病院で受けられる色素沈着治療の効果とは？ ～皮膚の深い部分まで届き、セルフケアより短時間で高い効果が期待できる～

色素沈着は主にメラニン色素の沈着が原因で、皮膚の色調が濃くなってしまう状態です。ほとんどの色素沈着は健康に害を及ぼすものではありませんが、顔などの目立つ位置にできた色素沈着はその人の印象に影響を及ぼすこともあります。色素沈着を改善する方法はさまざまなものがあり、特に高い効果が期待できるのが病院で受けられる薬物治療やレーザー治療です。それでは、具体的にはどのように治療が行われるのでしょうか。

色素沈着の治療の概要

色素沈着は美容的な側面が強く、紫外線ケアや美白化粧品といったセルフケアが重視されがちですが、病院でも治療を受けることができます。

そもそも色素沈着とは肌が黒ずんでしまう状態の総称で、細かな分類や原因は多岐わたります。代表的な色素沈着であるしみ、そばかす、目のまわりの“くま”をはじめとして、ほとんどの色素沈着はメラニン色素の産生と沈着によって引き起こされると考えられており、加齢や遺伝のほか、けが、にきびなどの炎症、特定の薬剤などが原因となります。

病院で受けられる治療は作用が強力であることに加え、原因に応じた治療が選択されるため、高い効果が期待できます。また、色素沈着のほとんどは見た目の問題以外、健康に害を及ぼすものではありません。しかし、まれに病的な原因で色素沈着を起こしていることもあり、その場合は原因となる病気の治療が必要になります。

病院で受けられる色素沈着の治療について

加齢によってできるしみをはじめとして、病的でないものについては病院で受けられる薬物療法やレーザー治療が有効となります。色素沈着の多くはメラニン色素の沈着によるもので、表皮の深い部分に沈着するため、美白化粧品などでの肌の表面へのケアでは、不十分なことも少なくありません。病院で受けられる治療は、皮膚の深い部分までアプローチするものもあるため、より高い効果が期待できます。

薬物療法

薬物療法には、大きく分けて内服薬（トラネキサム酸やビタミン剤など）と、外用薬（ハイドロキノン、トレチノインなど）があります。

内服薬

肌の調子を整えるはたらきをもつビタミンCやビタミンE、トラネキサム酸と呼ばれる飲み薬が用いられることがあります。特に、トラネキサム酸は顔に対称性にできる肝斑と呼ばれる症状に有効であるといわれています。

外用薬

肌の調子を整えるビタミン外用剤のほか、ハイドロキノンやトレチノインといった外用剤が用いられます。ハイドロキノンはメラニン色素の産生に関わる酵素を阻害し、メラニン色素を作るメラノサイトと呼ばれる細胞を攻撃するはたらきがあり、トレチノインは表皮の深い部分にあるメラニン色素を外側に排出するはたらきがあります。これらの外用薬は作用が強いため、一時的には肌の赤みやひりつきなどの副作用が現れることもあります。

レーザー治療

レーザー治療は、特定の色に反応する性質をもつレーザーを皮膚に当てることで、メラニン色素を含む細胞を破壊する治療です。用いられるレーザーの例として、Qスイッチルビーレーザー、アレキサンドライトレーザーやピコ秒レーザーなどがあります。

色素沈着が気になるときは

色素沈着への効果をうたう治療は、市販品を含めさまざまなものがありますが、色素沈着の原因によっては誤った治療を行うことで症状を悪化させることもあるので、正しい診断を受けたうえで治療を受けることが大切です。

色素沈着の治療は、皮膚科や形成外科で受けることができます。病院では、まず色素沈着の特徴から原因を特定します。診断は、出現時期、色素沈着の分布・色調、性状などから総合的に判断します。治療は上記の内服、外用、レーザーなどから適切なものを選択、もしくは組み合わせて行います。多くの色素沈着の治療は美容目的のため自由診療ですが、やみくもにセルフケアを続けるより短期間で高い効果が得られることもあるでしょう。

色素沈着の原因は、場合によっては服用している薬剤や何らかの病気であることもあるため、色素沈着に悩んでいる場合は医療機関を受診してみるとよいでしょう。