ADHDは、衝動・多動・不注意の症状により日常生活に支障が出てしまう発達障害です。1学級あたり1〜2人程度はいるのではないかといわれる、決してめずらしくない発達障害といわれます。子どもに落ち着きがない、いつも学校で先生に叱られてばかりいる、友人とのトラブルが多いなどといったものは、もしかするとADHDの症状によるものかもしれません。子どものADHDの症状について、国際医療福祉大学病院 小児科 部長・准教授の門田 行史先生にお話をうかがいました。
ADHDの症状は、大きく多動・衝動・不注意にわけられます。一般的にはどの症状も現れるといわれますが、年齢により、目立ってくる症状やその強さには差があります。以下では、年齢ごとの症状の現れ方について解説します。
この時期は、定型発達児であっても子どもらしい活発さがあるものです。しかし年齢を重ねても、多動が減っていかないという特徴が出てきます。
0歳ごろ:音や光などに過敏である、夜泣きやかんしゃくなどが激しい、なんとなく育てにくさを感じる
1〜5歳:年齢とともに多動が減らない(落ち着かない)、主に多動・衝動が強く不注意は目立たちにくい
この時期になると、学校生活のなかで徐々に不注意の症状が出てくるようになります。
6〜8歳:多動・不注意がともに目立つ
9〜12歳:多動が少しずつ減ってくるが、不注意が目立つ。二次障害(自尊心の低下や不登校など)が出てくることがある
幼少期から不注意症状しか出てこない例(女児に多い)もある
このころになると多くは多動が落ち着き、不注意の症状が中心です。自身のADHDの症状を理解して、適切に対処でき周囲の協力を得られるケースと、二次障害を抱えるケースの2パターンにわかれ、個人差が出てきます。
13〜18歳:不注意が中心。多動は影を潜め、不注意しか出てこない場合もある。
ADHDの症状への対応(治療)には、薬による治療のほかに
などの心理社会的治療があります。
環境調整とは、ADHDの子どもの周囲の環境(家庭や学校など)を調整し、子どもが自信をもって生活でき、自分の症状を前向きに理解して行動できるようにするための方法です。
大きくは次の3つのステップで進めていきます。
(1) 入力情報を減らして困難さを予防する
ADHDの患者さんは集中すべき場面であっても、ほかの子どもであれば気にならないような教室内のガヤガヤした音や教室の壁に貼られた掲示物などに反応してしまい、すぐにそちらに気を取られがちです。そのため、まずはADHDの子どもの抱える困難さを理解し、次に、掲示物を減らす、座席は先生の前に用意するといった、外から入ってくる情報を減らしてゆきます。
(2) 周囲の理解者を得るために交渉をする
他の子が気にならないようなことに過敏になってしまうため、症状があることを伝えなければ周囲の理解が得られないことがしばしばあります。そこで、入力情報を減らすほかに、周囲にサポートをお願いすることも大切です。小さいころは保護者や教師などが主体となり、「その子にとって困難な入力情報はなにか?」「困ってしまったときの対処(短時間、静かな場所へ避難することを許してあげる、など)」について皆が理解できるようお願い(交渉)をしてゆきます。
(3) 最終的に、症状が出ても困らないためのアイデアを自身で生み出せるようになる
最終的には、自身のADHDの症状を理解し、自ら周りに交渉する、またはADHDの症状が出ても困らないアイデア(積極的にメモをとるなど)を考え、実践します。
ここまでできるようになれば、たとえADHDであっても症状と向き合いながら自信をもって学校に通ったり、就労したりすることができることが多いです。
この時期の環境調整は、自身の症状を理解したり、周囲に交渉したりすることができないため、保護者が主体となって園などの周囲に協力を求めます。あわせて、保護者も子どもがADHD症状による困った行動に出た際に、ただやみくもに怒るだけでなく、むやみに反応しない、その行動を止めたときに褒める、など適切な対応を学び、実践していく必要があります。
この時期になると、徐々に自身の症状に気が付くようになります。そのため、他の子どもと異なることを理解し、さらに、失敗体験が増えてゆくと「頑張っても自分だけ上手くいかない。どうせ自分は……」といった、自尊心の低下を表す発言が出てきます。
この際に、ADHDの症状があっても適切に対応すれば上手くいくこともたくさんあるという、成功体験を積み上げてゆくことが大切です。そのために、保護者が寄り添いながら本人と一緒に周囲の理解を得るために交渉をしてゆきます。
交渉に必要なことは、症状を消そうとはせずに受け入れ、周囲に伝えることです。加えて、自分の症状がどういったものか理解して、それに対しどのように行動すべきか、保護者の方と一緒に考えていくことも必要となります。
ADHDの症状が影響して困難さを感じることは学校生活でたくさんあるかもしれませんが、困難のなかで成功体験を積むためには、「本人や保護者が症状を知ること」に鍵が隠されています。
思春期になると、自立のために本人が自身の力で適切に症状理解、対処ができるよう自ら交渉してゆきましょう。周囲の大人、友人へ自分の症状を説明します。このとき、必ずしもADHD等の病名をいう必要はありません。困る可能性がある行動について説明すれば十分です。
この際には当然、説明を聞く側が持つ性格や考え方、そのときの自身の立場を考えながら交渉をする必要が出てきます。そこで、保護者は見守りに徹しながらも、社会人の先輩としてよき理解者となりサポートしてゆくことが大切です。
環境調整のほかにも、保護者の行動を変え、子どもとの適切なコミュニケーションを学ぶ「ペアレントトレーニング」や、子どもが集団のなかでどのように振る舞うことが望ましいかを実践的に学ぶ「ソーシャルスキル・トレーニング」も行われます。
