悪性リンパ腫の初期症状や進行症状とは？ ～初期にはリンパ節に腫れやしこりが生じることも～

悪性リンパ腫とは血液のがんの1つで、白血球の仲間である“リンパ球”ががん化したものをいいます。成人も子どもも発症することがありますが、その性質や症状などの特徴は異なります。また、70種類以上の病型分類があり、大きく“ホジキンリンパ腫”と“非ホジキンリンパ腫”に分けられ、日本人の悪性リンパ腫の90％以上は非ホジキンリンパ腫といわれています。この病型によっても進行スピードや治療方法が異なるとことが特徴です。

本記事では、成人の悪性リンパ腫の初期症状や進行後の症状、病院を受診する目安などについて解説します。

悪性リンパ腫の初期症状

悪性リンパ腫では症状がなかなか現れないこともあります。そのため、健康診断や別の病気の検査のために受けたX線や腹部エコーなどによって偶然発見されることも少なくありません。比較的初期に現れる症状としては、リンパ節の腫れやしこりが挙げられます。

リンパ節の腫れやしこり

リンパ節とは体全体にある器官で、リンパ液が流れるリンパ管同士をつなぎ、免疫機能を発動させる“関所”としてのはたらきがあります。悪性リンパ腫が発症すると、このリンパ節が腫れたりしこりができたりすることが特徴です。

ただし、リンパ節の腫れやしこりの原因としては、悪性リンパ腫以外にも感染症や免疫疾患・アレルギー疾患などさまざまな病気が考えられるため、注意が必要です。

好発部位

悪性リンパ腫によるリンパ節の腫れやしこりはさまざまなところに生じますが、好発部位として首や鼠径部(そけいぶ)（足のつけ根）、腋(わき)の下が挙げられます。しこりそのものは押しても痛みがなく、ゴムのような硬さであることが一般的です。通常、数週間から数か月かけて徐々に大きくなっていきます。

そのほか、お腹の中など目に見えない部分のリンパ節が腫れることもあります。しこりが大きくなってくると、お腹の張りを感じることがあります。

リンパ節以外の場所に発症することも

悪性リンパ腫ではリンパ節だけでなく、胃や腸などの消化管、甲状腺、脳などの臓器にしこりが生じることもあります。このような悪性リンパ腫は“節外性リンパ腫”と呼ばれます。

悪性リンパ腫の進行症状

悪性リンパ腫が進行すると腫れやしこりが広がり、全身に症状が現れることがあります。主な全身症状には、発熱、体重の減少、激しい寝汗（盗汗(とうかん)）が挙げられ、これら3つを合わせて“B症状”と呼ぶこともあります。

そのほか、体のかゆみや皮膚の発疹(ほっしん)などの症状がみられることがあるほか、しこりによって気道、血管、脊髄(せきずい)などが圧迫されると、気道閉塞(へいそく)や血流障害、麻痺などの症状が現れることもあります。

病型によって進行スピードが異なる

前述のとおり、悪性リンパ腫にはさまざまな病型があり、病型に応じて進行スピードが異なります。

日本人の悪性リンパ腫の90％以上を占める非ホジキンリンパ腫にも、ゆっくり進行するものと数週間のうちに進行してしまうものがあり、特に進行の早いタイプについては速やかに治療を開始することが大切です。気になる症状があれば放置せず、速やかに医療機関の受診を検討しましょう。

また、進行が遅いタイプのものについては、リンパ節の腫れ・しこりのような自覚症状が現れにくく、治癒しにくくなる傾向があります。そのため定期的に健康診断を受けるなど、症状がない間もメンテナンスをきちんと行う意識を持つことが大切です。

気になる症状があれば受診を検討

リンパ節の腫れ・しこりをはじめとした気になる症状がある場合に受診する診療科は、まず普段受診している内科などの受診を検討しましょう。悪性リンパ腫自体の診療科は血液内科ですが、症状が多彩でしこりのできる部位も人によって異なるため、実際には血液内科以外の診療科で発見されることも少なくありません。「どの診療科に行けばよいか分からない」というときは、内科を受診するとよいでしょう。

また、悪性リンパ腫は、必ず初期症状が現れる病気とはいえす、健康診断がきっかけで見つかることもあります。そのため、定期的に健康診断を受診することも大切です。