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悪性リンパ腫のしこりの特徴とは? 〜好発部位やしこり以外の症状、治療法について解説〜

悪性リンパ腫のしこりの特徴とは? 〜好発部位やしこり以外の症状、治療法について解説〜
豊嶋 崇徳 先生

北海道大学大学院 医学研究院 内科系部門 内科学分野 血液内科学教室 教授

豊嶋 崇徳 先生

目次
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悪性リンパ腫とは血液細胞の1つ“白血球”のうち、“リンパ球”という細胞ががんになる病気です。悪性リンパ腫には実に70種類以上の病型があり、それぞれで症状や進行速度、治療法などが異なることが特徴です。なかでも、代表的な症状の1つに体に現れる“しこり”があります。本記事では、悪性リンパ腫のしこりの特徴やそのほかの症状についてご紹介します。

悪性リンパ腫では、主に体の中の“リンパ節”という部位が腫れ、体の表面からしこりとして触れることが一般的です。

リンパ節とはリンパ管の継ぎ目にあり、免疫機能を発動させる“関所”のような役割を持つ器官のことです。体全体にあり、首などの体の表面のリンパ節にしこりが生じた場合は自分で気付くこともあります。しかし、お腹の中などのリンパ節にしこりが生じると外から見えないため、大きくなるまで自分では気付かないこともあります。

リンパ節内での好発部位

特に首や鼠径部(そけいぶ)(足の付け根)、(わき)の下などのリンパ節に生じやすい傾向があります。これらの部位に生じたしこりは自分で触って気付きやすく、ゴムのような感触であることが特徴です。

一方でお腹の中など体の内部のリンパ節に生じたしこりは、自分で触って気付くことが難しいです。ただし、しこりが大きくなってくるとお腹に張りを感じることがあります。

悪性リンパ腫で生じるしこりは、押しても痛みがないことが一般的です。しかし、人によっては痛みが現れることもあります。

また、しこりは次第に大きくなることが一般的です。しこりが大きくなる速さは病型によっても異なり、数日で大きくなるものもあれば、数か月かけて大きくなっていくものもあります。進行の速い場合は気付きやすいですが、進行が遅い場合、しこりが生じていることになかなか気付けず、発見が遅れてしまうことがあります。

悪性リンパ腫では、基本的にリンパ節にしこりが生じますが、時に胃や小腸などの消化管や甲状腺、脳など、リンパ節以外の場所にしこりが生じることもあります。このような悪性リンパ腫を“節外性リンパ腫”と呼び、ほかのがんと間違いやすく注意が必要です。

悪性リンパ腫には、しこり以外にもさまざまな症状が現れることがあります。特に代表的なのが、発熱、体重減少、寝汗の3つで、これらを併せて“B症状”と呼びます。B症状の有無は、リンパ腫の病期(進行度)の判断に役立ちます。

そのほか、体のかゆみや皮膚の発疹(ほっしん)、しこりによる臓器の圧迫による症状などがみられることもあります。

悪性リンパ腫の治療は患者の体の状態や、がんの進行度、種類などによって異なりますが、がん化学療法が治療の主体で、時に放射線療法が行われます。一方、手術は診断のために行われることがありますが、治療目的に実施されることはまれです。

がん化学療法で治りにくい場合や治療の効果が不十分な場合では、自家造血幹細胞移植や、免疫細胞療法であるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法を行うことが検討されることもあります。また、ゆっくりと進行する悪性度が低い場合では、進行するまで特別な治療をしないで様子を見ることもあります。

なお、悪性リンパ腫は数あるがんの中でも治療が効きやすく、治癒も期待できます。

悪性リンパ腫は、患者自身がしこりなどの症状に気付いて病院を受診し、発見されることもあります。また、リンパ腫はさまざまな部位に発症するため、眼科や皮膚科、婦人科などを受診して発見される場合も多いです。一方で、自覚症状がなく、健康診断のX線検査や腹部エコー検査をきっかけに発見されることも少なくありません。

悪性リンパ腫にはさまざまな病型があり、症状の現れ方も大きく異なります。気になる症状があれば医療機関の受診を検討しましょう。悪性リンパ腫の診療科は血液内科ですが、受診する診療科に悩んだときは、日頃から受診している内科でもよいでしょう。

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