インタビュー

尿路結石とは?

尿路結石とは?
松崎 純一 先生

大口東総合病院 泌尿器科部長

松崎 純一 先生

この記事の最終更新は2015年03月10日です。

尿成分の一部が析出して結晶のようになり、これらが集合して腎・尿管・膀胱・尿道などで石のようになったものを尿路結石といいます。30-50代に多く、女性より男性に多くなっています。
一生のうち、男性では15%の確率で、女性では7%の確率で尿路結石になると言われています。

尿路結石は何か一つの原因で起こるわけではありません。
メタボリックシンドローム糖尿病、高脂血症、痛風などの生活習慣病の一つとして尿路結石があると言われています。
これらの生活習慣病が多ければ多いほど、尿路結石になりやすいのです。

尿路結石は、その発生する部位によって、4つに分類されます。

  1. 腎結石…腎臓にできた結石
  2. 尿管結石…尿管にできた結石
  3. 膀胱結石…膀胱にできた結石
  4. 尿道結石…尿道にできた結石

①と②をあわせて上部尿路結石とよび、全体の95%を占めます。

また、結石の成分には、シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸マグネシウムアンモニウム、尿酸、シスチンなどがありますが、
シュウ酸カルシウム、リン酸カルシウムなどから出来るカルシウム結石が全体の約90%を占めています。

尿路結石は、その発生する部位によって、腎結石、尿管結石、膀胱結石、尿道結石の4つに分けることができ、それぞれの場所に応じた症状が現れます。

腎臓の中にできる、腎結石は通常痛みを起こしません。
ただし、閉塞をおこす腎臓結石は、背部痛などの症状をおこすことがあります。

  • 尿管結石では、結石が尿管を詰まらせるため、その上の腎臓(背中にあたります)に痛みが生じます。この場合、尿管結石の場所と痛みの場所は一致しません。
  • 上の痛みとは別に、結石があるところの尿管が攣縮を起こすため、その場所に痛みを生じます。

膀胱結石では、排尿痛、頻尿、残尿感などの症状が出ます。

尿道結石では、排尿困難(尿が出にくくなること)、尿閉(尿が出なくなること)などの症状が出ます。

これらの、場所に応じた症状に加えて、全ての場所において、結石が周りのものと擦れることによる、血尿の症状が現れます。

尿路結石の検査としては、以下のようなものを行います。

  1. 尿検査・・採取した尿に血尿が見られます。
  2. 腹部の画像検査(CT、超音波検査など)・・・画像にて結石が見られます。

尿路結石の治療法には、主に薬物療法と手術療法があり、結石の大きさに応じてこれらの治療法を使い分けます。

4mm以下の結石では、手術療法は必要ありません。主に、以下の2つの治療法を行います。
⑴飲水(1-2L/日)、運動などによる、自然排石の促進
⑵薬物療法

  • 排石を促進させる薬剤(ウラジロガシエキスやブチルスコポラミン臭化物など)

尿管の緊張をとり、尿管を拡張させることで、排石を促す薬剤があります。

  • アルファブロッカー

前立腺肥大症に使用されるアルファブロッカーという薬剤は既存の薬剤より効果が高いと言われています。しかし尿路結石には保険適応がないため、専門の医師(泌尿器科)と相談の上での投与が必要です。

  • クエン酸製剤

クエン酸製剤は尿をアルカリ化する作用があります。尿酸結石やシスチン結石など、尿をアルカリ化することで溶解する結石に有効です。

  • サイアザイド系利尿薬

サイアザイド系利尿薬とクエン酸製剤は尿路結石の再発を減少させる目的で使用されます。

30-40日のうちに、80%の割合で排石されるとされています。

10mm以上の結石では、自然排石は難しいため、薬物治療のみではなく、手術療法を組み合わせます。
尿路結石の手術療法には、ESWL、TUL、PNLの3つがあります。

参考記事:エキスパートに聞く! 尿路結石の3つの手術療法の特徴

4-10mmの結石では、状況次第です。手術をすることもありますし、飲水と薬物療法を用いることもあります。

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