悪性リンパ腫とは血液細胞の1つ“白血球”のうち、“リンパ球”という細胞ががんになる病気です。悪性リンパ腫には実に70種類以上の病型があり、それぞれで症状や進行速度、治療法などが異なることが特徴です。なかでも、代表的な症状の1つに体に現れる“しこり”があります。本記事では、悪性リンパ腫のしこりの特徴やそのほかの症状についてご紹介します。
悪性リンパ腫では、主に体の中の“リンパ節”という部位が腫れ、体の表面からしこりとして触れることが一般的です。
リンパ節とはリンパ管の継ぎ目にあり、免疫機能を発動させる“関所”のような役割を持つ器官のことです。体全体にあり、首などの体の表面のリンパ節にしこりが生じた場合は自分で気付くこともあります。しかし、お腹の中などのリンパ節にしこりが生じると外から見えないため、大きくなるまで自分では気付かないこともあります。
特に首や鼠径部(足の付け根)、腋の下などのリンパ節に生じやすい傾向があります。これらの部位に生じたしこりは自分で触って気付きやすく、ゴムのような感触であることが特徴です。
一方でお腹の中など体の内部のリンパ節に生じたしこりは、自分で触って気付くことが難しいです。ただし、しこりが大きくなってくるとお腹に張りを感じることがあります。
悪性リンパ腫で生じるしこりは、押しても痛みがないことが一般的です。しかし、人によっては痛みが現れることもあります。
また、しこりは次第に大きくなることが一般的です。しこりが大きくなる速さは病型によっても異なり、数日で大きくなるものもあれば、数か月かけて大きくなっていくものもあります。進行の速い場合は気付きやすいですが、進行が遅い場合、しこりが生じていることになかなか気付けず、発見が遅れてしまうことがあります。
悪性リンパ腫では、基本的にリンパ節にしこりが生じますが、時に胃や小腸などの消化管や甲状腺、脳など、リンパ節以外の場所にしこりが生じることもあります。このような悪性リンパ腫を“節外性リンパ腫”と呼び、ほかのがんと間違いやすく注意が必要です。
悪性リンパ腫には、しこり以外にもさまざまな症状が現れることがあります。特に代表的なのが、発熱、体重減少、寝汗の3つで、これらを併せて“B症状”と呼びます。B症状の有無は、リンパ腫の病期(進行度)の判断に役立ちます。
そのほか、体のかゆみや皮膚の発疹、しこりによる臓器の圧迫による症状などがみられることもあります。
悪性リンパ腫の治療は患者の体の状態や、がんの進行度、種類などによって異なりますが、がん化学療法が治療の主体で、時に放射線療法が行われます。一方、手術は診断のために行われることがありますが、治療目的に実施されることはまれです。
がん化学療法で治りにくい場合や治療の効果が不十分な場合では、自家造血幹細胞移植や、免疫細胞療法であるキメラ抗原受容体T細胞(CAR-T)療法を行うことが検討されることもあります。また、ゆっくりと進行する悪性度が低い場合では、進行するまで特別な治療をしないで様子を見ることもあります。
なお、悪性リンパ腫は数あるがんの中でも治療が効きやすく、治癒も期待できます。
悪性リンパ腫は、患者自身がしこりなどの症状に気付いて病院を受診し、発見されることもあります。また、リンパ腫はさまざまな部位に発症するため、眼科や皮膚科、婦人科などを受診して発見される場合も多いです。一方で、自覚症状がなく、健康診断のX線検査や腹部エコー検査をきっかけに発見されることも少なくありません。
悪性リンパ腫にはさまざまな病型があり、症状の現れ方も大きく異なります。気になる症状があれば医療機関の受診を検討しましょう。悪性リンパ腫の診療科は血液内科ですが、受診する診療科に悩んだときは、日頃から受診している内科でもよいでしょう。
北海道大学大学院 医学研究院 内科系部門 内科学分野 血液内科学教室 教授
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今後の治療について
3ヶ月前から頸部にしこりを感じ痛みがでたのでグリグリと触っていたら痛くなり耳鼻科でリンパ節を病理検査したところ、悪性腫瘍リンパ節B細胞腫瘍と診断されました。放射線治療や抗がん剤治療になるとの事でした。何処の病院が1番良いかわかりませんが、自宅に近い病院の血液内科を紹介されました。 日常何も不備なく持病もなかったので、治療を始めることでのリスクが不安で戸惑っております。妻の要支援2の介護をしております。入院となると、何日かかかるのでしょうから。妻の介護も心配です。もし、治療しないとしたらどんな症状になるのでしょうか?
放射線治療を受け始めました
昨年9月に首に数個のしこりができ、確定診断を兼ねて摘出手術を受け、限りなくびまん性に近い濾胞性リンパ腫グレードIIIAの診断でした。R-CHOP療法を3クール受け、現在腫瘍マーカーは陰性です。抗がん剤にアレルギーがでたため、放射線治療20回をすることになり、3回目を受けたところ、口渇で食べ物が飲み込みにくい状態です。しかし副作用には早すぎると言われ、気のせいでしょうと笑われました。両耳の下あたりを押すと痛みもあります。放射線治療を続けても大丈夫でしょうか。
造血幹細胞移植が有効か否か
一年程前に悪性リンパ腫と診断され、数々の抗がん剤治療と、皮膚に出来た腫瘤には、放射線治療を行なっています。しかしながら、薬の効きはおもわしくなく、副作用で心身ともにボロボロの状態になっています。 心臓も度重なる抗がん剤治療で狭心症も併発し、生死にかかわる状態にも直面いたしました。 このような状態で今後の治療として、移植は有効でしょうか? 現在入院している病院は移植に対応しておらず、担当医からも移植の提案はないのですが、最後の治療法として治癒の可能性があるならと考えています。 回答をよろしくお願いいたします。
本当に悪性なのでしょうか?
以前から相談させてもらってます 末梢性T細胞リンパ腫の疑いがあると生検検査で出ましたが 腹部にできた腫瘍は全部で5つありました。 そのうち1つを生検検査するために摘出 そのあとしこりは5つまで増えました、痛みもあったため、炎症止めの薬を処方してもらい飲んだところ、痛みがなくなり 本日しこりができ始めてから約3週間経ちましたがしこりが消えました 悪性の場合でも、できた腫瘍が消えることはあるのでしょうか? 炎症止め以外の薬は飲んでないので なにか治療を行った訳では無いです
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