こうもんそうようしょう

肛門掻痒症

同義語
肛門そう痒症
最終更新日:
2024年10月24日
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2024/10/24
更新しました
2017/04/25
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概要

肛門掻痒症は、何らかの原因で肛門周辺にかゆみを伴う病気の総称です。肛門掻痒症には、明らかな原因がない“特発性肛門掻痒症”と、肛門ポリープといった何らかの病気などに関連して起こる“続発性肛門掻痒症”がありますが、自分で強く掻いたり、強く洗浄したりすることが原因で発疹が現れ、肛門にかゆみが生じることもあります。

肛門掻痒症を発症する男女比は2:1で、特に男性の中でも中高年に多いといわれています。

原因

肛門掻痒症には、何らかの病気に関連して起こる続発性肛門掻痒症と、はっきりとした原因が分からない特発性肛門掻痒症があります。

続発性肛門掻痒症では、核や痔瘻といった痔や肛門ポリープ直腸脱、寄生虫への感染などが関与している可能性があります。これらの病気によって分泌物や糞便が肛門へ付着し、不衛生になることでかゆみが生じます。また、下痢や便秘症でも皮膚に刺激が生じたり、皮膚炎を起こしたりすることでかゆみの症状につながることがあります。

かゆみを感じて肛門をかくと肛門に傷がつき、カンジダ菌などの真菌感染を引き起こして症状が悪化することがあります。また、糖尿病肝硬変、精神的ストレスなども肛門掻痒症の要因になるといわれています。

一方で、肛門の過剰な洗浄が肛門掻痒症の原因となることもあります。たとえば、排便後にトイレットペーパーで肛門を拭きすぎたり、温水洗浄トイレなどで肛門を洗いすぎたりすると皮膚のバリア機能が低下し、肛門掻痒症を発症することがあります。

症状

肛門掻痒症の初期症状では、肛門にむずむずしたような違和感が生じます。特に排便後や入浴後に症状を自覚しやすく、悪化するとかゆみが強くなり眠れなくなることもあります。

また、かゆみを感じて肛門をかくと赤い発疹が生じる可能性があります。さらにかくと、知覚神経を刺激するヒスタミンなどのサイトカインという物質が分泌されてかゆみが増し、肛門のかゆさも強くなります。

肛門掻痒症が進行すると、皮膚が傷ついたりびらんが生じたりします。その結果、入浴時にお湯がしみるといった痛みや痛がゆさを感じることがあり、切れ痔と勘違いされることも少なくありません。

検査・診断

肛門掻痒症は、症状などを確認する問診のほか、以下のような症状が現れているか肛門の状態を確認します。

  • 色素脱失……初期段階では肛門が赤く変色しますが、時間の経過とともに白っぽくなります。
  • 浮腫状皮膚……皮膚がむくんで肛門周辺の皮膚がシワのように盛り上がります。イボと間違われることがあります。
  • 皮膚亀裂……肛門のしわに沿って皮膚が裂け、あかぎれのような状態を引き起こします。
  • かき傷……皮膚を過剰にかいた跡などが確認できることがあります。
  • 苔癬化(たいせんか)……病気が長年続くと肛門周辺の皮膚が厚くなり、ゴワゴワとした状態となります。
  • 色素沈着……肛門周辺の皮膚が黒っぽく変色します。

肛門掻痒症は、痔核や裂肛痔瘻肛門ポリープ直腸脱過敏性腸症候群などが原因となって発症する場合もあるため、大腸や肛門の病気がないか確認します。また、真菌などの感染がないかどうか確認するために、肛門の分泌物を採取し、培養検査を行うこともあります。

肛門にできた発疹が治りにくい場合には、パジェット病(乳房や会陰部、肛門周囲などに発生する上皮内がん)の可能性も考えられるため、肛門組織を一部採取して顕微鏡検査が行われる場合もあります。採取する際は赤みを帯びている部位の、肛門縁よりもっとも遠い部位で皮膚に皮下脂肪を付けて切除します。

治療

下痢や便秘などの便通異常が原因となっている場合、薬剤などで治療をしても再発を繰り返すリスクがあります。そのため、まずは便通を整えることが大切です。

強いかゆみを伴う発疹が生じている場合には、2〜3週間を目途に薬物療法が検討されます。軽症であれば、白色ワセリンやジメチルイソプロピルアズレンなどの塗り薬が使用され、重症の場合はステロイドの塗り薬が検討されます。苔癬化している場合はステロイドのほかにタクロリムスを塗布し、皮膚潰瘍(かいよう)を伴っている場合は皮膚潰瘍治療薬(ブクラデシンナトリウム軟膏など)を併用します。

予防

肛門掻痒症を予防するためには、肛門を正しくケアすることが大切です。

肛門を洗いすぎない

温水洗浄便座を使いすぎず、洗う強さを弱くしましょう。また、入浴の際も擦らず優しく洗うことが大切です。

肛門を拭きすぎない

排便時はトイレットペーパーで優しく押さえるように拭き、3回以上拭かないようにしましょう。決して擦らないことが大切です。

ケア用品の使用をやめる

クリームや軟膏などのお尻ケア用品が、かぶれや、かぶれの悪化につながっている可能性もあるため、使用を控えましょう。

消毒液を使用しない

かき傷などがあっても、肛門に消毒液を使用するのは控えましょう。皮膚を守る常在菌まで死滅する可能性があり、かぶれの原因となることがあります。

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