だえきせんえん

唾液腺炎

最終更新日:
2017年04月25日
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2017/04/25
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概要

唾液腺炎とは、耳下腺や顎下腺などの唾液腺に炎症を起こした状態の総称です。原因は多岐に渡ります。

原因

唾液腺は大唾液腺・小唾液腺に分かれています。大唾液腺には耳下腺・顎下腺・舌下腺があります。このうち、主に炎症を起こすのは耳下腺と顎下腺です。
炎症を起こす原因は多岐に渡ります。

細菌感染

口の中が不衛生な状態もしくは唾液の分泌量が低下している場合に生じます。口の中の細菌が唾液腺管を介して唾液腺感染を引き起こします。

ウィルス性感染

ムンプスウイルスによる流行性耳下腺炎が代表的です。

唾液腺管の狭窄や閉塞

唾液腺管に石が詰まる唾石症、何らかの原因で管が細くなる唾液腺管狭窄症などがあります。

アレルギー性疾患

線維素性唾液管炎では、唾液が出るところから白色の細長い塊が排出されて詰まるため唾液腺が腫れます。木村病ではアレルギーにより両側の耳下腺が腫脹します。

自己免疫性疾患

自己抗体により唾液腺が腫脹します。シェーグレン症候群やIgG4関連ミクリッツ病などが該当します。

HIV関連疾患

HIVに伴って起こる唾液腺疾患です。主に、のう胞やその内部にを伴う膿瘍が耳下腺内にできます。

小児反復性耳下腺炎

10歳ぐらいまでに繰り返し起こる耳下腺炎です。原因はよくわかっていません。その他まれではありますが、結核梅毒および放線菌などが唾液腺に感染を起こして唾液腺炎が発症することもあります。
 

症状

いずれの原因であっても耳下部、顎下部といった唾液腺が腫脹します。細菌性感染やウィルス性感染では痛み・発熱、流行性耳下腺炎では合併症として髄膜炎や睾丸炎、難聴などを引き起こすことがあります。唾石症、狭窄症、繊維素性唾液管炎、シェーグレン症候群では反復する唾液腺腫脹を認めます。

シェーグレン症候群やIgG4ミクリッツ病では口腔内の乾燥、味覚障害、特にシェーグレン症候群では目の渇き、陰部の乾燥を認めます。IgG4関連ミクリッツ病は涙腺や唾液腺の左右対照的な腫脹が特徴的です。なお全身の自己免疫疾患を伴う場合は、IgG4関連自己免疫疾患に分類されます。
 

検査・診断

唾液腺炎が疑われる場合には、以下の検査を実施します。

採血

炎症反応や血清アミラーゼの値を調べます。
流行性耳下腺炎ではムンプスウィルス抗体価の評価、アレルギー性では血清IgE、自己免疫疾患では免疫グロブリンやIgG4の計測、シェーグレン症候群では抗SS-A抗体、抗SS-B抗体を計測します。

画像検査

超音波検査、CT、MRIなどにより、唾液腺の腫脹様式・唾液腺管の拡張、唾石の存在を確認します。このとき腫瘍の有無も確認します。

口唇からの小唾液腺生検

シェーグレン症候群の確定診断のため、口唇から小唾液腺を摘出して病理検査を行います。

細菌培養検査

の排泄があれば培養検査を行います。

その他

流行性耳下腺炎では難聴、精巣炎による不妊、髄膜炎などを併発することがあるため、これらの検査も必要に応じて実施します。特に妊娠中は自然流産や子宮内胎児死亡の頻度が増えるため、慎重に実施します。
 

治療

各疾患に応じた治療を行います。

細菌感染

抗菌薬を使用します。口腔内が不衛生なら口腔ケア、唾液が少ない場合は唾液腺の分泌を促す薬を使用するなど、必要に応じてケアや治療も実施します。

流行性耳下腺炎

自然軽快が期待できるため、熱や痛みへの対症療法が中心に実施します。全身合併症に注意し、適宜検査を行います。

木村病

アレルギー剤やステロイドホルモン剤を投与します。

IgG4関連疾患やシェーグレン症候群

IgG4関連疾患ではステロイドの投与を行います。シェーグレン症候群ではステロイドの効果が乏しいため、症状にあわせて対症療法をおこないます。

小児反復性耳下腺炎

年齢とともに頻度が減少し、10歳ぐらいには自然消失します。それまでの間は腫脹時に対症療法を行います。
 

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