インタビュー

尿路結石の治療とは。重症化する前の早期治療が大切

尿路結石の治療とは。重症化する前の早期治療が大切
中島 雄一 先生

飯塚病院  泌尿器科部長

中島 雄一 先生

この記事の最終更新は2016年05月08日です。

尿路結石を放置しておくと感染症や敗血症を起こして命にもかかわる重篤な状態に陥ることもあるといいます。重症患者さんが多いという筑豊地区で泌尿器疾患の診療に取り組んでいる飯塚病院泌尿器科部長の中島雄一先生に、重症患者に対する治療についてお話を伺いました。

飯塚病院における尿路結石患者の特徴は、重症になってこられる方が非常に多いということです。尿管に石が詰まって感染症を起こすと、菌が血液に流れ出して全身症状である敗血症を起こしてしまいます。

飯塚病院では、このような重篤な症状の患者さんには、まず抗生物質を投与して全身の管理を行います。それでも改善傾向がみられないとき、例えば血圧が下がってショック症状を起こしているなどという場合には尿路ステントを挿入するか腎瘻(じんろう)という治療を行います。

尿路ステントというのは、経尿道的、要するに尿道のほうから腎臓と膀胱の間に内視鏡を入れて、腎臓にたまった(うみ)を取り除く治療法です。一度感染を起こすと石のなかに菌が残ることがあるため、基本的には破砕をするまで石は残しておきます。

一方、腎瘻というのは、尿路ステントができない方や、石が詰まってしまって出てこないような方に行います。腎臓は背中側にありますので、背中に穴をあけて、管を腎臓にまで差し込んで、腎臓にたまっている膿を排出するという治療法です。この治療では、患者さんの背中から管が出て、生活に支障をきたすことが多くなるので、病状が落ち着いた時点で尿路ステントに切り替えるようにしています。

「たかが結石」といって放置しておくと、重症になって大変な治療を行わなければならなくなることもあります。重篤な場合は命にも関わることもありますので、結石がある方は、定期的に病院に行って検査をしてもらうようにしてください。特に糖尿病など持病をお持ちの場合は、一度しっかりと検査を受けられることをお勧めします。

飯塚病院では、近隣の泌尿器科や内科の先生方などにも協力を頂いて、患者さんを定期的に診てもらっています。尿路感染症の症状が出てきた場合には、すぐに我々に連絡をもらうよう病診連携も行っています。

尿路結石は予防がなによりも重要になります。栄養指導なども行っていますが、食事療法に関しては、カルシウムが原因の結石なのか、尿酸が原因なのかによって異なってきます。

尿酸が原因の結石であれば、尿酸値が上がるような食べ物、たとえば肉や魚などのタンパク質を多く含む食品を避けた食生活をこころがけるように指導しています。エビやイカも尿酸が上がるとされていますが、殻も一緒に食べると尿酸値が下がるといわれています。ですから、絶対に食べてはいけないということでもありません。

それに対してカルシウム結石の場合であれば、カルシウムが不足している方のほうが、結石ができやすい傾向にあるようです。日本人は一般的にカルシウムの摂取量が不足しているといわれていますので、必要なカルシウムをきちんと摂っていただくことも必要になります。

シュウ酸については、ほうれん草の摂取を控える、グレープフルーツジュースやナッツ類、チョコレートを控えるといったことに注意する必要があります。また、お酢を飲むと石はできにくくなります。溶解剤の主成分はクエン酸ですので、お酢を摂るといいでしょう。

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