
酒さは頬や鼻、額などの顔面が赤くなる病気のことです。症状が悪化するにつれて、丘疹(小さな盛り上がり)や膿疱(膿が溜まったもの)を伴うこともあります。酒さの原因は明らかではないものの、日々の生活における外的な刺激などによって症状が悪化することが分かっています。そのため治療では、まずは生活指導を実施したうえで、薬物治療などを行う必要があります。
本記事では、具体的にどのように治療を進めていくのかを詳しく解説します。
酒さの治療方針を決めるうえで重要なことは、診断において酒さと似たような症状が見られる他の疾患との鑑別です。
頻度が高い疾患としては、接触皮膚炎、花粉症・花粉性皮膚炎、光線過敏症、脂漏性皮膚炎、尋常性ざ瘡(にきび)、毛包虫性皮膚炎などがあります。また、これらと比べて頻度は高くないものの、見逃してはいけない疾患として、全身性エリテマトーデスや皮膚筋炎などの膠原病、好酸球性毛包炎、顔面播種状粟粒性狼瘡などが挙げられます。
また、これらの疾患は、酒さと同時に発症しやすいといった特徴もあります。適切な治療を行うためには、問診で患者から詳細な症状を聞き出したり、アレルギー検査などによって全身をくまなく調べたりして、除外すべき疾患や合併症の有無を確認することが非常に重要です。
他疾患との鑑別や合併症の有無が確認できたら、治療へと進みます。治療では、症状を悪化させる要因となる刺激を回避する生活指導に加えて、薬物治療や理学療法を組み合わせて行います。
酒さの症状を悪化させる要因を回避するよう、患者に対して生活指導を実施します。症状を悪化させる要因としては、以下のようなものが挙げられます。
など
特に、寒暖差や紫外線の照射、乾燥といった外的な刺激は、酒さの症状を悪化させる大きな要因となります。花粉が飛散する初夏、紫外線の強い夏、乾燥や室内外の寒暖差が大きくなる冬など、季節ごとの外的刺激の変化によって、どのように症状が出現するのかを患者から詳細に聞き取ることが、適切な生活指導のために大切です。
そのうえで、刺激が少なく保湿効果の高いスキンケア用品の使用をすすめたり、紫外線予防のためにサンスクリーン剤(日焼け止め)や日傘の使用を促したりします。
日本では、酒さに対して保険適用となっている薬剤は数少ないのが現状です(2020年8月時点)。専門医の判断のもと、自由診療として保険適用外の薬剤を使用しながら、薬物治療を進めていきます。
日本では、皮膚浸潤がんの潰瘍部位の殺菌・臭気の改善の目的にのみ保険適用となっている薬剤ですが、日本以外の数十か国では酒さの治療薬として使用が認められています。
酒さに対して、自由診療として使用される頻度が高い薬剤です。
皮膚の赤みや腫れを抑える効果があります。ただし、日本ではアトピー性皮膚炎に対してのみ保険適用となっており、酒さに対しては自由診療として使用されます。海外でも酒さにたいしての使用は承認されてはいません。
皮膚を軟化させる効果があり、酒さに対して保険適用となっています。
丘疹や膿疱が主症状として見られるタイプの酒さに対し有効性が証明されている抗菌薬です。メトロニダゾール外用薬に加えて、3か月を目処に使用します。日本では、酒さ治療薬としては保険適用されていません。
ドキシサイクリンと同様に、丘疹や膿疱が主症状として見られるタイプの酒さに対して有効性が証明されています。日本では、酒さ治療薬としては保険適用されていません。
毛細血管の拡張によって赤みを生じているタイプの酒さに対しては、パルス色素レーザー治療とI P L(Intense Pulsed Light)といった理学療法が有効です。ただし、2020年8月時点では保険適用外の治療であり、施術回数や費用などを患者とよく話し合ったうえで実施する必要があります。
酒さは、薬物治療によって数か月程度で症状が改善することもありますが、なかには年単位で治療が必要なこともあります。そのような治療の経過においては、症状を悪化させる要因をきちんと理解し、それらを回避した生活を心がけることが大切です。また、昔から使用している日常品など、思わぬものが症状を悪化させている場合もあります。そのため、定期的にパッチテストなどを実施し、アレルギーについて探ることも重要です。長引く治療のなかで、少しでも疑問や不安を感じた場合には、医師に相談するようにしましょう。
東北大学大学院 医学系研究科・医学部 皮膚科 准教授、東北大学病院 皮膚科 副科長
山﨑 研志 先生の所属医療機関
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関連の医療相談が11件あります