国際医療福祉大学病院小児科では、近隣の市町村と連携して、「CARE」と呼ばれる保護者や教師など子どもに関わる大人に向けたワークショップを定期開催しています。関わる子どもの発達障害の有無は問いません。
行動のよし悪しにかかわらず、子どもの行動を客観視することで、好ましい行動にも注目しやすくなります。そしてよく褒めることで、子どもは自信を持つことができます。
このような対応の仕方を、ケアトレーナーのもと、大人同士でロールプレイして点数化することで実践につなげていきます。これらの取り組みは、結果的にADHDなどの発達障害の症状理解につながると考えています。
ADHDは、年齢と比べて、成長の過程で積み上げられるべき能力がゆっくりと育まれていくものであるという点を理解することが大切だと考えます。決してほかの子どもと比べて、あれもできない、これもできない、というわけではなく、ADHDの特性があるからこそ得意な分野で類まれな才能を開花したり、人を気遣うことができたりというよい面もたくさんあります。ですから、もしお子さんにADHDの症状があるからといって困難さだけに注目せず、医師などの専門家のサポートを受けながら、そのお子さんのよいところを伸ばせるよう、保護者の方も見守ってください。
自治医科大学附属病院 とちぎ子ども医療センター 准教授
自治医科大学附属病院 とちぎ子ども医療センター 准教授
日本小児科学会 小児科専門医
日々、子どもの心の診療に関わる診療に携わる中で、『発達障害の診断や治療に役立つ客観的検査法の開発』という着想に至り、約10年間にわたり脳機能研究を続けている。中央大学理工学部をはじめとする複数の施設との医工・多職種連携から生み出された研究成果は複数のジャーナルや複数のメディアで紹介されている。現在、国際医療福祉大学病院の小児科部長として小児一般診療に従事しながら、社会実装を念頭に置いた臨床研究を目指し、特許出願やアウトリーチ活動をすすめている。自治医科大学とちぎ子ども医療センター 准教授、中央大学研究機構 客員准教授。
(門田研究室ホームページ:http://ped-brailab.xii.jp/wp/)
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自分がADHDが気になります。
仕事で細かいミスやケアレスミスが多いです。 子供の頃から集中できないなどの、特徴がありました。 自分がADHDなのか気になります、、
物忘れが激しくなった
ここ数日、帰り道を間違えたり咄嗟に言われた左右を間違えたりするようになりました。あとは一週間前の写真を見ても、その日1日どこで何をしたのか思い出せなかったりしました。他の人に相談すると病院に行ったほうがいいと言われますが、病院に行くほどなのでしょうか?
ADHDについて
最新、自分はADHDなのではないかと思っています。 小さい頃から注意散漫でな子で、大きくなり勉強に専念しようとすると、長時間座っているのが苦手なためか授業を聞いているはずなのに気づけばいつも別のことをしていました。 貴重品に関わらず無くし物が人より多いと感じます。不注意や遅刻で周りの人に迷惑をかけてしまう事も多々あります。 自分が情けなくて本当に嫌になります。「ちゃんとするんだ!」と意気込んで注意がける事は今まで何度もありました。でもその度に他のことが出来なくなりました。そしてまた周りに迷惑をかけ落ち込んでしまいます。 そして不注意で衝動的な癖を治したいと思い調べていくとADHDという障がい?があることを知りました。でもこういった障害って多かれ少なかれ多くの人に当てはまると思います。なので病院に行くべきなのか、そもそも病院通って治るものなのだろうかと悩んでいます。 長々とすみません
長文を読んだら、ひどいめまいとひどい頭痛に。
↑これは私は何かの病気でしょうか?? 今に始まったことではなく、 子供の頃から 絵本、教科書や本、テストの問題、教習の問題、は急激に眠たくなります。 そして読む段階でミスをしたり、途中で頭が疲れて寝てしまうので最後まで集中して問題が解けなかったりします。 当時は私は人より集中力がない、怠けている、何かに疲れているだけと思ってました。 子供が産まれ、 学校関連の書類、連絡のメール、絵本の読み聞かせ、子供の勉強を手伝うときにプリントの文章を理解するとき…など 親として責任を持ってたくさんの文字を読まなくてはならない時、 車酔いのようなめまいや酷い頭痛に悩まされます。さすがに何とかしなければと思ってます。 私は今アメリカ住みですが、子供の学校がビデオチャット授業に移行しつつあります。 ビデオチャット授業を息子と受けているとき、息子6歳はじっとしていられないので、私が横で座らせたりビデオの授業(子供のバタバタで聞こえにくい)を聞いたりしているうちに、私が15分ほどでめまいがして頭痛がして寝込み、今はアメリカの市販の頭痛薬を飲んでます。子供のきょついくに遅れが出そうです。 ビデオチャット授業のたびに薬を飲んでていいのかという不安もあります。 これは私は何かの病気か障害を持っているのでしょうか? 今後日本に帰ることを選択した場合、 何科の病院に行けばいいでしょうか?? 何の病気が考えられますか? ADHD、聴覚過敏(聴覚情報処理障害)、不安障害、強迫性障害を疑っています。 元々車酔いは酷い方です。 めまいや頭痛はこのどれかに関連していますか? 質問ばかりで申し訳ありません。 よろしくお願いします。
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