東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...
戸原 玄 先生
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーショ...
山口 浩平 先生
口腔がんのひとつである舌がんは、10万人に約3人の割合で発生しているとされ、がんの中では頻度は高くありません。また、ごく早期であれば5年生存率は約95%と高く、早期に治療を行えば完治が期待できるがんでもあります。
舌がんは舌の細胞ががん化することによって発症し、舌に硬いしこりといった症状がみられるようになります。では、何が原因で舌がんを発症するのでしょうか。また、どういった症状があるときに注意が必要なのでしょうか。
舌がんの原因はいまだ明らかになっていません。しかし、喫煙と飲酒がリスク因子と考えられており、タバコの煙やお酒に含まれる化学物質によって舌が慢性的な刺激を受けることで、がんが発生しやすくなるとされています。
特に喫煙は大きなリスク因子とされ、口腔がん全体において約80%は喫煙が原因と考えられています。また、飲酒のみでも舌がんを発症する危険性は高まりますが、飲酒と喫煙の両方の習慣がある人はより危険性が高まることがわかっています。
舌がん発症者の男女比は3:2程度で男性が多い傾向にあります。これは飲酒と喫煙の習慣のある方が男性に多いということが背景にあると考えられています。しかし、舌がんの好発年齢は40~60代であるものの、飲酒と喫煙の習慣がない20代の若い方にも発症しています。そのため、必ずしも飲酒と喫煙が原因で起こるとは限らず、ほかに何らかの因子が関係している可能性もあります。
喫煙と飲酒以外のリスク因子として考えられるのが、歯による舌への慢性的な刺激です。虫歯になって先端部が尖る、義歯が不適合、歯が内側へ傾いているような場合、その歯が舌に刺激を与え続けてしまいます。
飲酒と喫煙においては化学物質による刺激、歯においては物理的な刺激ですが、いずれにしても刺激を受け続けることによって、がんが発生する可能性が高まると考えられています。
舌がんは自分で鏡を見て気づくことができるので、歯磨きのときなどに定期的にセルフチェックを行うことで早期発見につなげることができます。
転移のない2cm以内の早期の舌がんであれば、5年生存率は約95%で、発見が早ければ早いほど完治する可能性が高まるので、万が一に備えてセルフチェックを行いましょう。
なお、舌がんの多くは舌の両側の縁に発症します。舌先の裏に発症することもありますが、舌の表面中央や先端にできることはほとんどありません。そのため、舌がんのセルフチェックを行う際には舌の両側と舌の裏に重点を置いて観察するのがよいでしょう。
舌がんの典型的な初期症状は、舌の両側の縁にできる硬いしこりです。その部分が歯に当たって出血や痛みを伴うこともあります。初期の舌がんは見た目が口内炎と似ていることから、口内炎と勘違いして放置してしまう方が少なくありません。また、進行すると潰瘍になり、持続的な出血や痛みが生じるようになります。
セルフチェックを行い、以下のような症状があれば舌がんの可能性があります。早めに歯科や口腔外科、耳鼻咽喉科で診てもらいましょう。
赤い斑点や白い斑点は、後にがんになる可能性がある「前がん病変」と呼ばれるものであることもあります。厳密にはがんではありませんが、がん化する恐れがあるので、早めの受診がすすめられます。
舌がんの予防には喫煙と飲酒を控えることが何より大切です。また、口の中を清潔に保つこと、口の粘膜に慢性的な刺激を与えないことも予防につながります。虫歯がある場合や義歯が不適合な場合には早めにかかりつけの歯科医院を受診し、治療してもらうようにしましょう。
舌がんを含む口腔がんの検診は一部の自治体で実施されているので、特に喫煙や飲酒の習慣がある方や歯科を受診する機会がない方は、1年に1度の口腔がん検診を受けるのがよいでしょう。ただし、自治体によって対象となる年齢や費用が異なるため、実施の有無も含めて一度お住まいの市役所や区役所などに問い合わせてみましょう。
舌がんは、全がんのうち約1%と頻度の低いがんではありますが、20代でも発症する可能性があります。特に喫煙や飲酒の習慣がある方は注意が必要です。消化管のがんなどと違い、舌がんは自分で気づくことができるとされているので、早期発見のために定期的にセルフチェックを行い、少しでもおかしいと感じたら早めに医療機関を受診するようにしましょう。
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京医科歯科大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 講師
東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 医歯学専攻 老化制御学講座 摂食嚥下リハビリテーション学分野 教授、東京医科歯科大学病院 摂食嚥下リハビリテーション科 科長
日本摂食嚥下リハビリテーション学会 認定士日本老年歯科医学会 認定医・老年歯科専門医・指導医・摂食機能療法専門歯科医師
高齢者を中心とする摂食嚥下障害の治療、リハビリテーションに取り組み、往診による在宅診療や地域連携を積極的に行っている。厚生労働科学研究委託費長寿・障害総合研究事業“高齢者の摂食嚥下・栄養に関する地域包括的ケアについての研究”の業務主任者を務めている。ウェブサイト“摂食嚥下関連医療資源マップ”やその他のインターネットメディア・講演活動などを通して、摂食嚥下障害に関する情報発信も行っている。
戸原 玄 先生の所属医療機関
山口 浩平 先生の所属医療機関
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