酒さと診断されましたが…
2月下旬から顔が赤くなり痒くなったので皮膚科Aでステロイドの内服とボアラを出されました。 ボアラはその後、痒い時に使ったり、使わなかったりで、家にあるロコイドクリームを塗ってみたりもしていました。 使用頻度は毎日ではなく、時々です。 6月下旬に口の周りに細かい丘疹がたくさんできて、皮膚科B行ったところステロイドによる酒さ様皮膚炎と言われました。 おでこにも湿疹、鼻の横や顎も赤いです。 ステロイドとスキンケアをやめるように言われ、リバウンドが来ると言われましたがリバウンドにならず、保湿などしていないため赤くなっているところはカサカサになり皮が剥けましたが、見た目は変化なしでした。 もしかして酒さ様皮膚炎ではなく、酒さでは?と言われ、来週総合病院に紹介状を書いてもらい行くのですが、ずっとスキンケアなしで来ていましたが昨日おとといと、子供の用事で長時間野外にいる事になりメイクをして、メイク落としや洗顔料を使いました。 悪化するかと思いましたが変化なしでした。 保湿なしの初期は赤いところが熱を持っていましたが今は熱は引きました。 酒さではない可能性はありますか? また、総合病院ではどのように診察してもらえるのでしょうか? 念のためステロイドやプロトピックは使いたくありません。
様々な症状の関連性について
5/12帯状疱疹(皮膚科受診)→5/14首の痛みと顔の痺れ(整形外科受診)→5/23風邪(耳鼻科受診)→5/28副鼻腔炎(耳鼻科受診)→5/29膣カンジダ症(婦人科受診)→8/19喘息(内科受診) 立て続けに様々な症状が出ています。 毎日ではないですが、手指や足指の関節が痛むことがあり気になっています。 8/19の血液検査ではCRPは0.5でした。 白血球や貧血などその他は特に問題ありませんでした。 ただの免疫力低下なのかそれとも自己免疫疾患の可能性もあるのでしょうか。 来週、内科の再診があるので5月からの症状の相談もしようと思っているのですが、様々な症状は関連性があるのでしょうか。
前立腺肥大症について治療(投薬・手術・慣れる等)を考えのアドバイスを下さい。
半年前に肺がん(9年前手術)の経過観察でPSA値が高いと指摘され、本日造影MRIを撮影しました。がんに関しては問題ありませんでしたが、画像で前立腺肥大(約5cm)を指摘されました。がん専門の大病院のため、詳細は泌尿器科へ紹介状を出すとの説明を受けました。 「前立腺肥大症」という言葉は聞いたことはありましたが、深く考えたことはなく、少し調べると「前立腺が卵ほどに大きくなり、尿の勢いが弱くなる・頻尿になる」とありました。今日の医師の話では、「尿の出が悪くなれば治療を検討」「頻尿はあまり関係ない」「投薬は一時的な対処で、根治には腹腔鏡手術」「大きくなるかは人それぞれ」とのことでした。 私は還暦を過ぎ、実際に尿の勢いが弱く、夜間も1〜2時間おきにトイレに行きます。ただし、加齢により排尿機能や体力が衰えるのは自然なことと考え、ある程度は受け入れてきました。老眼なら眼鏡を新調すれば済みますが、前立腺の腹腔鏡手術は身体的にも経済的にも負担が大きく、できれば避けたいと感じています。次回は来年2月に再診予定(画像検査なし)です。 AIに相談したところ、以下の回答が得られました。 ・軽症なら経過観察+薬物療法 ・生活に強い支障があれば手術 ・手術後は改善が見込めるが、加齢に伴い再肥大の可能性もある ・治療方針は「生活の質をどの程度改善したいか」で決めるのが現実的 私としては、命に直結しない限り、治療負担や予後の不確実さを考えると手術は避けたい気持ちです。今後の生活において、どのような考え方や対応が望ましいか、アドバイスをいただければ幸いです。
通風と診断されたが今後の生活習慣について
今回左足親指付け根が痛く 病院へ行ったところ 痛風であることでした 特に薬の治療は必要無い とのことから 暫く様子見で良いとのこと 尿素窒素25.2mg/dl 尿酸7.6mg/dl CRP0.11mg/dl 中性脂肪226mg/dl HDLコレステロール38mg/dl LDLコレステロール118mg/dl 今後どの様な生活習慣に気をつけたら良いものでしょうか? 現在飲酒はしていませんし 運動も週5日ほど水泳をしています 夕食には毎日豚肉及び野菜類を必ず食べています 以上 よろしくご教授お願い致します
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