。

がんを確定する際には、がんが疑われる病変の一部を採取してがんであるかを調べます(生検)。そのほかの検査ではCTやMRIといった画像検査、超音波検査などが行われることもあります。

中咽頭がんの発生部位は自分で見ることができる場合もあり、色調や形状が変化するようになります。しかし、部位によっては病変が見えにくく、またはがん以外の病気で色調や形状が変化することもあるので自分で見て判断するのは困難です。さらに、初期のうちは自覚症状が乏しく発見される頃にはすでに進行している場合が多いといわれています。そのため、気になることがあれば自己判断せず早めに病院を受診し、早期発見につなげるようにしましょう。

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