検査・診断
子宮頸がんが疑われた場合、さまざまな検査が行われます。
内診・腟鏡診・直腸診
腟内に指を挿入して子宮頸部の状態を触診し、腟鏡で腟を拡げて子宮頸部を詳しく観察する検査です。婦人科分野の病気では基本となる検査であり、子宮頸がんは観察しやすい位置に生じるため、腟鏡診を受ければ早期段階でも発見される可能性が高いと考えられます。
直腸診は、がんの側方(基靱帯)への進展の有無や程度を調べる触診法です。
細胞診
細胞診は子宮頸部をブラシや綿棒で擦って採取した細胞を顕微鏡で詳しく観察する検査です。
細胞診はがん検診などでも行われており、子宮頸がんの有無を簡易的に判断することが可能です。しかし、がんの前段階である“異形成”と呼ばれる状態でも異常な細胞が見られるため、異常な細胞が確認されたとしても必ずしもがんであるとは限りません。
細胞診の結果
細胞診の結果はクラス分類として、大きくI・II・III・IV・Vの5段階に分類されます。
検診でクラスIIIa以上の結果となった場合には、コルポスコープ下狙い撃ち組織診や画像検査、血液検査などの精密検査が実施されます。
組織診
組織診は子宮頸部の一部の組織を採取して顕微鏡で詳しく調べる検査です。組織診は、細胞診で異常が見られた際に精密検査として行うことが多く、子宮頸がんの確定診断をするための検査です。組織診ではコルポスコ―プと呼ばれる拡大鏡を使って子宮腟部を詳しく観察し、異常がみられた場合にはがんが疑われる部分の採取を行います。さらに、必要があれば子宮頸部を円錐状に切り取る“円錐切除術”を行い、切り取った組織を元に確定診断を行います。
組織診の結果
子宮頸がんの異形成はCIN1、CIN2、CIN3の3段階に分けられます。
・CIN1……軽度の異形成を指し、90%は自然治癒するといわれています。精密検査はせず、次回の検診まで経過観察とします。
・CIN2……中等度の異形成を指し、こちらも自然治癒する可能性があります。精密検査は行わず、多くの場合は経過観察のために定期的に検査を行います。
・CIN3……高度の異形成を指し、この状態はがん化する確率が高くなると考えられています。あるいは、すでに上皮内がんが発生している可能性もあり、精密検査や手術が必要です。
経腟超音波検査
腟から超音波の装置を挿入し、子宮内部や卵巣などの状態を簡易的に調べる検査です。内診の一環として行われることが一般的です。
子宮や卵巣の腫瘤を観察することができ、子宮頸がんが疑われる場合は子宮や卵巣の状態を調べるために超音波検査を行うことが一般的です。
画像検査
組織診で子宮頸がんと診断された場合は、がんの広がりや転移の有無を詳しく調べるためにCTやMRI、PETなどの画像検査を行います。ただし、ごく初期の小さながんでは画像検査に映らない可能性が高いため行わない場合もあります。
血液検査
子宮頸がんでは病変部からの慢性的な出血などが生じるため、貧血や炎症の有無など全身の状態を評価するために血液検査を行います。
また、診断の手がかりの1つとして、がんを発症すると体内で産生される“腫瘍マーカー”を調べます。
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