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らんしとうけつ

卵子凍結

監修:

概要

卵子凍結とは、卵子を採取し、凍結保存する技術です。がん膠原病(こうげんびょう)などの治療による生殖機能、すなわち妊娠する力(妊孕性(にんようせい))の低下や喪失に備える“医学的適応”と、健康な女性が加齢による妊孕性の低下に備える“社会的適応”があります。

卵子凍結は、従来はがんなどの治療による副作用で妊孕性が低下するリスクがある場合に、将来的に出産の可能性を残すための妊孕性温存療法として発展しました。しかし近年では、女性の社会進出・キャリア形成などを背景として、妊孕性が高い間に卵子を保存しておく“社会的適応”の需要が拡大しています。2026年現在、社会的適応に対する卵子凍結費用を助成する自治体もあり、女性のライフプランにおける選択肢の1つとして啓発が進められています。

目的・効果

卵子凍結の主な目的は、将来子どもを望んだときに妊娠・出産の可能性を残すことです。

医学的適応

以下のような治療は、生殖機能に影響を与える可能性があります。そのため、治療開始前に妊孕性温存療法の1つとして、卵子凍結が検討されます。

  • 一部の抗がん薬(アルキル化薬や白金製剤など)
  • お腹や骨盤周辺、卵子に関するホルモンを分泌する脳の視床下部・下垂体などに対する手術や放射線治療
  • 造血幹細胞移植

社会的適応

女性の卵子は胎児期に全て作られ、その後新しく作られることはありません。また、35歳頃から卵子の染色体異常、特に染色体の数の異常(異数性異常)の頻度が上昇し、受精する割合の低下や、流産の可能性が高くなると考えられています。そのため、あらかじめ卵子を凍結しておくことで、将来その卵子を用いて受精させたときの着床する割合の維持や、流産に至る可能性の低減が期待されています。

ただし、凍結した卵子を用いる場合でも、将来の妊娠・出産が保証されるわけではありません。凍結時の年齢が若いほど生児獲得率(無事に赤ちゃんが生まれる確率)は高まりますが、一定数の卵子を確保しても、受精や着床に至らない可能性があります。

適応

卵子凍結の適応として、がん治療や膠原病の治療の副作用による妊孕性の低下、喪失に備える“医学的適応”と、健康な女性が加齢などに備える“社会的適応”があります。

医学的適応

がんや膠原病、再生不良性貧血などにより、妊孕性が低下する治療を受ける女性が対象です。妊孕性温存療法には卵子凍結のほか、受精卵(胚)凍結、卵巣組織の凍結など複数の方法があるため、治療を受けられる患者さんの年齢、体の状態やパートナーの有無などを考慮したうえで検討されます。

社会的適応

加齢に伴う生理的な妊孕性低下に備えるもので、健康な成人女性が対象です。卵子採取時の年齢は36歳未満が望ましいとされています。また、母体への負担を考慮し、凍結した卵子を使用する年齢として、45歳以上は推奨されないことが一般的です。

リスク

卵子凍結には、排卵を促す薬(排卵誘発剤)による卵巣過剰刺激症候群(OHSS)や、採卵に伴う出血・感染などのリスクがあります。また、凍結卵子を使用して将来妊娠する際、妊娠高血圧症候群早産などのリスクが高まる点にも注意が必要です。

卵巣過剰刺激症候群

排卵誘発剤に卵巣が過剰反応して腫れたり、腹水が生じたりする状態です。腹部膨満感や吐き気、尿量減少などの症状が現れることがあります。重症化すると、腎不全や血栓症などの合併症が生じる場合もあります。

採卵に伴う合併症

採卵では、腟から細い針を刺して卵子を採取するため、痛みや出血、感染が生じる可能性があります。また、まれではあるものの隣接する臓器(腸管や膀胱など)の損傷が生じるリスクもあります。

妊娠・出産時のリスク

凍結された卵子が若い状態でも、それを受け入れる母体は加齢しています。一般的に35歳以降の妊娠・出産は、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病流産、早産などの可能性が高くなると考えられています。また、体外受精での妊娠は自然妊娠と比べて、妊娠高血圧症候群や胎盤の癒着が生じやすいといわれています。

治療の流れ

一般的に卵子凍結は、事前検査から採卵まで約2~3週間、通院3~5回程度のスケジュールで行われます。また、採卵後も診察が複数回必要になることがあります。

事前検査

主に血液検査や超音波検査で卵巣予備能(卵巣に存在する卵子数の目安)やホルモン値、卵巣の状態などを調べます。また、現在の病気の状況や既往歴、使用している薬、アレルギーの有無、出血しやすさなども確認されます。

卵巣刺激

卵子凍結には成熟した卵子が必要となるため、採取前に卵巣を刺激し、卵胞の発育を促します。

社会的適応

社会的適応の場合は、月経3日目頃から約10日間、排卵誘発剤(自己注射や内服)を使用します。主な卵巣刺激方法としては、GnRHアンタゴニスト法やPPOS法があります。

  • GnRHアンタゴニスト法……ゴナドトロピン製剤(FSHやhMG)の注射で卵胞を育て、GnRHアンタゴニスト製剤で排卵を抑制する方法
  • PPOS法……黄体ホルモン(プロゲスチン製剤)の内服とゴナドトロピン製剤の注射を併用して、早期排卵を抑えながら卵胞の発育を促進する方法

医学的適応

GnRHアンタゴニスト法やPPOS法は月経を待つ必要がありますが、妊孕性温存療法を開始するときに、ちょうど月経が始まるとは限りません。月経を待つと、がんなどに対する治療の開始が遅れる可能性があります。そのため、月経を待たずに卵巣刺激を行うことができる“ランダムスタート法”や同一の月経周期内に卵巣刺激と採卵を2回行う“ダブル・スティミュレーション法”などが主な選択肢となります。卵子凍結が実施可能かどうかや、どのような卵巣刺激方法を行うかについては、医師によって判断されます。

採卵

卵子が成熟したタイミングで、静脈麻酔または局所麻酔下にて採卵術を行います。

凍結・保管

採取された卵子のうち、成熟卵のみを凍結保存します。2026年現在は、ガラス化保存法が主要な方法となっています。凍結過程で細胞内に氷の結晶が生じると細胞死の原因になりますが、この方法では高濃度の凍結保護液を用い、液体窒素で超急速冷却することで、氷の結晶を作らせずに保存することが可能です。

費用の目安

2026年現在、卵子凍結は原則として公的医療保険が適用されない自由診療であり、医療機関によって費用が異なります。また、卵子凍結2年目以降は保管維持費が発生します。具体的な費用については、医療機関にお問い合わせください。なお、がん膠原病などの患者さんにおいては国が促進する“小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業”による助成制度や自治体独自の助成制度を利用することで、経済的負担を軽減できる場合があります。

医学的適応に対する助成金制度

小児・AYA世代のがん患者等の妊孕性温存療法研究促進事業では、若年の方々に対して経済的な負担を軽減するために妊孕性温存療法に要する費用の助成を促進しています。助成を受けるための所得制限はなく、がんや膠原病などに対して妊孕性が低下する治療が行われ、凍結保存時に43歳未満の場合は助成の対象となる可能性があります。ご自身が対象かどうかについては、医師に確認しましょう。具体的な助成内容や助成上限額などはお住まいの都道府県によって異なるため、Webページ等で詳細をご確認ください。

社会的適応に対する助成金制度

2026年現在、一部の自治体では、社会的適応に対する助成制度があります。たとえば、東京都では採卵時の年齢で18歳から39歳の都民を対象に、卵子凍結時に最大20万円、次年度以降は1年ごとに東京都の調査に回答することで2万円(2028年度まで)が助成されます。対象要件には、東京都が開催する説明会に参加後、1年以内に卵子凍結に係る医療行為を開始することなどがあります。

治療後の経過

採卵後、数日間は卵巣の腫れによる違和感や軽度の腹痛が生じることがあります。痛みが強くなる、血尿が出るなどの異変を感じた場合は、医療機関を受診しましょう。

将来、凍結した卵子を使用して妊娠を目指す場合は、卵子を融解し、パートナーの精子を用いて体外授精を行います。その後、育った受精卵を子宮内に戻す“胚移植”の手術が必要になり、これらの実施には、都度費用が発生します。

卵子凍結は、将来子どもを得る選択肢を残す有効な手段ですが、長期的な費用や体の負担なども伴います。凍結した卵子を用いても妊娠・出産に至らない可能性も踏まえたうえで、医師とよく相談し、納得して選択することが大切です。

最終更新日:
2026年03月10日
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2026/03/10
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